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「バーキン買うなら豊胸しろ」というコピーを見たが

ごめんなさい。私ならバーキンを買います。

高速を走っていてふと窓の外を見たら、ビルの谷間に「バーキン買うなら豊胸しろ」と書かれた美容整形を呼びかける大きな看板があった。なるほど、バーキン1個分の値段で豊胸手術が受けられるのだなと納得し、キャッチーなコピーだなと感心した。わかりやすいし、何より記憶に残る。

だが、長い人生経験を経た今、もし、豊胸かバーキンかと迷っているお若い方に助言を求められたなら、「バーキン買っとけば」と言うだろう。いや、もちろんケースバイケースなので、切実に悩んでいる方にどうこう言うつもりはない。私の個人的な感想である。私も、お金があれば直したいと思う箇所はいくつもあった。気持ちはわかる。だが、なぜそう思うのか。

それは、人の体は皆一応に四角くなると悟ったからである。

人の体は、いつか四角い直方体となる

うちの近くには、規模は大きくないがいい感じの健康ランドがあり、私はしょっちゅうそこに行っている。ぬるめの炭酸湯が心地よく、20分くらいじーっと浸かっている。まあ、その間ヒマなので周りを見るともなく見ているわけだが、人の体というのは実に千差万別だなあと感じると同時に、ざっくりとした共通項を見出した。

その共通項というのは、若い人の体は丸みをおびて円柱形であるが、歳をとるにつれ体が四角い直方体になっていくということである。太っていても、痩せていてもそうである。胸は下向きになり体と一体化し、胴体のくびれは消え、お尻はぺたんこになり、ボディラインが直線化する。凹凸が消えた体は、なんとなくガンダムみたいなロボット型になっている。何度も温泉に行くうちに、人は最後は似た感じの直方体になっていくのだと確信したのである。

若い時はナイスボディに憧れ、自分の容姿に劣等感を感じたりしたものだが、いやもう最終的にはみんな直方体だなーって。いや、さらなる最終形態としては骨だし。そんな諦念を抱きつつ、炭酸湯で冷えた体と心を温めたその翌日に例の看板を見てしまい、結論はバーキン一択だったのだ。

もっと言うなら、バーキンよりダイヤモンドの方が価値が目減りせずにいいかもしれない。自分のお金を大切にね!



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