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映画『ちょっと思い出しただけ』を観て、いろんな事を思い出した

いろんな人を思い出した。
いろんな夜を思い出した。

恋は、時に残酷だ。先はいっさい見えないのに、全てを照らし出すような錯覚に駆られてしまう。誰かが言った。恋なんて、究極の勘違いだと。

この映画は、1組の恋人の、7月26日だけをを6年間遡る形で進行する。視聴者だけが2人の未来の結末を知っている。その前で、淡々と普通の恋人達が、普通の恋愛を繰り広げる。リアルに、実にリアルに。

自分ごとのように愛おしく感じるのは、池松壮亮と伊藤沙莉の、ユーモアのある演技の力か。

ジム・ジャームッシュ監督のナイトオンザプラネット。その映画のタイトルを、そのまま曲名にしたクリープハイプ。彼らのその歌を聴き、松居大悟監督が今回の脚本を書いたと、なんともまあ珍しい成り立ち。でもこの監督、日常を切り取って、それを切なく描くのが本当に上手だと思う。

「ちょっと思い出しただけ」は、いろんなことを思い出して、そこから未来を見つめ直す映画だ。まだ胸の奥が、少し痛む。
また少し、恋をしてみたくなった。

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