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会社で起こったことは、すべて社長の責任である〜1〜

講演会やセミナーで経営者の方にお会いする機会が増えました。悩みは多く、ぜひ「なぜおば社長」の話が聞きたい、相談したい。そんな声をよくお聞きします。
しかし、気になることがあります。「従業員が働いてくれない」「能力がない」といった不満の声をよく聞くからです。時には従業員への罵詈雑言が止まらない方もいます。
しかし、これは経営者としては絶対にやってはいけないことです。
 
かつて私は、多くの会社の立て直しで実績を残した経営コンサルタントの一倉定氏の本を読みあさりました。その一倉氏が繰り返し語っていたのが、「経営者は自分の会社で起こったことすべてに責任がある」ということです。裏返せば、「経営者は決して人のせいにしてはいけない」ということです。
 
たとえば、「従業員がサボっている。休憩時間は30分なのに35分休んでいる。だからもっと監視しなければ」。そう言う経営者がいます。しかしよくよく事情を聞くと、従業員がサボるから残業代は出していないことがわかりました。
従業員にとっては、残業しても残業代が出ないのだから、休憩時間を守らなくても構わないだろうと考えるのでしょう。経営者が「サボっている」と締め付ければ締め付けるほど、従業員はさらに「働かないように」なっていきます。こうして悪循環がどんどん進んでいくのです。
 
私は社長時代、勝手に従業員に残業代を付けていたことがあります。「1時間残業をつけるから」と告げて、「あとは自由にして」と従業員に任せるのです。得したとばかりすぐに帰る従業員がいる一方、自分で仕事を見つけて残業する従業員もいました。
自分で仕事を見つけた従業員は、その仕事がたとえ掃除であっても、その日の整理ができるため、翌日の仕事の質が変わってきます。1日をスムーズに始められるだけでなく、仕事の見通しまで立てられるようになり、徐々に効率的に仕事ができるようになっていくのです。
ひと月もすれば明らかに差がつき、それに気づいたほかの従業員が真似をし始めます。こうして会社全体の仕事の質が向上していくのです。
 
経営者は「自分の責任」として、従業員が働きやすい環境、働きたくなる仕組みを考え、“働き心地のよい”風土や文化をつくることも大事な役目です。
常に「監視」されるような企業風土では、間違うことを恐れ、誰も本来の力を出そうとしない風土になってしまいます。逆に、挑戦も失敗も奨励する風土・文化を築けば、誰もが全力で働き、新しいことに取り組み続ける会社にできるでしょう。
 
すべては経営者しだい。
小さな会社であればあるほど、経営者の姿勢は、職場の風土・文化にダイレクトに影響します。

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