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ダイバーシティ(多様性)はなぜ必要か #33

「投資のプロは目隠しをした猿に勝てない」と言われるそうです。

実際にアメリカで、投資のプロが選ぶ株と、素人が適当に選んだ株でどちらが利益をあげるかで勝負したところ大して変りがなかったという話があるようです。

「効率的市場仮説」というものがあります。すごく簡単に言えば、市場こそが一番効率よく稼いでいると仮定することですが、逆に言えば、持続的に市場のリターンを上回る利益を上げることは不可能だということでもあります。

つまり、この仮説に基づくと、株や金融商品への投資は、短期的には儲かる時もあれば損する時もあるけれど、長期的には市場のリターンを超えるリターンを得ることはできないということです。

「効率的市場仮説」を前提とした「ポートフォリオ理論」は、一つ一つの株価を分析せずに、市場全体の動きと個々の株との関係性を分析して、なるべく効率の良いと思われる市場のリターンに近づけようとする考え方です。

「市場のリターン」とは、市場に出回っているすべての株に対して、投資家が投資したお金から生み出される総利益のことで、通常パーセントで表わします。例えば、市場のリターンが10%なら、100ドルの投資で毎年で10ドルのリターンが得られるということになります。

そして、市場のリターンが10%のときには、理論上、いくつかの株を選んで投資しても10%以上のリターンを得ることは長期的には不可能ということになります。

では、この最も効率の良い「リターン」に近づけるにはどうしたらよいのでしょうか?

このような疑問から生まれたのが、先ほどの「ポートフォリオ理論」です。

「ポートフォリオ理論」とは、いろんな種類の株を組み合わせてポートフォリオを作ると、一つ組み入れるごとに個別の銘柄が負っている特殊なリスクが減っていき、効率的に市場のリターンに近づいていくというものです。

市場ポートフォリオは、出回っている全ての株が入ったポートフォリオですから、どんなに頑張っても真似することはできません。

実際にはすべての株のリターンを算出するのは難しいので、その代わりに効率的市場のリターンを代表するダウジョーンズや日経インデックスなどの選ばれた企業のポートフォリオから出てくる数値を近似値として用いています。

だから一番効率の良いリターンを目指すには、日経インデックスなどの市場を代表するポートフォリオに近づけていけば、リスクに対してリターンを最大にすることができるということになります。

理論では、色々な種類の30銘柄以上を組み合わせると、それぞれ固有のリスクがほぼ打消し合わされるので、それ以上組み合わせを増やしてもリスクの大きさにはあまり変化がなくなるそうです。

いろいろな銘柄を組み合わせることをdiversification=多様化といいます。

現代ビジネスでは、「ダイバーシティ」の重要性が強調されておりますが、組織活動においても多様な考え方や見方を受け入れることで見えないリスクを打ち消し合い、効率の良いパフォーマンスを目指すことができるということなのだと思います。

出展:40歳からのMBA留学:オーストラリアでビジネスを学ぶ-Chapter37 やさしいファイナンスの話-


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