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引っ越してました。 ~「引っ越したい。」のその後~

こんにちは、taicchanです。
最近の更新はめっきり短歌に寄って、梓央里さんになってました。
久しぶりの雑文は、久しぶりの引っ越しテーマです。

□「引っ越したい。」のその後

前の部屋で「引っ越したい。」を書いてから、早くもまる一年経ったようです。

結論を先取りすると、無事に今年の一月に引っ越してました。
それまでのシリーズで書いてきた条件にほぼ合う部屋と奇跡的に出会うことができ、今の部屋にはすごく満足しています。

前の部屋で得られた家事の自動化、間取りを広く使うコツはそのままに、すこし物理的にもお家賃的にも高めの部屋へ転居。
窓辺から離れた丘陵を臨むことができ、以前暮らしていた金沢での住まいを思い出させてくれます(僕のベストルーム・ベストタウンは今のところ金沢です)。

あの記事を書いていた頃、まるで熱に浮かされたように「引っ越したい、引っ越したい」と部屋を探し、インターネットや住まい探しアプリを暇さえあれば見つめていました。
そして、オンライン上で4社、実際の商談を2社と行い、昨年の年末より少し前に契約。その時、部屋探しで自分が大切にしていることを改めて意識させられました。

□部屋探しで大切にしていること

・オンラインのみでお話を終えた会社の特徴

「あ、これが自分にとって大切なんだ」と気づいたこと、それは相手が自分をどう捉えているかでした。
営業マンにとっての成約一件のタネなのか、良いところに住んでほしいと思ってくれているのか。その比重や、客=自分への伝わり方。すごくシンプルなところですが、最後の会社さんの決め手になったのはそこです。

オンライン上でのみお話しさせていただいた会社さんは、希望の物件が埋まった際に代案を提示してこなかった会社さんです。あるいは、その代案を提示するための材料を聞き出そうとしてこなかった会社さんでもあります。

僕が持っていた条件は、立地的にも構成的にも人気が出やすいものでした。僕が成約しなくても、代わりに住む人・住みたい人はどんどん現れるような条件です。
そんな相手のために、どれだけ手間や時間を割いてくれるか。代案の提示や条件の深掘りをしてくるかどうかは、相手の熱意を感じ取る上でとても重要でした。

・実際に商談した会社の違い

その後、会社の同僚の紹介で1社、自分の検索から出会った会社さん1社と実際に商談をします。ここでも、僕は2社の間での温度差を強く感じました。

最初に行ったのは、同僚に紹介してもらった会社さん。目の前に座った営業さんは、やり手な感じで知識も豊富そうでした。
いま思えばよく我慢したなとも思うのですが、この方と向かい合ったあと、1時間全くお話をしませんでした。
商談の数日前にこちらの条件を電話でお伝えしていたのですが、実際の商談の席になって初めてパソコンを開き、1時間無言で部屋を探し続ける状況。1時間まるまる放置です。
そして、希望に見合う部屋は残念ながら見つかりませんでした(近い部屋はいくつかあったのですが、後述します)。
その時に言われた言葉を、今も鮮明に覚えています。

「ここまで探して見つからないなら、かなり条件的に難しいです。なので、月に一回商談日を決めて探し続けましょう。いつにしますか?」

引っ越しはえてして、100点を取れないものです。
理想と妥協をどこで調整するか、暮らしのカスタマイズで後にどれだけ加点していくかが重要なのですが、この営業さんは70〜80点クラスの部屋が見つかった際も内見の問い合わせ等は一切行いませんでした。

こちらの理想の部屋探しにとことん付き合ってくれると言う熱意のある方ならわかるのですが、残念ながら商談の応対からそうした気持ちを感じ取ることはできませんでした。なので、断る前提で仮の日程をお伝えし、お店を後にしました。
その時のやるせない気持ちは、今でも忘れられません。

それから数日経って、最終的に契約する会社さんと出会います。
今住んでいる街から数駅離れたところにある、グループ系ではあるものの決して大きくない不動産屋さんでした。
担当してくれた方は、若手の営業さん。先述の方とは対照的に、経験のなさを必死さ・ガッツで補おうとする雰囲気を感じました。

お店で着席し商談を始めた際、すでにリストアップしていた物件のコピーを手元に置きながら、その方は挨拶後の二言目にこう言ってきました。

「taicchanさんは、どうして今回引っ越したいってお考えになられたんですか?」

横柄に感じた対応を不動産屋さんで取られてから、数日しか経っていません。思わず固まるほどびっくりしました。
こちらの店舗にも事前のお電話で条件はお伝えしていたので物件のリストアップはできていたようなのですが、whyを聞いてきたのは今回の引っ越しでこの会社さんだけでした。

当時noteに書いていたことやその先で考えていたことを、この営業さんに全て話しました。自分がしたい暮らし方、その暮らし方と今住んでいる場所のギャップ、もし引っ越したらはじめたいことなどなど、気がつけば約1時間。
放置されていたのと同じだけの時間は、あっという間に過ぎました。

僕自身、営業として働いています。営業の仕事は、お客様と会話しお客様が抱えている課題をいかにして解決していくかを一緒に探し、実現していく仕事だと考えています。それを、目の前の若手の営業さんが自分に対してしてくれている。

心の底から喜びが湧き、この人と自分の部屋を見つけたいと思いました。

その後、先方のご都合でこの方は僕の担当から離れてしまいます。非常に残念でしたが、後任となる先輩営業さんもまた同じように自分に接してくれました(少し温度は低くなりましたが)。

□おわりに

引っ越しを繰り返していると、いろんな知識が得られます。
例えば、不動産会社は共通のデータベースを持っていて、自社専有物件でない限りは提案できる物件に違いはない、などです。

そうなると、引っ越しを検討している人はどこのお店で契約しても実は違いはあまりありません。そのため店舗間競争は、少しでも自店舗での契約を確保するための特約の差別化などになっていきます。

正直なところ、会社の同僚が紹介してくれた店舗は極めて魅力的な条件を店舗特約として持っていました。仲介手数料が他社のそれとは比較にならないほど安く、引っ越し費用をかなり浮かせることができるのです。
もしも自分がプロセスよりも結果を優先する性格だったら、1時間の放置も必要経費と考えることができたのかもしれません。

ただ、自分の感情にアプローチしてくれた店舗さん・営業さんと出会えたからこそ、いま僕はこの部屋で暮らすことができているんだと思っています。

古く、ともすればお金のかかる考えなのかもしれませんが、自分が大切にしていることに気づけたきっかけになった「引っ越したい。」というあの思いを持っていた日々を、今はとても大切な時間だと感じています。

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