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なぜTABETEには「毎日」出品するお店があるのか?【「廃棄前提」の中食業界の構造的問題とTABETEのねがい】

食品ロス削減アプリ「TABETE」のレスキュー隊員(ユーザー)さんから 、以下のような疑問をいただくことがあります:

「なぜTABETEには、毎日同じ時間に出品するお店があるのでしょうか?(本当に食品ロスなの?)」
「食品ロスが出ないようにお店側で調整していれば、毎日出品するなんてことにはならないのでは?(お店の努力不足なのでは?)」

このような疑問をもらうと、TABETEでのレスキュー活動を通して、みなさんの食品ロスへの関心や感度が高まっていることを実感し、とても嬉しく感じます。

実は、TABETE登録店の多くを占めるパン屋などでは、食品ロスは「構造的」に生まれてしまうもので、現在のビジネスの仕組みではゼロにはできない(!)のです。

なぜ、こうしたお店では「食品ロス」の発生が避けられないのか。

この記事を通して疑問を解消し、身近な食の仕組みについて理解を深めていただけるとうれしいです。

TABETE登録店の多くはパン・ケーキなどの「中食」のお店

TABETEの出品をご覧いただくと、「パン屋さんが多いな」と感じるかもしれません。実際、TABETEを一番活用いただいているのは、パン・洋菓子・お惣菜など「テイクアウトを前提とした商品」を売っているお店がほとんどです。

このようなお店のことを【中食】(なかしょく)業態と呼びます。「飲食店での食事(外食)」と「家庭で手づくりした食事(内食)」の中間に当たる食事形態としてつくられた、比較的新しい概念です。

TABETEの掲載店舗の多くはパン・洋菓子店

TABETEは当初、外食(飲食店)向けにサービスをスタートしました。しかし、飲食店で発生する食品ロスは、一度お客さんに出してしまった「食べ残し」や、そのままの状態では食べられない「食材」が多くを占めます。食べ残しは論外だし、あまった食材でTABETE用に商品をつくってもらうのも、ただでさえ忙しい飲食店にとっては負担が大きすぎました。

一方、パン屋さんを含む「中食」のお店では、商品がすぐに食べられる状態で店頭に並んでいます。商品があまってロスになってしまいそうなときには、そのままTABETEでも販売することができるため、よりニーズに合っていたのです。

中食のお店は「廃棄を前提」としたビジネスモデル

ほとんどの中食のお店は「商品を陳列して、お客さまを待つ」というスタイルで運営しています。そのため、いかにお客さまに足をお店に運んでもらうかがビジネス成功のカギとなります。

みなさん、デパ地下の食品売り場を歩いたことはありますか?
光り輝くショーケース、山盛りのお惣菜、みずみずしいサラダ、宝石のようなケーキ... どれも美味しそうで、お財布の紐がゆるんじゃいますよね。あるいは街なかのパン屋さんの前を通った際、おしゃれな雰囲気とパンの焼ける匂いに誘われて、つい買ってしまった経験があるかもしれません。

食べ物がたくさん並んでいると、つい買いたくなっちゃいますよね

しかし、デパ地下やパン屋に行ったとき、商品ケースの中身が「スカスカ」だったらどうでしょう。「もういいものは残っていない」と思って、立ち止まるのをやめてしまう方が多いと思います。大量に陳列された商品の華やかさが、私たちの購買意欲を掻き立てていたのです。

つまり、行き交う人に興味を持ってもらえないことは、中食のお店にとっては命取りです。せっかく来店してもらって商品を売るチャンスだったのに、商品の少なさを理由に販売できなければ、機会損失(チャンスロス)が発生します。

だから、デパ地下やパン屋さんでは、閉店時間までしっかりと商品が並んでいる場合が多いんです。それは、閉店前の最後の1分まで、お客さまに楽しんでお買い物をしてもらうための経営努力でもあります。

閉店まで商品を並べておくのだから、当然、その多くがロスになります。このロスは、現在の中食ビジネスの仕組み上、避けられません。しかし棄て過ぎていてはビジネスにも環境にも良くないので、"健全な"廃棄量を保つために、お店では目標となる数値(廃棄率)を定めています。目標廃棄率を上回っていれば、つくり過ぎなので生産量を減らす必要があります。しかし、逆に目標廃棄率を下回っていた場合は、「棄てたりなかった」(もっとつくればもっと売れていた)と判断されます。

このようにして、中食のお店では、食品ロスがビジネスの仕組みに組み込まれているのです。しかし、棄てるのを良しとするお店側が一方的に悪いとはいい切れません。お店側にも、棄てざるを得ない事情があるからです。

食品ロスの絶対量を減らすには、つくる量を減らすことが一番有効です。しかし生産量を減らしても、食品ロスをゼロにすることは、いまのビジネスの仕組みでは不可能です。仮に「あまっている分だけ減産」したとしても、ぴったり売り切れるようにはなりません。まるで「働きアリの法則」のように、ロスの割合はそのまま、全体の売上だけ減産に比例して下がってしまうのです。上で伝えた通り、商品棚がスカスカだと、客足が遠のいてしまうからです。中食のお店では食品ロス削減のために生産量を減らすと、ロス率はあまり変わらず、売上だけが比例して減ってしまいます。

では、もう食品ロス問題は諦めるしか無いのでしょうか。

(私たちはそう思いません。)

地球も、売上も犠牲にしない

ここまでくれば、冒頭の疑問の答えも自ずと見えてくるのではないでしょうか。

「なぜTABETEには、毎日同じ時間に出品するお店があるのでしょうか?(本当に食品ロスなの?)」
「食品ロスが出ないようにお店側で調整していれば、毎日出品するなんてことにはならないのでは?(お店の努力不足なのでは?)」

(ぜひ自分で答えを考えてみてから読み進めてください)

現状の中食のお店では、仕組み上、食品ロスは必ず生まれてしまいます。しかし、生産量を減らしてしまうと、売上は大きく落ち込み、お店の持続可能性が脅かされてしまいます。そこで、必要な売上を確保したうえで、どうしても出てしまうロスについては、別のチャンネルで食べ手に届ける必要があります。そのチャンネルが、TABETEです。仕組み上、ロスは毎日一定量以上出てしまうことがわかっているので、その「毎日、最低、このくらいはロスになってしまう」という量を毎日、同じくらいの時間に出品している。これが、冒頭の疑問の解答です。

つまりTABETEは「お店の売上を犠牲にせず、食品ロスを最小化する」ことを応援するサービスなのです。よく「サステナビリティは経済的な犠牲を伴う」と言われますが、私たちはその両立をねがっています。

もちろん、TABETEがあるから生産量の管理を怠っていいわけがありません。そのため、お店にとっても環境にとっても一番「心地よい」ビジネスのあり方を模索して、私たちはTABETE以外でできるロス対策も含め、日々お店に対して適切な使い方をご提案しています。

「持続可能」で「多様な」食の未来のために

私たちは「つくり手・食べ手間に新たなかたちの関係性を構築し食業界の持続可能性を再定義する」ことをミッションに、日々TABETEをつくっています。

ぜひTABETEをきっかけにお店側の課題や背景について知っていただき、それについて何ができるのかを考えながら、日々食品ロスという課題に触れていただけると嬉しいです。

今後もTABETEの展開や、食品ロス削減に対する想いについて、noteで発信していく予定です。今後ともTABETEを何卒よろしくお願いいたします!

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