6.only goodbye is life

 得よう、得よう、手に入れようとしていた。どうもそれは間違っていた。必要なのは手放すことだった。僕らは、既に持ってた、それを、持って立ってた。抱えきれない苦悩を、持ってそこに立ってた。気付いたらもう独りぼっちで、そう為す術もなくずっと、ただ立ち尽くして耐えてた。手もとに残ったそれは、何なのと言えばいつも、寄り添うようにそこにあった、生きづらさだけだった。

 重いのなら降ろすだけでいい、なのに、僕ら未だに、持とうとして悩み、苦しいのに懸命になってない?それで、いっぱいになってない?

 そもそもは何故に色々、持ちきれないほど、持ちたくなったの?考えたら、思い出したの。与える為だったよ、だってそれが幸せだもの。

 情(心)が聞こえなくなったのは、いつから?欲や望みが芽生えて苦悩が増えたら、心は重くなったのに、色んなモノの価値とか、いつの間にか軽くなり、情(心)なんて、気付けば、どうでもよくなってた。


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