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末寺の末事 67

 何かをしなければならない、こうあるべきだ。生み出したり、作り上げたり、変化させたり、何か自分の力をプラスして、不自由不足を補わなければならないという概念に縛られていた自分を見つけた。

 自由がない、あるべきものがない。とするなら、ないというものが、ある。もう既にある。新たに薪をくべる必要はない、という状態が今、ある。

 「今あるひとつひとつに、感謝して始末をつけてゆく」という視点に立てば、『寺に生まれた』人生にも前向きになれる。

 今、自分にない物事に、不自由不足の概念を抱くのだとしたら、それらを始末する苦しみや悩みも必要ない。ないという状況があることがプラスに働く。

 才能がない、智慧がない、人徳がない、将来性がない、師がない、友がない、子供がない、理想の家族がない、ないのだから、始末に苦悩もしなくていい。そこにあるのは感謝だけ。

 始末しなければ往けないのだから。

to be continued



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