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伝統野菜って?種と人の未来を考える【農業】

”伝統野菜”と聞いて、なにか思い浮かべるものはありますか?

伝統野菜とは、その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立され、地域の食文化とも密接していたもののこと。

農林水産省より

NIPPON TABERU TIMES(にっぽんたべるたいむず)でおなじみの生産者さんたちの中にも、伝統野菜を栽培されている生産者さんたちがいます。

青森県青森市 森山知也さん 筒井赤かぶ・笊石かぶ・毛豆・あおもり地ネギ・赤諸赤米

青森県八戸市 水野浩司さん美香さん 糖塚きゅうり

山形県真室川町 佐藤春樹さん 甚五右衛門芋

福島県相馬市 菊地将兵さん 相馬土垂

福島県喜多方市 清水琢さん 御種人蔘

福島県会津若松市 長谷川純一さん 小菊南瓜・余蒔胡瓜

大阪府茨木市 中井大介さん優紀さん 三島独活

兵庫県篠山市 坂口典和さん 丹波黒豆

広島県廿日市 山本悟司さん千内さん 金時草

スーパーで見かけることは少ない伝統野菜。
流通に出回らないのには理由があります。
大量生産が求められるようになった時代において、「揃いが悪い」「手間がかかる」などという理由で、人々は伝統野菜から離れていってしまったのです。

それぞれ生産者が最後の1人となっていた青森在来の筒井カブ(上)と笊石カブ(下)、当農園の畑改め野原では二週間ほど遅れて初収穫で大きさは半分以下……。

さて、在来種及び伝統野菜の価値とは何でしょうか?失ったら戻らない風土に根付いた遺伝子資源。歴史や文化と共に歩んだ魂の作物。しかしその大きさは半分以下……。

(雲谷ト森山農園 森山知也さんfacebookより引用 )

伝統野菜の種は固定種、在来種と呼ばれます。それに対し、普及が拡大しているのがF1種と呼ばれる種子。

固定種はよい作物を選抜して採種し、その種を植えて育てた中からまたよい作物を選抜して採種し……を繰り返すことでその土地の環境に適応して根づいてきた品種であるのに対し、

F1種は異なる形質を持つ親を人為的にかけ合わせてできる、より生育しやすい形質の“子”世代のこと。

一代雑種とも呼ばれるF1種の特徴は、大量に同じ形質の子(種から育つ一代目)を得られることです。

生育時期や大きさ・形が揃う、収量が多い、など時代のニーズに応えるもので、普及はますます拡大していきました。

しかし、それでも彼らが伝統野菜にこだわる理由とは。みなさんはどのような想いで伝統野菜を育てているのでしょうか。

きっと人がつながると種はつながります。
種がつながると人もつながります。
そう思い固定種や在来種と呼ばれる作物を栽培しています。
種は、採種する事で順化し進化もします。

種は命、我々も命。
命をいただき命を活かす。

(雲谷ト森山農園 ウェブサイトより引用)

植物は日々を学習しているのではなかろうか、と思うのである。
太陽に向かって葉を広げ、風土に応じて育ち、その記憶をタネに残す。
一代では成しえない魅力に迫りたいです。

(雲谷ト森山農園 ブログより引用)

当然のことながら超マニアックな野菜なので、私は嫁ぐまで食べたことも見たこともなく、夫も地元の特産品程度にしか思っていませんでした。

ところが、、この三島うどはなぜか地元の人や一部のファンから熱烈に愛されていたのです。
私も嫁いで1年目は、「三島うど……変わった食べ物。まずくもないがおいしくもない」。
それくらいに思っていました。が、不思議。
2度、3度と食べているうちに、「すげーおいしい。もっと食べたい」と中毒化するように。
(だいたいみんな同じ末路を辿るらしいから怪しげな成分が含まれていないことを願う)

だから最後の三島うど農家さんから「そろそろ歳だから辞めようと思う」という話を聞いた時、
「このまま食べられなくなるのはどうしたって避けたい」
そう思ったのです。

しかし、周りに三島うどを伝承していけそうな若者はいない。
(なぜなら、高齢化が深刻な地域……)

そして、2014年夏。
「じゃあ、私たちがやるしかないよね~」と就農を決意。
夫は師匠に弟子入り。

私が妊娠したので産まれる前に始めなければ!と
その頃にはすっかり三島うどの虜になっていた夫も慌てて辞表を出し、2015年から本格始動しました。

栽培が途絶えていた会津余蒔胡瓜の種と出会い、「自分の世代で伝統野菜を途絶えさせる ことは絶対にしたくない」と強く思ったことをきっかけに、会津の伝統野菜の栽培に取り組んでいます。会津の気候風土の中で先人たちが守ってきた歴史、文化の重みを感じながら、伝統野菜を後世に伝えていきたいと思っています。

(中略)

農業や伝統野菜を子どもたちに伝えることで、子供たちが大人になった時に「故郷とのつながり」「人と人とのつながり」を感じてもらえるようにしたい。小さい時に知った味は一生ものだから、帰れる場所の味を子ども達にも伝えていきたいと思っています。

(NIPPON TABERU TIMES 長谷川純一さんプロフィールページより引用)

・・・菊地将兵さんと会津土垂・・・
あの日からずっとずっと、僕たち相馬市の農家は放射能という壁に大きく立ちはだかれ、どこに野菜を持っていくにも『放射能の野菜だろ』と言葉を投げ掛けられる日々でした。
震災から三年はその言葉を言われ続け、四年目以降も言われることは少なくなっても、他県の野菜と同じ値段、同じ品質なら他県のを買うといった人達も少なくなく、苦しい思いをしいられる歳月でした。
(中略)
相馬市の農を次の子供たちに託すにはどうしたらいいか、一度壊された古里の自然をもう一度大切にするにはどうしたらいいか、これから相馬市の農産品をみんなにほしいと言ってもらえる日が来るにはどうしたらいいのか。
その答えの1つとして、相馬市にかつてあった相馬市だけの伝統野菜を、もう一度僕たちの手で復活させようと誓いました。
ここにしかない物なら、他県や他国と競い合う必要もない。
相馬市に来てくれたみんなに、胸はって『これが相馬の野菜です』って渡せる。
(中略)
たったひとつの伝統野菜が、相馬市のあらゆる流れを変えるきっかけになってほしい。
数十年と表から姿を消していたこの伝統野菜が、今ようやく陽の目をみる場所に戻ることができました。
僕ら相馬市の農家と同じ、この伝統野菜もここからが始まりです。

生産者さんたちが持つ伝統野菜にこめる想いは様々です。
命としての種を救うこと、また地域の未来、人の未来のために種に希望をつなぐこと。
一度失われてしまったら、二度と取り戻すことのできない在来種。
大量生産・大量消費の時代に忘れられてしまった価値が伝統野菜には詰まっています。
地域に根差した在来種は、長い時間をかけてその土地に適応してきました。
その特徴が最大限に発揮されれば、必要な農薬や肥料も減るかもしれない、などの希望も感じさせます。

地産地消、スローフードなどの考え方に注目が集まる昨今。
伝統野菜はその地域の文化、アイデンティティとして注目を集めていくことでしょう。

みなさんも伝統野菜のこと、もっと知ってみませんか?


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