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僕は「この車」が好きなんです

2014年の記事です。


「日産車でサーキットを走るのが好き」

な人達の為のイベントに、呼ばれました。

受付の隣にマッサージベッドを置いていましたが、今のところ誰もマッサージなどに興味なく、車に夢中すぎで、私はすっかりマッサージブースから離れて、優雅な時間を満喫しております。

朝、コースの説明を聞く人達をしみじみ眺めたら、99パーセント男性でした。ほんとは、付き添いの彼女や奥さんが疲れちゃって、「揉んで」って来る見込みだったんだけど、本日は雨あがりで、付き添いの女性がほぼ皆無。男女差、出るなあ。。。日本語なのにカーレースの専門用語ばかりで何を話しているのかサッパリわかりません。

説明中、皆同じところで笑ってました。動詞ってことだけわかった。笑
言葉か通じないってこういうことね。

雨上がりでコースに沼ができちゃってたのを、1時間でなんとかしたそうです。ポンプを使ったのか、水はけの工夫なのか、どっちかしら。

同じ顔のクルマばっかり走ってるんだ、と見ていたら、同じ車種でカテゴリー分けして走行する企画でした。

同じ車種で走ると、仲間意識が生まれてとっても楽しいそうです。
公道を走れない車、つまりレース用のナンバープレートの無い車や(公道を走れないのでトラック(ローダー)に乗っけられて来る)、撮影用に前のプレートだけ外した車が沢山あった。ナンバープレートの無い車は首輪の無い動物みたいに自由な感じがしました。

私の知る富裕層の方で、「小学生からスポーツカーが好きで、どうしても現物を運転したいので、家の敷地に私道を作ってもらって乗っていた」というこち亀の中川のようなおじさんがおりますが、それを思い出しました。

あちこちから暴走族みたいな音がして、ここにも、どこにも2〜4人のおじさんが固まって、車談義をしています。年齢制限してるのかなと思うほど年齢層が高め。若い人で走り屋系の車に乗ってる人、少ないものね。。。。フーム。ここにも時代の変化が。

ある30代の男性がこう話してくれた。
小学校のときにドラマの「あぶない刑事」で見た車に一目惚れして、「俺、大人になったら絶対これに乗りたい!」って誓って、ずっとバイトしてきた。
大人になってお金が貯まったときには、その車種は中古車しかなかったけど、やっと買って、大切に乗っている。

「フォルムが好きで、どの角度からも好きで、どの部分も好きで、すべてが好きで、見飽きることが無くて、乗っているだけで幸せ」

なんだそうです。

「この車が走れなくなったらどうするの」

と聞いたら、車屋さんにエンジンを1つ取っておいてもらっているので、それを乗せ替えて乗り続ける、そうです。

小学校から、一目惚れで。
見ているだけで幸せって。
恋じゃないですか。ある車種に、そこまで思い入れるって。

私、人にはめっちゃ思い入れますけど(重いって自覚してます)、モノに惚れ込むとか、それも塗料を塗って硝子をはめた鉄加工品、しかもゴムとガソリンの臭いのする工業製品に惚れ込むとか、
そういった感覚が皆無だったので、「は・・・・?」って、言葉を失うくらい驚きました。

全く知らない世界でした。

皆、自分の車が大好きで、新品だとか、ヨーロッパ製とか、皆が振り返る超高級車とか、そんなことはどうでも良くて、ただただ、自分の好きな車が好きで、それに長く大切に乗るためにお金と時間をかけていて。
新鮮すぎて、ホトホト面白く彼らのお話を聞きました。

ボンネットに大きく初音ミクが描かれている車もあった。

「これはね、本物を描くとだめだから、あちこちちょっとずつ変えてあるんだ。家族には不評だから、もう一台地味な車が家族用にあるんだよ」

「イタ車?」「そうだよ。いいでしょー」「いいなあ」

好きなもののために、働く。

面白いなー。

しかも彼らは、話してみると優しくて細やかな人たちなのだった。想像してた車好きな人種のイメージと全然違いました。(超偏見)

この歳まで生きて来て、つくづく思うんですけど、
知らないことを「まだ何も知らなくて」と言えれば、世界は優しくて、
知ろうとする人には言葉を選んで教えてくれる。

若いときは、私と違う世界の人間というものは総じて、私のことを軽蔑するに違いないと思っていた。
あれは自分がむしろ世界を軽蔑していただけであって、本当に勿体無かった。

面白く、長い一日でした。
明日も、良い日に。

ではでは、サロンでお会いしましょうね!

https://www.iki-aoyama.com/

(2018年9月30日の記事)

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