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10円メールとさるさる日記

2024/04/15

なんでもお金で解決する父

PHSや携帯電話で彼氏やクラスメイトとメールをやり取りしていたのは高校1年生だが、ここではパソコンを通じてインターネットに触れた時の話をしよう。

中学時代に新し物好きの父が購入したゴツいパソコンはインターネットにつないでもらえず、ただのおもちゃ箱だった。
そんな私がインターネットに初めてアクセスしたのは、これまた「親子関係は金が解決する」と思っている父にノートパソコンを買ってもらった時だ。

私たちが高校を卒業するまでは、パソコンの授業なんかなかった。
だから、このノートパソコンは進学先の専門学校から用意しておくように言われたものだった。

専門学校に用意しておくように言われたもの

音楽の専門学校というのは実に暴利だった。
入学金も授業料もバカみたいな金額だ。
体験入学に参加しただけで合格をもらえるのは、お金を払えるなら通えるということ。
私という親の金食い虫がのうのうと育つ環境は、高校を卒業した後も用意されたわけだ。

入学案内の中に、用意しておくものが書かれたリストが入っていた。
まぁ、楽器をやりに行くので楽器は当然だが、私は既に持っていたので問題なし。
(入学後、もう1本買わされたけど)
そして、『ノートパソコン』。

学校のものをレンタルすることもできます、ということだったが、私はモノを借りるということが嫌いだ。
父にねだったら買ってくれた。
でも機種は選ばせてもらえず、新し物好きの父に任せた結果、当時SONYから出ていた『VAIO』が与えられた。

正直学校でのパソコンの授業など、あまり意味がなかった。
音楽に使うパソコンは学校のデスクトップだし、ノートパソコンの使い方くらい自分で学べた。
だから、そのパソコンは私のネットの相棒となる。

あとは携帯電話。
寮に入ることは親によって決められていたため、連絡手段を持つには携帯電話を持つ必要があった。
学校からの連絡網にも電話が必要だ。
今まで頑なに父からダメだと言われていたPHS。
内緒で持っていたこの子とはお別れし、『携帯電話』というものも手に入れた。

インターネットは電話回線で

当時、インタネットにつなぐには電話回線が必要だった。
寮の部屋にはそんなものあるわけがないので、携帯電話をパソコンに物理的につないで、通話をした状態でインターネットにつなぐ方式だ。
今では当たり前になった『インターネットつなぎ放題』などというサービスはなかったため、使えば使うだけ電話代が嵩んだ。

初めてインターネットにつないで見た画面には、『Yahoo! JAPAN』の文字。
感激した。
いろいろ調べることができる。
ニュースも読める。
あの日のYahoo! JAPANの画面はとても新鮮だったのを、今でも覚えている。

でもその間、ずっと通話中となっているため、必要な情報を得たらすぐに切らないといけない。
月の携帯代は3〜4万円だった。

ベル友の時代からメル友の時代へと移り、私はメル友をつくるようになった。
携帯電話でもメールはできたが、パソコンでやり取りする場合、パソコンに携帯電話をつなげて送受信をする。

10円メールとさるさる日記

この頃のメールは、1通10円の「10円メール」というものがあった。
「手紙だともっとお金がかかるし届くのも遅いのに、すぐに届いて10円で送れるなんてすごい!」
そんな感情を抱き、私はたくさんのメル友を作っていった。

『手書きのよさ』もあるということに気づくのは、もっともっと後のこと。
この時は、決められたフォントで作る文章がカッコよく思えた。

もうひとつ印象に残っているサービスが、携帯のネットからアクセスしていた『さるさる日記』だ。
今でいうブログで、日記をネット上に投稿するサービスだった。
学校帰りの電車で毎日書いていた。
あの頃の自分の日記がネット上に転がっていたら、心底笑えて黒歴史で楽しかったことだろうが、いつの間にかサービス終了していて、19歳の私には会うことができなかった。

インターネットに個人情報を書いてはいけないというネットリテラシーもなかったので、わりと赤裸々に書いてしまっていたはずだ。
私は昔から、文章を書くことが好きだった。

親不孝者の私は高額の入学金を払ってもらった学校を1年で退学し、さらに一人暮らしの資金も親に出してもらうのだが、アパートに移ったタイミングでパソコンに差してPHSの電波で使えるインターネット回線が生まれた。
ここで初めて、インターネット使い放題となる。
回線速度は今と比べるとかなり遅いが、使い放題だなんて嬉しすぎた。

これがきっと私の生活リズムを狂わせたのだろう。
朝までYahoo!メッセンジャーで誰かと話すこともあったし、音楽ソフトを入れて作曲に没頭したり、携帯電話の着信音を作ったりしたこともあった。

あれから25年。
1人1台以上のパソコンを持ち、スマートフォンという機械で調べ物も支払いもできて、タブレットで絵も描けて音楽も作れて、動画を編集して世界中の人に見てもらえる時代がくるとは思わなかった。
上手に活用していきたいなと思う。

#はじめてのインターネット

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