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「人間性尊重」〜命の時間〜 #11

突然ですが、「トヨタウェイ」をご存知でしょうか?

「トヨタウェイ」とは、2001年にまとめられたトヨタ自動車の社員が皆身につけるトヨタ人としての流儀のようなものです。

トヨタウェイによる価値観の共有

トヨタが「どのような会社でありたいか」という企業理念を表したものが「トヨタ基本理念」である。これを実践する上で、全世界のトヨタで働く人々が共有すべき価値観や手法を示したものが「トヨタウェイ2001」である。

トヨタウェイの構成要素

トヨタウェイの2つの柱は、「知恵と改善」と「人間性尊重」である。「知恵と改善」は、常に現状に満足することなく、より高い付加価値を求めて知恵を絞り続けること。そして「人間性尊重」は、あらゆるステークホルダーを尊重し、従業員の成長を会社の成果に結びつけることを意味している。

トヨタの企業サイトにもあるように、「トヨタウェイ」は2つ概念で構成されています。それは、

人間性尊重
知恵と改善

です。

「トヨタウェイ」については、トヨタ自身がネットでも内容を説明していますし、書籍なども出ていますので、詳細はそちらをご覧いただくとして、僕が学んだ範囲で、そして僕なりの理解で、この「トヨタウェイ」について考えてみたいと思います。

トヨタは徹底的なコスト管理をすることで有名ですが、その取り組みにもこの「トヨタウェイ」の価値観が反映されています。

構成要素の1つである「人間性尊重」とは、社員1人、1人を大切にし、成長を促すことを表していますが、それはもっと具体的に1人、1人の「時間」を大切にするということも意味していると思います。

人は誰しも同じ時間を平等に与えられていますが、確実に死に向かってその時間を消費しています。失った時間は二度と取り戻すことはできません。

したがって、ここでいう「人間性尊重」とは、「1人、1人の命の時間を無駄にしない」ということも表していると思います。

時間当たりの生産性を式で表すと、「付加価値/時間」となりますが、労働強化の思想は、付加価値を高めるためには時間をかけても良いと考えます。過労死などを助長する長時間労働が社会問題となりましたが、長時間労働を容認する姿勢は労働強化の考え方です。

しかし、トヨタは労働強化を否定します。労働強化は命の時間を浪費していると考えるからです。したがって、付加価値を高めるために時間をかけるべきとは考えません。逆に時間の浪費を抑えながら、付加価値を高めるべきと考えます。

では、どうすればそのようなことができるのか、そこで出てくるのが、もう一つの構成要素「知恵と改善」です。それを実現するために「知恵と改善」があるというロジックです。

トヨタでは、業務改善における真因追求のために「なぜ」を5回繰り返すといいますが、トヨタにとっての業務改善は、生産性を上げるという目標に向かって、命の時間を確保するためのものになりますので、まさに「命がけ」のことなのです。

それにより最終的にはコスト削減に繋がると共に、付加価値も高まり、利益に繋がるという流れですが、本当に良く考えられてるなと思います。もちろん、実際にそれを実現するとなる並大抵のことではないと思いますが。

トヨタの流儀は「従業員1人、1人の命の時間を無駄にしないこと」というのは、非常に興味深いです。まさに、「人間性尊重」です。この意味を理解すると愛社精神も高まるのでしょうね。

ちなみにキリスト教は時間という概念をとても大切にするのでアメリカ人はトヨタウェイを理解しやすいようですが、インド人はなかなか理解しないようです笑(と聞いたことがあります。真意は分かりません。)


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