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弁天の同情と恋の奇跡:小泉八雲の怪談を読む。弁天堂で出会った2人の女性と1人の男性

小泉八雲の怪談の弁天の同情のお話とは、『影』という作品集に収録されている短編の一つです。

弁天とは、水や芸術の神様で、日本では女性の姿で祀られることが多いです。

小泉八雲は、弁天が恋に苦しむ人々に同情して助けるという話を聞き、それをもとに物語を書きました。

物語では、京都の大通寺にある弁天堂に、花垣梅秀という青年が訪れます。






そこで彼は、色紙に書かれた美しい女性の手紙を拾います。

手紙には、

「しるしあれと いわいぞそむる 玉箒 (たまほうき) とる手ばかりの ちぎれなれども」
という歌が書かれていました。

これは、藤原俊成の歌で、恋人と別れてしまった女性の悲しみを表しています。



梅秀は、その字を書いた女性に惹かれて、七日間弁天堂に通います。



七日目の夜には、弁天堂に泊まります。




すると、老人と稚児が現れて、彼に女性を連れてくると言います。

やがて現れた女性は、梅秀が拾った色紙を書いた者であり、彼の妻になりたいと言います。

梅秀は彼女を連れて帰り、幸せに暮らします。

しかし、ある日梅秀は偶然にも、彼女と瓜二つの娘がいる屋敷に招かれます。

その娘は、実は弁天堂で出会った女性の本体であり、彼女は魂だけが梅秀のもとに行っていたのです。

梅秀は娘と再婚しますが、その後どうなったかは語られません。

小泉八雲はこの物語を「日本的な怪談」と評しています。

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