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「車でお遍路(御本尊)」 薬師如来とは

自身の体験談として、お遍路で結願をしたものの「もっと御本尊の知識があればなぁ」との後悔もあり、自身のため、そしてこれからお遍路を計画している方のために「御本尊」についてまとめてみました。

お遍路がより有意義なものになることを願っています。

はじめに

お遍路の札所には、必ず本堂に「御本尊」、大師堂に「大師像」が祀られています。

その御本尊は、札所により異なっているため、本堂で読経時に、祀られている「御本尊」のご真言※を唱えます。

※ご真言とは
仏さまの真実の言葉。
ご真言を唱える場合は、サンスクリット語の発音を唐で漢字にして日本語読みでそのまま発音するため呪文のように聞こえる。
声に出して唱えることで、御利益や功徳をが得られるという。

弘法大師は、仏教を広めるにあたりこのご真言の大切さを一番に考えたからこそ開創した宗派を「真言宗」と命名したのでしょう。


それでは、「御本尊」ごとに、特徴をお伝えします。

最初は、四国霊場24札所が祀っている最も多い薬師如来から始めます。


薬師如来

正式名称

薬師瑠璃光如来やくしるりこうにょらい

大医王仏だいいおうぶつ医王如来いおうにょらいとも呼ばれ、医王善逝いおうぜんぜい、などとも呼ばれている。


特徴

浄土は、東方浄瑠璃世界

三身(仏の三種の在り方、法身ほっしん報身ほうじん応身おうじん)のうちの報身ほうじん
※報身とは、菩薩ががんをたて修行をして悟りを開いた報いとして功徳を備えた仏身のこと。)



衆生の現世の病と苦しみからの救世主で、数ある仏さまの中でも最も大衆の信仰を集めた。

日本に仏教を広めた弘法大師の「真言宗」の御本尊は大日如来、伝教大師の「天台宗」の御本尊は釈迦如来にもかかわらず、高野山金剛峰寺金堂と比叡山延暦寺根本中堂の御本尊は薬師如来とするほど。

脇侍わきじには、「日光菩薩」「月光菩薩」が一般的で、日中夜にわたり救済するよう見守ってくれます。


お姿

一般的には、優しい表情で、右手に施無畏印せむいいんを結び(衆生の恐れの心を取り去る心配無用と慰めいたわる姿勢)、左手には万病を癒すための薬壺やっこを持つ


ご真言

おん ころころ せんだりまとうぎ そわか


ご利益

十二誓願じゅうにせいがん※の現世利益げんせいりえきの仏さま(病気平癒、他)

十二誓願じゅうにせいがんとは
薬師如来は、菩薩の時に如来になるために立てた誓いで仏となったと説かれる。
それぞれの意味は割愛します。
・光明普照・随意成辯・施無盡物・安立大乗・具戒清浄・諸根具足
・除病安楽・轉女得佛・安立正見・除難解脱・飽食安楽・美衣満足


四国八十八箇所霊場で薬師如来を御本尊とする札所

・6番安楽寺・11番藤井寺・15番国分寺・17番井戸寺・18番恩山寺
・22番平等寺・23番薬王寺・26番金剛頂寺・33番雪蹊寺・34番種間寺
・35番清瀧寺・37番岩本寺・39番延光寺・40番観自在寺・46番浄瑠璃寺
・50番繁多寺・51番石手寺・59番国分寺・67番大興寺・74番甲山寺
・75番善通寺・76番金倉寺・77番道隆寺・88番大窪寺


さいごに

悟りを開いた薬師如来は、優しいお顔、そして正に病と苦しみなどから救って下さるお姿をされています。

中でも、薬師如来を御本尊とする第22番平等寺では歩行困難者が歩けるまでにご利益があったと3台の箱車はこぐるま(現代で言う車椅子)が奉納、実話があります。

薬師如来は、そのお姿や、実話、そして混沌とした現代社会に悩みを持つ病苦から解放されたいという願い、現世利益げんせいりえきという点が人気の高い理由なのでしょう

※ヘッダー画像は、第88番札所大窪寺の御本尊を描いた御影おすがたです。

【参考】
・高野山霊宝館
・Wikipedia
・Discover Japan
・文化庁

合掌

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