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Ambient jungle,Atmospheric jungle/d'n'bのつくり方:②Bass編

今回はBass編です。
Jungleでは808 Bassと呼ばれる正弦波(Sine wave)を用いたベースがよく使用されます(以前はDrop Bassと呼ばれていましたが、Trapというジャンルが確立されて以降この呼び名が定着したようです)。
近年のDAWではRoland TR-808や909のドラムキットがSample packとして(或いはInternal Pluginとして)初めから使用出来ます。今回はSynthesizerを使用して808 Bassをつくる方法と、TR-808 kickのSampleを加工してつくる方法とに分けて説明をしていきます。

1.808 Bassの音づくり

まずはSynthesizerを使用した808 Bassのつくり方に触れておきます。この方法が理解出来ると音づくりの幅が拡がり応用が利きます。

まずSoftware Synthesizerを立ち上げます(ここではSerumを想定して話を進めていきますが、他のシンセサイザでも同じことが出来ます。共通のこととしてDefaultの状態からスタートしてください)。
そうしたらOSC A(或いはOSC 1)の波形を正弦波(Sine wave)にします。SerumではAnalog_BD_Sinの波形を選択します。そして画面右下にあるVOICINGの設定をモノラルに切り替えます。

次にAHDSRの数値を以下のように設定して下さい。
(ATT  0.8~1.8ms)
(HLD 0.0ms)
(DEC 2.75s)
(SUS -∞db)
(REL 1.90s)
数値を入力したらMATRIXパネルを開きます。SOURCEをEnv1、DESTINATION→Global→Mast.Tunを選択し、スライダーを2に設定しPitch Modulationを掛けます。
2小節分の808 Bassをつくりたいので、Decay timeは以下の計算になります。
BPM174=174拍
1拍の長さは60÷174
4/4の時、1小節は4拍。2小節は8拍になるため
(60÷174)×8=2.75(秒)になります。
Attack timeは速すぎるとクリック音が発生し、遅すぎると輪郭がぼやけてしまいますので、適切な範囲で調整を行って下さい。

次に、LFOの設定です。
(LFOのMODEはいずれの場合もENVにスイッチを入れて下さい)
形としてはENV1と似たようなLFOを描きますが、トップポイントを左上のグリッドまで引っ張り上げ、テンションを下げてやや鋭利な形にします。
そして波形右上にあるA Coarse PitchにLFO1をアサインします。MATRIX画面のAMOUNTのスライダーを右に動かし12に設定します(つまり1オクターブ上です)。そうしたらOSC AのLEVELノブにも同様にLFO 1をアサインします。A Vol 75%(-5.0db)、LFO 1→A Vol:25に設定します。

LFO 2も上記と同様な形ですが、少しだけテンションを持ち上げます。WT POSノブにLFO 2をアサインした後、A WT Pos:1、LFO 2→A WT Pos:50に設定します。

LFO 3の設定はLFO 2よりもさらに少しだけテンションを持ち上げます。FILTERのスイッチをONにして、OSC Aのフィルターを有効にします(MG Low 12)。LFO 3をCUTOFFノブにアサインし、ノブを一番右まで回します。
LFO 3→Fil Cutoff:-50に設定します。

以上が808 Bassの基本的なシンセサイズです。
AHDSRやLFOを調整して目的に合わせた音づくりを行って下さい。
もし歪んだパンチのある808 Bass が欲しい時は以下のFXを追加して下さい。

FXパネルでDISTORTIONを有効にします。Tubeを選択しDRIVEを100%に設定します。必要に応じてDRIVEの値を下げてください(或いはDRIVEの値を徐々に上げて必要な歪を得られるように調整して下さい)。
次にCOMPRESSORを有効にし、THRESHの値を-3dbまで下げ、スレッショルドを下げた分だけGainを持ち上げます(CmpGain:3.0db)。その他の設定はそのままでも大丈夫です。基本的にサチュレーションを掛けて倍音を足した方が良いので、上記2つのEffectを調整しながら音づくりすることをお勧めします。

2.TR-808 kickのSampleを加工する

まずはTR-808 kickのSampleを用意します(出来る限り質の良いSampleを準備して下さい)。今回はFL StudioのFPC(Free Expansion pack)の中からFPC_kick_808Lng_01を選択し、ドラッグ&ドロップでSamplerに送ります。C5(ド)の音が自動的にRoot noteに割り当てられますので、この状態からスタートします。

File settingでFPC Free Expansion packを指定しておくと、左側のBrowser画面でSampleを選択しやすくなります。以下はフォルダの階層です。
Windows PC
(C:\Program Files\Image-Line\FL Studio 21\Data\Patches\Plugin presets\Generators\FPC\FPC Free Kits\Packs\FPC\Expansion\)

Sample内部で808 kickのOut(Fade out)ノブを回しReleaseを調整します。ミキサーのFX slotにEQ(或いはDynamic EQ)を挿し63Hz付近をPeakingします。必要に応じてHi pass又はLow shelfで20~25Hzの低域成分をカットして下さい(-12db/Oct)。もしお気に入りのpluginがあればFilterとサチュレーションを掛けて調整を行い、目的に応じた音づくりを行って下さい。

3.Bassラインを入力する

Bassラインのつくり方の基本としてはトライアド(3和音)の中に収まるように808 Bassを配置していきます。今回はF(Minor) keyという設定ですので、F,G#,C(ファ、ソ#(ラ♭)、ド)の音を使用します。Bassラインをつくる際にノートを1オクターブシフトさせたり、シンコペーションを使用するとノリが生まれやすくなります。Ambient jungle,Atmospheric jungle/d'n'bのDJ mix等を参考に、Bassラインを構築していきましょう。

※ノートを配置する際に、次のノートに音が重なることを防ぐためにSamplerのCut/By設定を行っておきましょう。ここではCut 1/By 1とします(尚、FL StudioではCut selfボタンを押すと自動的にCut/Byの数値が割り振られます)。4×4の16Pad midi コントローラーや、MPC、Machineシリーズ等、SampleをPadにアサインしトリガーする際に、このCut/By設定は殆ど必須のものになります。

Ambient jungle,Atmospheric jungle/d'n'bの雰囲気によって使用するBassの音色が異なります(Jazz Bass、Synth Bass、Detune Bass、Dist Bass、Sub Bass(Sine Wave)等)。最終的には曲の雰囲気に合った、聴き心地の良いBassを選択して下さい。

今回は以上になります。
追加要素については随時更新してゆきます。
それでは、また

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