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マッキンゼーレポートから機械・FA事業のトレンドを読み解いてみた Part2

前回の記事で、機械・FA事業の注目すべきトレンドの1つとして挙げた、「成長パターンのシフト」。ソフトウェア・プラットフォーム・アプリプロバイダーの成長や、アジア内プラットフォームの可能性は具体的にどれほどのインパクトがあるのかをマッキンゼーレポートを中心に調べました。

(TwitterでPart1を多くの方に見て頂けて大分テンション上がってます。それに今までずっとTwitterやnoteを見ていた方にもフォローしてもらえて素直に嬉しかったです。普段は通知オフにしているのですが通知をオンにして楽しんでました。ありがとうございます。)

今回は、2つ目の注目すべきトレンドである「Increased pace of digitization(デジタイゼーションのペースの向上)」についてまとめます。前回に引き続きマッキンゼーレポートを中心に読み解いていきます。


②Increased pace of digitization(デジタイゼーションのペースの向上)

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すでに当たり前ですが、デジタル化の波は劇的に私たちの業界を変えていってます。マッキンゼーレポートによると、現在の機械及び自動化の会社の60%が今の総収益の5%未満をデジタル製品、ソリューションで担っているのですが、10年後にはプレイヤーの内約40%が総収益の15%をデジタル、ソリューションで担うことになると予想しています。つまり、収益におけるデジタルの割合が今の3倍になるということです。実際、分野によってはかなりコモディティ化が進んでおり、その流れとして、単一の商品ではなくそこに縛られないような新しい仕組みを作っていかなければなりませんし当然と言えます。

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ここで気をつけたいのが、IIoTを含むIoTがただモノにセンサーを取り付けるということではないということです。重要なのは、あらゆるデータを基にしたサービスでユーザーにどのような価値を提供できるかだと思います。

IIoT:Industrial Internet of Things   産業分野向けIoTのこと

②-1 オープンオートメーションという概念

大量のデータを集め、ストックしサービス化する基盤であるプラットフォームを作る上で、注目すべきなのが「オープンオートメーション」。これは現在のMES(製造実行システム)、SCADA(監視制御システム)を制御機器であるPLCにつなげる仕組みのシステムとは全く異なるもので、
実際のハードウェアにつけているPLCを通さず、上流のクラウドベースのIIoT(産業分野向けIoT)プラットフォームと現場のハードウェアを直接BUS(専用の回路の様なもの)を介して繋げるという考え方です。

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これにより、製造現場のデータを素早く的確にフィードバックできるようになります。

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この図の右側がオープンオートメーションの概念。既存の動きを示した左側にあるfactory levelに位置づけされているMESやSCADAを介しません。

ただ、これもあくまで、1つの概念として提唱されているものであり、全ての風潮としてPLCを介さないのかというとそうではないです。現実問題、業界・工場によって既存設備のインタフェースと工場ネットワークのレベル感は全く異なるので、既存の設備との組み合わせを考える上では、PLCは1つの活きるタッチポイントだとも思います。
つまりは情報のハブとなる部分とそれを蓄積する「データレイク」の部分、サービス化のためのアプリの開発環境の3つをどの様な仕組みで構築し、ユーザーに価値を提供するかという競争が続いていきます。

②-2 「具体的に」誰がどのように進めていくのか

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しかし、忘れてはいけないと思うのが現場レベルの視点。
一体この、制御機器とITにまたがったシステムの構想を「現場レベルで誰が」設計し、実装と運用をしていくのか。

確かにこれらの技術は実現されますし、大きく産業を変えるとは思います。何より考えていてワクワクします。しかし、今実際に現場を見ていてどう導入していくのかという具体的なフローは見えづらいです。ここにはTPS(トヨタ生産システム)を導入しようとする際に起こっている現場レベルと上層部の乖離や、変化を実行するのは「人間」という観点が絡んでいるとは思いますが、それはまた後日。
とにかく地に足着いた視点は欠かしてはいけないと思います。
大切なのは、私たちの様なITの専門家ではない人間がデジタルに対してのアンテナを張り続けることなので、そこは継続していきます。


2つのトレンドを踏まえた僕達がやるべきこと

この様にソフト分野の需要、アジアの影響力の増加、デジタイゼーションというトレンドは実際に数字にも表れていて、市場自体が大きく変わっていっています。
ウチの会社も今のハード売りからの進化として、既存のコアデバイスを活かしたソリューション提案を目指し様々な改革を行なっています。その中で大切だと思うのは顧客との共創(co-creation)の考え方です。

顧客に自分たちの進むべき道を理解してもらい、一緒に進むパートナーとして共に、価値を生み出していく。

その方向性のために何をやっていくべきか。2つ考えました。「MVPを用いたビジネスモデル」と「リードユーザーの活用」です。次回はこの二つについて詳しくまとめていきます。

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