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第25回:これからのオフィスってどうなるんだろう?

この質問は筆者などが問うまでもなく、家具メーカー様、建築会社様、不動産サービス会社様から、企業経営者、総務部の方まで日々試行錯誤しながら取り組んでおられる課題かと思います。また、著名なCEOが当社の社員は出社すべきだと言ったりはたまたその逆の意見が出たり・・。

出社するのかしないのか、ソーシャル・ディスタンスはどうなるのか、何人出社して何人おきに座るのか そしてそもそも出社しないのならば会社のオフィス席数を減らして交流スペースに改築してはどうか、いやあるいはもうこのスペースは不要だから貸主に返してしまおう、等々。 

昭和末期に生を受けた日本人として筆者も、1990年代後半から色々な会社で働きました。

最初に働いた会社は清く正しく美しい、重厚長大な日本の上場大企業(の子会社)でした。オフィスのレイアウトと言えば、座席を区切るパーテーションなどなく、川の字に第一営業部、第二営業部・・と並んでおり、部長のみがスタッフと違う角度で上座らしき場所にデスクを設けて座っておられました。その後外資系企業に転職すると、今度は真逆。パーテーションの高さときたら、立ってやっと顔が見えるくらい。そのパーテーションに三方を囲まれて、大きな舶来もののデスクとチェアーに座って厳かな静寂の中で仕事をしたものでした。そして役員さんや部長さんたちはガラス張りの個室の中でお仕事をされておられました。

その後、いやこれではいかんのではないか。一人ひとりが巣箱の中に入って孤独に仕事をしていては、社員同士のふとした会話やコラボレーションが促進されない。革新というものはふとした会話や交流、何気ない繋がりやコラボレーションから生まれるのではないか。

・・ということで、最先端の外資系企業ほど、固定席をやめてフリーシーティングになり、役員から個室を召し上げ、固定電話もパーテーションもなくなり、そのかわりに卓球台や、コラボレーションエリア、立ったまま会議ができるハドルルームだの、座ったままままじゃ健康に悪いってんで昇降デスクを取り入れてみたり、瞑想ルームやら、ヨガルーム、オーガニックのお菓子や生の果物が食べ放題のカフェテリア・・といったラグジュアリーなオフィスになったのがコロナ禍前5年くらいの「最先端のオフィスづくり」のトレンドだったでしょうか。

それらがほぼある日突然、終わりを迎えた2020年。

2020年、限られた職種の方を除きオフィスに行かなくなってしまった。その後、2022年現在は業種や職種により濃淡はあるでしょうけれど、コロナ禍以前に比べ在宅勤務が各段に普及し、特に外資系やベンチャー企業においては「在宅勤務がベース」となっている企業も多く、日本の上場企業においてさえも在宅勤務を積極的に取り入れている会社が増えてきました。

そんな中、冒頭申し上げた通り、各企業のみなさまは各々の経済状況や感染対策ポリシーや従業員エンゲージメントを加味しながら、「人がいないオフィスをどのように活用するのか、しないのか」を試行錯誤されておられる事と思います。これは、「コストをかけて、あるいはコストを抑えつつ、自宅から仕事ができる今の時代に社員からみても会社から見てもオフィスの付加価値を高めるにはどのようにしたら良いか」という問いに帰結するのではないでしょうか。これは更に問い詰めていくとシンプルに・・

「オフィスの付加価値とは何か?」

という問いにたどり着きます。

それでは、ソニック・アーキテクトが「音の環境づくり」の視点から考えるオフィスの付加価値とは何でしょうか?次号以降、ご紹介してみようと思います。

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