詩:翡翠色の午前二時

真夜中の庭から庭へと
彼岸花を辿る旅

百歳の古井戸の底の水
揺れる植物の一つ一つ

ひかりというひかりが
夜の終わりを見つめているのでした

裸足で家を逃げた子ども
ちいさな公園でひとり

銀色の箱舟が
空に溶けていくのを見るのでした

人のいない街は時間がうつろっても
灰色のままで

道の先で信号が
きいろ、きいろ、きいろ、
と点滅するのでした

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