小泉純一郎さんと、タブー、忖度なしで話した映画「放送不可能。」公開

僕が長年追いかけてきた
テーマの一つが「原発問題」だ。
1976年に出版した
『原子力戦争』は、
放射能漏れ事故を扱ったサスペンスで、
映画化もされた。

その後、2011年の東日本大震災の際、
福島第一原発事故が起きた。
いったいなぜあの悲惨な事故が、
起きてしまったのか。
僕は東京電力、政府関係者、
研究者などを徹底取材し、
『日本人は原発とどうつきあうべきか』
という本も出した。

あの福島の事故以降、
どの首相も原発の推進には
慎重姿勢だった。
少なくとも「新設」はない、
という明確な流れがあったはずである。

ところが、岸田首相は、
去年の夏頃から、
「推進」へと舵を切っている。
いったいなぜなのか。
背後には何があるのか。

原発が抱える多くの問題から
目をそらしたまま、
安易に原発新設、
あるいは運転期間の延長などを
許してしまっていいのか。
僕には、原発問題を徹底的に
議論した人物がいた。

元首相の小泉純一郎さんだ。
小泉さんは首相時代は、
原発を推進していた。
しかし、2013年フィンランドの、
高レベル放射性廃棄物の最終処分場
「オンカロ」を視察し、
原発反対になったという。

なぜか。核廃棄物を
無害化するには、
なんと10万年という
気の遠くなるような時間がかかる、
というのだ。
その間に地震、地殻変動など、
何が起きるかわからないではないか。

その説明を聞いて、
小泉さんは「原発はダメだ」と
直感したのだ。
ましてや、日本にはその処分場さえない。
計画はあるものの、
候補地さえ決まらない状態だ。
原発を続ければ必ず出る、
核のゴミはどうするというのか。

小泉さんと、タブーなし、
忖度なしで話した内容が、
映画として発表されることになった。
タイトルは「放送不可能。」。
小泉さんは、首相在職を振り返り、
「なんで信じてしまったのか。
原発は、安全・コスト安い、
クリーンエネルギー。
全部ウソだった!」と叫ぶ。

小泉さんも僕も、
タブーも忖度も一切ない。
原発問題は、
「墓場までは持っていけない」と、
覚悟を決めている。
3月から全国で順次公開予定だ。
ぜひご覧になっていただきたい。