I & night & full moon fish.

どこからか湧きあふれ
どこへとなく渇いていく月色の泉
物語の種を摘みに
今宵も男の子が独り

うまれそだったまちには
なにも、ふじゆうしなかった
ほしいものは、なんでももらえた
「あたりまえのことじゃないか、つまらない」
そんなくちぐせの
少年が独り
たいくつしのぎを、さがしに
じゆうきままに、あるきまわることが
少年の、まいにちのにっか、になった
そんなまいにちのなかのひとつ
少年はふと
じぶんのたっている「ここ」をかんがえた

「ん」

じゆうきままに、ぎじゅつがせいちょうしていく
まち、そら、うみ、もり
かぜ、とり、だいち、はな
ことばかずのすくない
つき

どんどん、どんどん
ひとはとうめいになっていく。

それはそれは、おおきなさかなでした
少年はきゅうに、いままでも、これからもが
こわくなりました
とうぜんです
なんでももっているはずの少年には
なにもなかったのです
俺はこれから飯を食いにいくんだがあ、おまえはどうする
さかなはいいました

「このまま、このままで」

少年はふるえながら、こたえました
ゆいいつ、あんしんできるのは
さかなのせなかしかなかったのですから
まっすぐに、まっすぐに

さかなはかぜをきっていく

ものすごいいきおいに
少年のては、なんどもはなれそうになりましたが
ひっしにがんばりました
「ねえ。どこまでがきみのみちなの」
ああ。俺を待ってくれている男がいるんだ、いまはそこまでが俺の道だ
さかなはこたえ

「もしかしたら、だれもいないかもしれないのに、どうしていきぐるしくないの」

お前が誰かを待っているように、今もどこかでお前を待ってる誰かはいるんだ

俺を待つ男がいるように

めざすばしょへと、すすみつづけるさかなのせなかで
少年はひっそりとけついしたのです
そして
ちゅうぶらりんのまま少年は
てをはなし、かぜをおよいでいきました
少年はつよさをさがしはじめたのです
ぽっけにはもう、てはつっこみません
花を咲かせに

男は旅立つ

懐の種たちは布越しに

生まれ変わり続ける風に澄まされる

魚は

どうやら鯉の仲間らしい

『I & night & full moon fish.』

お目通しいただきありがとうございます! 詩が育む言葉の生命力と ネットビジネスにおける作家およびクリエイターの生き方を学び中です!詩のマガジンとは別に 得た情報・知識・解釈案も掲載していきます!