【物語】 - 氷界 "absolute" -
人里離れた小高い山々を超えた先にそびえ立つ、一際高い山の中腹。
白銀の鎧を身に纏い鋭利な長槍を背に携えた屈強な男たちが十数名、隊列を成して黙々と歩を進めている。およそ人の手が加えられた形跡が見当たらないこの大自然には山道らしき標もなく、勾配のある地に気を配りバランスを保ちながらゆっくりと登っていく。これが訓練の一環であれば軽口や悪態も出てくるところだが、兵士たちの間には静かな、しかし確かな緊張感が流れている。
未開領域における実地調査。これだけ聞けば彼ら《正規騎士団