【登山記】熱地獄よりイズる!伊豆山曼荼羅を巡る~結明神社と伊豆山本宮
子恋いの森を抜けて、結 明神社へ
白山神社から結明神社へと向かう。子恋いの森というロマンチックな名前を持つ公園区域を歩いていく。
ここは中世のころからの景勝地という触れ込みなのだが、住宅地の近くでもありあまり美しさは感じなかった。しかし、歩いて気持ちの良い場所であることは間違いない。結明神社は、公園を抜けたところにあった。
写真の通りあまり大きくないが、厳かな雰囲気であり、森を散策したカップルが、互いに顔を見合わせ、肩を寄せながら参拝するという絵が浮かび、微笑ましく思った。
御祭神について伊豆山神社のホームページから引用する。
どことなくアマテラスとツクヨミを感じさせる神話であると思うが、大きな違いは夫婦になり、それが伊豆権現の祖となったというところだろう。素朴な信仰が垣間見えるようで好感が持てた。
伊豆山神社の本宮へ
ここに来るまで、想定以上に時間がかかってしまった。途中、行者跡や白山神社をゆっくりみたせいもあり、ここまでで一時間以上かかっていた。
雲行き怪しく、小雨がぱらついてきた。
しかし、せっかくここまで来たのだから、伊豆山神社の本宮まで行ってみたいという思いのほうが強かった。
結明神社からの道は、ちょっとした登山だったが、勾配は比較的穏やかで地面もさほど凹凸がないため歩きやすい。実際何人かとすれ違ったが皆、軽装で靴も普段靴の人が多かった。
20分くらいと思っていたが、思ったよりも早く本宮の鳥居が見えてきた。
石造りの古色蒼然とした鳥居であり、長い年月の信仰を感じさせる。
本宮境内には、ベンチや自動販売機もあり、登ってきた参拝者が休めるようになっている。ハート形に置かれた石が縁結びの神社らしく微笑ましく思った。
この本宮は、江戸時代の火事で焼けてしまい小さな本宮を残すだけとなったが、近年の大河ドラマ(鎌倉殿の十三人)の影響もあってか、このように立派なお社ができたようだ。
そしてこの伊豆山神社の裏手が、令和3年の土砂災害の発災地点となった赤井谷という場所である。伊豆山の谷間の頭に当たるここに不法投棄された土砂が大雨で崩れ、一気に土石流となり、逢初川流域の家々をなぎ倒し多くの人命を奪ったのである。
この災害は地元の人々にとって大きな衝撃であり、そして過去の信仰を思い出させることになったようだ。というのは、昔からこの谷間には災害があり、それを封じるための神社があったようだ。
しかし、その神社ごと流されるような災害が度重なり、いつしか忘れられていたようだ。この災害を受け、これを繰り返したくないという思いが結実し、この伊豆山本宮の境内に新しいお社ができていた。
私は、この水神社にも静かに手を合わせて祈った。
再び伊豆山神社へ 露出する流紋岩
伊豆山神社本宮からは戻る道は、子恋の森公園に入るあたりから、分岐ルートがあることが分かり、そちらを行った。どうやら近道らしい。
道は切通のようなもので、左右に土壁があり、その地表からはおそらく流紋岩であろう石が多数のぞいていた。この伊豆山自体が、火山のマグマが急に冷えた大きな岩山ではなかろうかと思っている。
途中に山神社とされた場所があり、注連縄が張られ立ち入り禁止だった。よく見てみると小さな石の社があった。やはり何か大きな石には霊威がやどっているのだろう。伊豆山神社が見えてきた。下りは早かった。
改めて伊豆山神社の本殿にお参りし、無事の下山を感謝しつつお祈りした。この伊豆山のあたりには修験の歴史があり、また科学的にも、巨大な大陸と大陸の力がぶつかり合う、エネルギーの塊のような場所である。
その大地の力を、古の人は肌で感じ、そして神を見たのだろう。その神々の力に突き動かされて、歴史上多くの人が、信仰の道筋を作ってきた。それが今に色濃く残っている地区であると、そう思った。
伊豆山神社に来た際に、時間があれば、走り湯~伊豆山神社~白山神社~結明神社~本宮 とフルコースを巡ることも検討されてはどうか。
古の霊気がきっと素晴らしい効果や気分をもたらしてくれるだろう。そういう雰囲気を感じさせる素敵な神域である。
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