見出し画像

ご当地小説を書くために知っておきたい7つの覚え書き

 よく質問されるのが

「ご当地小説の書き方が知りたい」

 わたしは他人から教わったことはないので、完璧に感覚で書いています。でも、書いてみて「難しい」や「大変」と思うこともあるので、その辺りをツラツラと覚え書きにすれば、誰かのお役に立てるのかも?
 創作論というよりも、「実際に書いてみて気づいたこと」「役立ったこと」という感覚です。
 そんな気持ちでnoteを書きます。有料でいいと言われたので、有料にしておきます。
 ただ、わたしの活動領域が「ライト文芸(キャラクター文芸)」です。ライト文芸の定義や傾向については、各々お調べください。ザックリ説明すると「キャラクターの魅力で読ませる一般文芸小説」です。
 それ以外での目線の話はわかりません。また、あくまでも田井ノエルの場合です。ほかの作家さんや出版社の事情は異なると思いますので、参考程度に。

自己紹介

 とりあえず、自己紹介。略してタイノエ。愛媛県松山市近辺在住の小説家のような生物です。第6回ネット小説大賞を受賞して商業デビューしました。キャラクター文芸(ライト文芸)・ライトノベル等のお仕事をしています。著書9冊。タウン情報まつやま公式アプリ『えぷり』にて小説の連載等、松山を中心に活動しています。
 ご当地小説は、双葉文庫『道後温泉 湯築屋①-⑤』シリーズ、ポルタ文庫『松山あやかし桜 坂の上のレストラン《東雲》』を出版しています。

題材の決め方

 まずは書きたい題材を決めねばなりません。

・自分の住んでいる土地の話を書くか、別の場所を書くか。
・どのような話を書きたいか。
・ご当地度はどの程度組み込むか。

 この記事では商業作品の目線で語ります。題材の決め方も、そちらをベースにすることをお許しください。(基本は書きたいものを書けばいいんだけどさー!)

 ご当地小説の多いライト文芸は主に「大人の女性向け」です。いや、10代でも男性でも読めるのですが、基本的には「大人の女性が好きな題材」です(ライト文芸は大きく分けて、「大人の女性向け」と「中高生向け」の2軸がありますが、ご当地小説は前者軸が多い)
 だいたい30~40代くらいをターゲットにしていると謳った出版社がほとんどでしょう。出版社によって客層が少しずつ違うので20代とか50代とか年齢層も上下します。
 題材は大人の女性が好きなやつ。これがマスト。
 そこを意識したうえで、題材を決めます。

「なんかイケメンが出てきて、ちょっと恋愛風味になったら女性は喜ぶんでしょ?」
 せやな!!!(否定しない)
 でも、それだけでは読者さんへの訴求点にはならないので(どの作品でも標準装備だ)
「女性の旅先として人気(京都とか)」
「癒やしスポットがある(温泉とか)」
「オシャレでキレイ(着物とか)」
「美味しいごはん(郷土料理とか)」
 これらは、ほかの作品と差別化をはかって読者さんを呼び込む要素だと思うので、ガンガン強調したいです。

「この土地には、こんなにいいものがありますよー!!おいでー!!さあ、まずはこの小説を読むんだー!!」

 これくらいの勢いが大事だと思います。
 究極、「作品が面白いと思われなくてもいいから、この土地へ行きたいと言わせたら勝ち」くらい。
 わたしはこういうつもりで書いている。

 ご当地度がどれくらい高いかもポイントです。
 地名などは登場するが、主題は全く関係のない作品にしたいか。それとも、地域のイベントや食材などをフルに使って作品の中核に据えるか。この記事は後者の目線です。「観光ガイドとしても使える小説」を目指します。

 陥りやすい罠なのが、題材にどの程度の知名度(需要)があるのか。
 ご当地であれば、なんでもよい。
 そんなはずがない。
 ご当地小説は当然のように、舞台となった土地の本屋さんで売れやすいものです。推してくれる本屋さんが多いですから当然です。
 しかし、全国では?
 全国のみなさんが中身を読む前から、「この題材は魅力的だ」「なにを書いたか想像がつく」「ふーん、○○か。行ってみたいな」と思わなければならない。
 地名で訴求できないなら、なにかの職業や産業、料理、祭り、観光資源などで興味を引っ張ってくる必要がある。ご当地小説に「京都」が多いのは、もう「京都って聞くだけで魅力が10000%伝わる」からなんですよー!!!

 ゆーて、好きなことを書けばいいと思いますが(元も子もない)
 自分の「書きたい!伝えたい!」よりも信用できる魅力はないです。

ここから先は

3,478字

¥ 300

この記事が参加している募集

スキしてみて

田井ノエルや記事が気に入った方は、ぜひサポートおねがいします。100円~10000円まで任意で設定可能ですから、少額で構いません♪ サポートでいただいた費用は日々のコーヒー代や取材費となります。まとまった額が集まれば、地元等への寄付金にする場合もございます。 よろしくお願いします