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お返事SS「お手紙」(道後温泉 湯築屋)

※ファンレターのお返事としてハガキの裏に書いたSSを公開します※


「おい」

 ぶっきらぼうに声をかけたのは、将崇だった。九十九は何気なくふり返ったが、そこにあった化け狸さんの顔は、とても深刻そうだった。なにがあったのだろう、と心配してしまう。

「将崇君?」
「その」

 将崇が持っていたのは、封筒に入った手紙であった。薄紅色の和紙で作られた可愛らしいものである。切手と消印が確認できるので、誰かから届いた手紙らしい。

「これ、どうすればいいんだ?」

 顔を真っ赤にしながら、将崇は手紙を九十九に突き出す。その差出人を確認して、九十九は思わず微笑んでしまった。

「なにかおかしいのか!」
「ううん、全然おかしくないよ」

 九十九はそう返しながら、首を横にふる。
 差出人の住所は湯築屋。名前はコマだった。そういえば、最近、顔に墨をつけていたのを思い出す。将崇への手紙を書いていたようだ。

「お返事を書かなきゃね」
「お、お、お返事」
「きっと、コマは喜んでくれるよ」
「そ、そうか。そ、そ、それなら書く」

 一緒に書こうか? と、九十九が提案すると、将崇は顔を真っ赤にしたままコクコクとうなずいた。


※このSSは「道後温泉 湯築屋4 神様のお宿はお祭り騒ぎです」へのファンレターを送ってくださった方に返信した物語です※


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