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恋をするように生きていきたい

#はじめて借りたあの部屋

「たくとの家遠いんだもん」

駅から徒歩約20分。僕がはじめて借りた部屋は便利すぎる都会から少し離れた堤防沿いにある。
北海道から上京が決まった2年前の冬、「絶対に一人暮らし」を譲らずに貫いて決めた5畳半ロフト付きの1K。
住んでみてからわかったけれど、玄関のドアがちょっと歪んでいる。

遠距離の彼女とデパ地下の焼き鳥を焼いたトースター、歯磨きしながら寝落ちして少しハゲたフローリング、最後に叶ったロフトで布団にくるまってみる映画、毎日欠かさず覗いていた郵便受け。
シャワーのためだけに帰って、ガストに向かったテスト期間。結局最後まで家では勉強できなかったなぁ。
はじめて好きな人とのお泊まりをしたり、親友と銭湯から深夜3時に帰ってくるなんてこともした。駅から遠い帰り道を想像して、友達の家に転がり込んだ夜。20分をタクシーに乗るなんて大人な技も教えてもらった。

仕送りの大部分を占める家賃を払ったのに、1ヶ月以上旅に出たり。

はじめて借りた家で、はじめて一人暮らしを共にした仲間たち。
使われない掃除機とテーブルとロフト。
テレビもインテリアと化し、月一くらいしか音を鳴らさなくなった。
最近はベットとも仲良くなれた(気がしてる。)
(床とベットどっちの方が多く寝たのだろう。)

2年という時間をかけて、駅から遠い5畳半は、たくさんのはじめてを共に味わった大切なパートナーになりました。

家に住むって恋愛と同じかも。

出会ってから良いところも悪いところも知って、
時間をかけて自分だけの思い出ができてきて、
帰りたくない夜も行きたくない朝も、
窓から見える夕日が綺麗で、思わず言葉を失ったり、

新しい出会いはとても疲れるし、また「はじめまして」からのスタート。
しかも、もう2度と同じところに戻ることはきっとない。

親友と夜中語り合った床も、猫のぬいぐるみと寝た窓際のベットも、一番の決め手だった木目調のロフトも。
「はじめての自分の家」はもうただの部屋ではなくなってしまった。
そして今度は、想い出の詰まったこの空間が、新しい誰かとのドラマが紡がれる場所になる。たくさんのドラマを紡いでほしいなぁ。素敵なやつね。

さて、今日引っ越しをした。
今度は駅から10分。周りはビルや住宅やお寺。
次の2年はどんな時間になるのかな。想い出の詰まった空間になりますように。

2020.01.07 たくと


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