ずっとハワイへ行ってみたかった
ずっと気になっていたのに、ずっと行くことができなかった土地がひとつある。
日本人にとって最も定番の海外旅行先かもしれない、アメリカのハワイだ。
以前から、ハワイは気になっていた。
あんなにもよく知られた場所なのに、あれほど魅せられる人が多いハワイとは、いったいどんな場所なのか。
でも、いままでハワイへ行くことはなかった。
あんなにも有名な場所へ、いまさら行ったところで仕方ない、と。
せっかく海外へ旅に出るなら、知る人ぞ知る国だったり、もっと個性的な土地だったり、自分らしい場所を目指した方が面白い。
すでに日本人が行き尽くしているハワイへ行っても、他の人と代わり映えのしない旅しかできないだろう。
しかし。
やっぱり、ハワイという土地がどうしても気になるのだ。
そして、ようやくこの冬、僕はハワイへ旅に出ようとしている……。
ハワイへの旅を決めたのは、旅というものに対する小さな発見があったからだった。
旅に出るうえで大切なのは、そこがどんな旅先なのかではなく、どれだけ自分が「行ってみたい」と素直に思える旅先なのか、なんだと。
10数年前、初めて沖縄へ旅に出たことがある。
日本人にとっての定番の海外旅行先がハワイなら、その双璧としての国内旅行先は沖縄かもしれない。
沖縄もまた、すでに多くの人が行っているし、その魅力はいっぱい語り尽くされている。
でも、その初めての沖縄の旅は、数えきれないくらいの感動に溢れた、忘れられない旅になった。
それはきっと、僕にとって沖縄という土地が、ずっと行ってみたかった、「夢の沖縄」だったからなのだろう。
旅をする僕の心に、沖縄への大きな好奇心があったからこそ、その旅は輝いたと思うのだ。
たぶん、旅をするうえで、その旅先が有名かどうかなんて、旅の面白さにはそんなに影響しない。
それよりも大切なのは、旅をする自分自身が、その旅先へ、どれだけ「行ってみたい」と心から思えるかなのだ。
思い返してみると、その後の海外の旅でも、大きな感動に溢れていたのは、素直な気持ちに従って行った旅ばかりだ。
旅先が韓国や台湾でも、あるいはアルゼンチンやマルタ島でも、旅先が有名かどうかにかかわらず、好奇心を抱いて行った旅先では、自然と面白い旅ができた。
きっと旅というものは、他の人がすでに行っているかどうかなんて気にする必要はなくて、自分が「行ってみたい」と思う場所へ、ただ行けばいいだけなのだ。
そのことに気づけたのは、最近になってからだった。
そして昨年の夏、ホノルル行きの航空券が安く買えるのを知り、いまだ!と思ったのだ。
いまこそ、ハワイへ旅に出るときなんだ、と。
もしかしたら、その航空券を買う瞬間まで、僕は無意識のうちに、他の人にどう思われるかを気にしていたのかもしれない。
海外の旅が好きなことを公言しているのに、「いまさらハワイへ行くの!?」なんて思われるのは恥ずかしい、と。
でも、そんなことは関係なかったのだ。
どんなにハワイが行き尽くされた旅先だったとしても、僕にとってのハワイは、いまもまだ、ずっと行ってみたいと思い続けてきた、「夢のハワイ」のままなのだから。
子供の頃、好きなテレビ番組を観ていると、軽快な音楽とともに、「この木なんの木」のCMがよく流れてきた。
美しい芝生の上に枝を広げる、緑いっぱいの大きな木。
この木ってどこにあるの?と父に聞いたら、ハワイ、と答えが返ってきた。
あの瞬間こそ、ハワイという土地に「行ってみたい」と思うことになる、最初のきっかけだったのかもしれない。
いや、そればかりか、海の彼方の異国へ興味を抱いたのは、その瞬間が最初だった気さえする。
もっと早く行けばよかった気もするけれど、遅すぎるということもない。
いま、ハワイへ。
きっと、ずっと心の中にあったハワイという土地が、ようやくこの冬、初めて旅に出るという、見たこともない花を咲かせてくれたのだ。
旅の素晴らしさを、これからも伝えていきたいと思っています。記事のシェアや、フォローもお待ちしております。スキを頂けるだけでも嬉しいです!