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インドシナ day6 お金を増やそう!

宿にいた僕、暇である。
そう、夜の香港はそれはそれは妖しさ満点の街なのだが昼はただのデカい梅田である。そして僕はショッピングとかディズニーみたいなものが地球で最も似合わない人間である。宿では延々と中国名物抗日映画を放映している。香港でもやるんや。

↑中国名物抗日映画

さてどうするかねー。
と悩む僕はふと財布を見た。相変わらず寂しい。
あー金さえあれば豪遊できるのになぁ。金降ってこないかなぁ。

そこで僕は閃いた。

大学では落単芸人と言われたこの僕のアメイジングな脳は閃いた。

金がないなら増やせばええやん。

まさに原点にして頂点にして究極の真理。

そう、増やせばいいのである。

というわけで僕はカジノ求めて香港を飛び出し、マカオに行くことに。伝え聞くところによると、20歳以下はカジノ禁止らしかったが、どうせ中国やしその辺適当に違いないのだ。
香港の九龍から1時間程ほど高速船に揺られてマカオに向かう。なおマカオは外国扱いなので香港から行くにしてもパスポートが必須。
金を増やす意気込みに燃え、意気揚々と船に揺られる僕。隣の席の白人にHello!と言ったのだがスルーされる。このホワイトゴリラはコミュニケーションという言葉を知らないのだろうか。

↑海路にてマカオに到着

マカオに到着した後はとりあえず中心街まで歩くことに。そう金がないので歩くしかないのだ。
見てろよ帰りはリムジンや!

そんな中見えてくる煌びやかなホテル

「ゴールデンドラゴンホテル」

やったら強そうな名前を持つホテル、僕の旗揚げにこれほど相応しい所があるだろうか、いやない。
意気揚々と併設のカジノに入った、いや入ろうとした。
すると立ち塞がるはインド系(?)のやったらゴツいゴリラのごとき大男。ホテルの名前も強けりゃ警備員も強いのか。
ゴリラは言う。
パスポート見せろやオラ。
この時点で観念する僕、パスポートを見せると案の定NOoooooo!!!の雄叫びが。

文字通り摘み出される僕。誰!?中国の管理ガバガバって言った人!?

↑ゴールデンドラゴンホテル。僕の心にトラウマを植え付けた憎き場所だ。

こうして僕のカジノ計画は消滅した。
プラスどころかこの時点で高速船代5000円強のマイナスである。なんてこったい。
他のカジノ行くという手もあったが、どうやら年齢詐称は下手するとブタ箱行きらしく、そもそも別の場所であのゴリラ警備員の亜種に遭遇した時、奴らから発せられるプレッシャーに耐えられる自信がなかった。

↑マカオ最強のカジノ、ホテルリスボア

僕は途方に暮れる。カジノする気満々でいたので帰りの船の便は夜中。それまで10時間もどうしろと言うのか。そもそもマカオにはカジノ以外の観光地は少ない。(金があればF1とかあったが、基本ビンボー人に優しくない街だ。)
そこでマカオ観光の中心たるセドナ広場を見終わった後は教会を巡ることに

↑セドナ広場。この辺りは宗主国ポルトガルの名残が残っている。

マカオは非常に面積が小さいため徒歩で歩き回ることにしたのだが…
暑い。クソ暑い。
なんだこの暑さは。
ヒートアイランド真っ盛りではないか。マカオ人は節電という言葉をご存知ないのか。
あぁ、タクシーとかバス使いたい。
だがそれは無理な相談である。これ以上マイナス収支にしてはいけない。どうもマカオは金がないと来ては行けないようだ。だが、マカオの教会群は日本と違い本場カトリックのポルトガルが建設したこともあって非常に壮麗で綺麗だった。

↑セントポール大聖堂跡。マカオで数少ない貧乏人に優しい観光スポット

↑祈りを捧げる修道女。中国本土では見れないだろう光景

少し真面目な話をするとこのマカオは香港以上に格差の激しさを感じた。超高級ホテルとボロボロの半スラム団地が隣り合っているのは異様な光景であった。そして観光客は誰もスラム街のことを口にしないどころか見向きもしない。リゾート地としてのマカオを求めてきた人々にとってはマカオの格差社会は初めから蚊帳の外、無意識の内に視界から除外しているのではないか。だからこそネット上ではマカオの正の部分しか見ないのだろう。そういう意味では街歩きは実際のマカオを知れて良い経験であったのだろう。暑いけど。迷子になったけど。

↑マカオタワー。この辺りはマカオの中でも高級住宅街。

あーだこーだしているうちに夜になったのでマカオの夜景を観に行くことに。香港を文明の夜景とするならマカオは狂乱の夜景である。なお当然ぼっちである。夜景を見ながらチューするのは万国共通なのか、僕はイチャつく若者達をガン無視しつつ写真を撮ると惨めに退散した。悲しいなぁ。

↑マカオの夜景。金の匂いがプンプンするぜ。

そもそも夜景というのは社畜達の血と汗と涙の集合体だというのを分かっているのだろうか、と西日本最大級の繁華街で夜勤をしている僕は声高に主張する。

特に何も得るものがなかったマカオから往路と同じく高速船で香港に帰還。めちゃくちゃ揺れる船にビビりまくる。これがここの普通なのだろうと思っていると現地人もビビっていた。マジすか。

そんな完全に敗北者の表情な僕を迎える今日の晩御飯は昨日に続いてラーメン屋である。
注文したのはずばり
HAKATA-RAMEN!!!
出てきたのはどう見ても博多系ではないし、なぜか蟹がのっているが確かにラーメンであった!昨日のモドキとは雲泥の差である!
僕は自然と涙が出てきた。
あぁ僕は今日、何を、してたんやろかぁ。
日本にいた時なら並みレベルと批評するラーメンだったが今の僕にはミシュランすら超える神の逸品に思えた。砂漠遭難者が水を見つけた時の気持ちがようやく分かった。僕は万感の想いを込めて「ごちそうさまでした!」と叫んで宿にルンルンと帰還したのだった。

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