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ピッチカートにヴィブラートを掛ける話

私は基本的にピッチカートにヴィブラートは掛けないのです。
コレには理由が2つあります。

・ 表現的に素朴感を出したい
ピッチカートを使う場面ってフレーズを朗々と歌わせる場面より
むしろ素朴にポロンポロンと鳴るイメージへの場面転換が多いと思います。
あまりヴィブラートを掛けて歌わせたいと思わないんですよね。

・ 響きが短くなる
これが今回の本題の衝撃的な理由です。
先日、ブラームス交響曲第4番の第2楽章で
ピッチカートが延々続く場面が有るのですが
響きが短くなるからヴィブラートは掛けないで!という指導が入りました。

ブラームス交響曲第4番 第2楽章

イメージ的に響きを長くしようして掛けている人がほとんどだと思いますが
イメージと現実は逆で、実はピッチカートにヴィブラートを掛ける方が
サスティーンタイムが短くなります。
これは開放弦でピッチカートを鳴らした時と押弦で鳴らした時を比較すると
圧倒的に指で押弦した方がサスティーンタイムが短くなりますよね。
ナットに使われる黒檀の様な硬い素材は振動を吸収しにくいですが
指肉のような柔らかい素材はクッションの役割を果たして
振動をドンドン吸収してしまうのです。
さてそこでヴィブラートを掛けるとどうなるでしょう。
押さえっぱなしの時は、ある程度は指肉も固定され硬さを持ちますが
ヴィブラートの為に揺すると柔らかい部分の指肉を
次々と当て続けに行く事になりますよね。

もちろんピッチカートは長い残響を残す事が
必ずしも求められている奏法では無いですし
歌わせる事が必要な場面も有るかもしれませんので
正解は有りませんが、イメージと実際に起こる現象は
必ずしも一致しない事も有るんですね。

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