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隣の芝生とうちの雑草

アメリカの家の庭は、たいてい芝生が敷きつめられている。と言うと青々とした芝生のイメージがあると思うけど、冬の間、芝生は枯れていて茶色っぽく、芝刈りも必要ない。暖かくなると、芝が緑色になって元気に伸び始め、毎週のように芝刈りが必要になるわけだけど、今の季節、隣の芝生はまだ茶色っぽい。それなのに、うちの庭だけがすでに青々としている。それは、うちの庭が雑草だらけだから。

たんぽぽ、クローバー、そして名前も知らない雑草たちの勢いはすごい。芝生の種と除草剤が混ざった粉をまいてはみたけれど、芝生なんて見えやしない。周りの芝生が元気を取り戻して緑色になってしまえば、雑草との違いなんて遠目には分からない。でも、この季節の隣の芝生は茶色っぽいので、うちは雑草だらけであることが一目瞭然。

草抜きをしようにも、ほぼすべてが雑草なので、お手上げ状態。背が高くなっている草だけでも抜いてしまおうとしたけれど、小さな花たちが咲いているのを見つけて、もう放っておくことにした。こんなワイルドな庭も、春だけ。春が過ぎれば、芝刈りとともに、すべての雑草が刈られてしまうのだから。

隣の芝生を羨ましいと思っていた。人のものだからよく見えるわけじゃなく、隣の庭の方がきれいに整っていて、雑草だらけのうちの庭はちょっと恥ずかしいから。でも、雑草のない芝生だけの庭がいいって誰が決めた?雑草だらけのうちの庭も、春らしくていいんじゃない?というより、うちには雑草が似合っている気がする。枯れたまま夏を待つ、きれいに揃った芝生より、それぞれが必死に春を生きている、多種多様な雑草が。


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