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音程感覚のリセット

ヴァイオリンやヴィオラのような弦楽器はフレットが無く
無段階に音程変化を出す事が出来る自由度が高過ぎる楽器です。
その為、音程を創るという作業が必要となります。
弦楽器の難しさはココに尽きるのでは無いでしょうか。

私は高音域に行くに従って音程感覚が
少しずつ高めに浮いていく傾向があります。
E線上で2オクターブ程度駆け上がっていくと2オクターブ上のEが
半音程度感覚が狂いFぐらいになっていたりします。

ただコレは誰しも多少発生する現象で人間の耳には
音程感覚は高音域、低音域共に次第に広がっていくもので有り
実際に平均律で調律されるピアノであっても
高音は少し高め、低音は少し低めに調律する事で
人間の耳に自然に感じる様に調律されています。

レイルズバック曲線

弦楽器の調弦に使われる五度調弦もだんだん音程が広がっていく事からも
人間の音程感覚は低音高音に行くに従い広がっていく事は
体感できるのではないでしょうか。
ヴィオラチェロはA=442Hzで合わせた後に3回五度調弦をして
Cを合わせますが、この開放弦のCの音はA線上で短3度上がったCより
かなり低めに広がっています。

とはいえ2オクターブの駆け上がりで半音上がるのは
明らかに音程感覚が高めに浮き過ぎですから
演奏の中で定期的に音程感覚のリセットをする様にしています。
こんな時に強い味方になるのが開放弦です。

演奏上で意図的に開放弦を避けて演奏している曲でも
音程リセット目的で敢えて開放弦を
使用するポイントを決めています。
高音域の演奏時には開放弦のフラジオをリセットポイントに使います。
直接開放弦を使わない場合でもG線上のCやD線上のA等
開放弦の隣の弦での1オクターブ上の音が出てきた場合にも
開放弦との共振が体感出来るので
音程感覚のリセットをするポイントとして使えます。

ただコレ困ったことに#や♭の多い調性の曲だと
曲中に開放弦や開放弦の倍音がなかなか出て来なくなり
しまいには全く出て来ない曲も結構あります。
#や♭の多い調性の曲は音程を創るのが大変難しいですね。

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