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【徒然】初心者の方角に世界の端っこからミュージカル愛を叫ぶ

ミュージカル。どんなイメージですか。

わたくし寝ても覚めてもミュージカルが好きな社会人男性。
趣味はミュージカル観劇です、と言うと、大体物珍しい顔で見られます。それは僕が男性と言うのもあるかもしれませんが、ジェンダー論はさておき、どうやら世間では、小難しい、突然歌い出すから恥ずかしい(果ては苦手)、そんなイメージもあるそうです。

んなあことはない!!!もったいない!!!

ミュージカル初心者の方にもこの情熱が伝わるよう、その魅力、パワー、存分に語って差し上げようではありませんか。需要?知りません。

あくまで観劇好きの素人が語るだけですので悪しからず。ミュージカル映画もありますが、ここでは生の舞台(かつ日本をメイン)についてお話します。

なお、書いているうちにヒートアップしてきて文字数がめちゃくちゃ多くなったので、目次から興味のあるところだけ読んでもらえれば幸いです。

ミュージカルとは?

まずはミュージカルとは何ぞやというお話。
究極的な表現で言うなら「トップオブエンターテイメント」。歌、言葉、演技、ダンス、音楽、美術、照明、涙に笑いに感動、作品によってはアクロバットやプロジェクションマッピングのような映像まで。エンタメの髄を凝縮したエンタメがミュージカルなのです。

…とこれはちょっと主観が強いので改めて。
ミュージカルは、基本的には演劇の1種で、お芝居に歌が混ざっているものと思っていただければ結構です。歌劇にはミュージカルの他にオペラもありますが、オペラは歌い手と演じ手が分かれている一方、ミュージカルは必ずしもそうではありません。

分かりやすい例では、ディズニー映画もミュージカルの一種と言えます。「A Whole New World〜♪」とか「ありの〜ままで〜♪」って歌う、あれです。
不思議なことに、ミュージカルは苦手という人もディズニーは好きって人もいるんですよね。まあディズニーは「ディズニー」というジャンルとも言えるのですが。

形式的な話をすると、1幕、幕間、2幕という構成で、おおよそ2時間半から3時間くらいの上演時間のものが多いです。作品によっては、幕間なしで短めのものもあります。

中身については、ほぼ全編が歌でのお芝居の作品もありますが、ストレートプレイ(いわゆる普通のセリフ劇)の割合が多いものもあるので、作品によります。ストーリーも、コメディ、ファンタジーからロマンス、時代ものから現代劇まで。幅広いのは映画やポップミュージックと一緒。

そう、一重に「ミュージカル」と言っても、実は結構大きな括りなんです。普段音楽は聞かないけど、特定のアーティストは好き、とかザラにあるじゃないですか。それと同じで「ミュージカルが苦手」という人も、作品によってはめちゃくちゃ楽しんでもらえる可能性が大いにあります。

どんな種類があるの?

種類の分け方も色々ありますが、あくまでイメージしやすいように、ということで。

①劇団四季
ミュージカルの代表格。「ライオンキング」などのディズニー作品をはじめ、「キャッツ」「オペラ座の怪人」など有名な作品も多く、比較的長期間にわたって公演されます。チケットは一般でも入手しやすく、座席にこだわりがなければ比較的お手頃です。

キャストは週替わりで、毎週月曜に公開されます。四季は「作品主義」を標榜しており、スター的なキャストでの集客ではなく、作品を届けることを主としています。もちろん、看板キャスト的な方もいるし、特定のキャストさんのファンもいますが、スタンスとして、という意味。
作品紹介や、初心者向けのガイドなどもHPにまとめられているので、初めて観劇するなら四季がおすすめ。そして沼ってください。ちなみに年間2~3本以上見る予定があるなら、「四季の会」に入会したほうがお得です。

②宝塚歌劇団
こちらも有名。キャストは通称タカラジェンヌと呼ばれる女性のみ。男役・娘役という役割があるのと、団の中で組に分かれており、各組にトップスターがいるというのが特徴。宝塚出身の女優は、映画やTVでもよく見かけると思います。「ベルサイユのばら」のような洋風薔薇園、あるいは大階段での孔雀みたいな羽根バッサァ!なイメージがあるかもしれませんが、作品は幅広く、和テイストの作品もあります。

宝塚はミュージカルの中でも「宝塚」のファンが多い印象。僕はまだ宝塚は観たことがないのですが、元タカラジェンヌはたくさん観てきました。退団されても舞台の世界で活躍されている方も多いです。

③大手プロダクション
①②以外では、大体ここに当てはまると思います。東宝、アミューズ、ホリプロ、WOWWOW、各劇場オーナー会社といった大手の芸能プロダクションが主催のミュージカルが多いです。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「エリザベート」、ブロードウェイ作品とかのイメージ。

キャストも幅広く、四季や宝塚の出身者はもちろん、声楽、バレエ、小劇場など様々なバックグラウンドの俳優さんが出演。最近は、映画やドラマで活躍する俳優やアイドル、歌手の方が出演することもあります。
チケットは、eプラスやぴあ、ローチケなどのチケットサイトでも手に入れやすい。一方、出演キャストの貸切公演やファンクラブ先行なども多く、作品によっては一般発売の枠が少ないものもあります。僕がよく観に行くのはこれ。

色んな界隈から俳優さんが出演すると言う意味で、音楽シーンで例えると、フェスみたいな雰囲気もあるかもしれません。

④2.5次元ミュージカル
③に含まれるものもありますが、主にマンガやラノベを原作とした作品。若めでお顔の端正な男性の俳優さんが多く、名前の通り2次元の世界から飛び出したような演出・作品が多いです。有名なのは「テニスの王子様(通称テニミュ)」「黒執事」「刀剣乱舞」「憂国のモリアーティ」とかでしょうか。ミュージカルの中でも、特に推し活の側面が強い印象があるかもしれません。

最近は若手アクターの登竜門的な位置付けもある気がします。最近主役級の役を演じる俳優も、実は2.5出身ということもしばしば。次世代を担う俳優を早いうちから見たいならオススメ。なお、僕はこの領域は未踏です。

⑤来日公演
海外で上演されている作品が、海外キャストで来日して行われるもの。たまにあります。どちらかというと玄人向きだとは思いますが、ミュージカルの作品はブロードウェイをはじめ、英語圏や韓国など、海外で生まれたものも多いので、これはこれで楽しめると思います。

⑥小劇場系
有名な俳優が出演とかでは必ずしもなく、民間や比較的小さな劇場で公演されるもの。僕はこの界隈は不勉強のため、詳細はあまり存じ上げませんが、どちらかというと玄人向き。

ちなみにチケットの相場は、会場や主催にもよりますが、大体一番いいS席で1万~1万5千円。そこからA、B、Cの順番で値段も下がり、座席もステージから遠くなります。一番下のランクで5千円くらいが平均でしょうか。
舞台や演劇に興味がない方からすると、高いな、と思うかもしれません。映画は1800円で見れますもんね。でも、ファンの贔屓目ですが、それだけの価値はあります。

個人の意見としては、最初から良い席で虜になっていただく…もとい楽しむのもアリですが、B席C席でまずは観てみる、というのも大いにアリだと思います。

チケットの取り方は?

チケット入手方法は、まずは公式サイト。発売日や詳細がアナウンスされています。四季や宝塚はそれぞれ会員登録するのが手っ取り早いですし、一般に先駆けて先行販売のチャンスがあるので、より入手しやすいです。
主催が東宝や博多座、梅芸などの場合は、各劇場の有料/無料会員への先行案内もあります。ただし枠は少な目です。

あとは各種プレイガイドと言われる、ローチケ、ぴあ、イープラスなど。人気の公演の発売日はアクセスが集中してサイトに繋がりにくいことだけは注意です。

俳優さんのファンクラブ(FC)会員であれば、FC先行がある公演もあります。特定の俳優さんの舞台が観たい場合はこちら。もちろん推し活としてもこちらをオススメ。

チケットは、早いもので公演の半年前くらいから先行販売が始まるものがあります。一般発売は割と公演の数週間前くらいになることも。公演の規模やプロモーションによるところもあります。

間違っても、公式でない転売サイトやトレードサイトは利用しないようにしましょう。客席に空席を作るくらいなら…という思いはは全身が血が噴き出すほど分かります。でも、きれいごとかもしれませんが、転売サイトで手に入れたチケットで観ても、キャストもカンパニーも喜びません。
公式でリセールをしていたり、当日券があったり、注釈付きの座席(ちょっと見えづらいとか機材席を解放するとか)販売が決定したりもしますので、どうしても行きたい公演は粘り強く頑張りましょう。

逆に、行く予定の公演がどうしてもいけなくなった場合は、公式のリセール機能を確認しましょう。また中止になった場合は払い戻しや振り替えの対象となることがありますので、捨てたり削除したりせず、公式アナウンスを待ちましょう。転売、ダメ、絶対。

何が面白いの?

基本的には映画やドラマでお芝居を見るのと同じです。というのが大前提で。

「生」の演技・歌

俳優の感情の機微や表現を見ながら作品を楽しむ。ダンスや振り付けも含め、生で観るパフォーマンスというのは圧倒されるものがきっとあるはず。

「生」というのは貴重なものです。台本があり、稽古を重ね、毎回同じものを、あるいは前回よりも素晴らしいものを作り上げようとする中で、1回たりとも同じ瞬間がない、今まさにその時その瞬間を感じることができる。

もちろん映像に収めた映画やドラマも素敵です。そして生の体験はミュージカルに限ったことではない。その中で、音圧や魂を揺さぶる感情の高まりを、肌で感じるという生での愉しみ。ぜひミュージカルから感じていただきたい。

ストーリー

ミュージカルもエンタメですから、物語がある作品はやはりストーリーは醍醐味。作品はたくさんありますので、きっと1つは好みに合うものがあると思います。

作品によっては「どういうこと?」と解釈が難しいものもありますが、絶対的な正解があるものではありません。これも他のエンタメと同じです。あるシーンが、人によって悲しいと感じることもあれば、開放的に感じることもあると思います。あなたが感じたことが正解です。

キャストの演技

ミュージカルはお芝居。演技が重要。そして普通のセリフ芝居だけでなく、そこに歌も演技の一つとして加わるのがミュージカル。セリフ芝居では見れない、ミュージシャンの歌とも違う、ミュージカルの表現としての歌、芝居としての歌。

セリフ芝居ではなく、なぜ歌芝居なのか。そのキャラクターの中にある感情が、「音」としてあふれ出しているからです。言葉だけでは足りない、表情だけでは足りない、魂の震えなのです。日常でストレスが溜まったら、叫びたくなる時がありませんか?原理はあれと同じです。

Wキャストをはじめ、複数の俳優が同じキャラクターを演じる際は、それぞれの解釈の違い、持っている強みの違い、表現や歌の違いを感じ取ることができ、作品の世界観を広げてくれます。ゆえにオタクの財布が悲鳴を上げるのですが。

中には「前の公演のキャストの方がよかった」とか、「この役はこの人じゃないと受け入れられない」というファンも一定数いますが、僕は作品の世界は広ければ広いほど良いという思想なので、色んな人がいろんな角度から、時代を超えて何度でも演じてほしいと思っています。

そしてミュージカルならではの要素としては外せない、音楽

まずは。セリフに音が付きます。これが苦手、という人も多く聞きますが、本来根底は普段ロックやポップ音楽を聴くのと同じはずなんです。サブスクやCDで音楽を聴くのと同じように、作品の中のメッセージや登場人物の感情を、歌やメロディが伝えてくれるはずです。

なかでも「I wish song」(I want songとも)と言われる、キャラクターの心情や思いを謳った歌は、エネルギーが非常に高く、特に心打たれる迫力があるものが多いです。そして人気と知名度も高い。

<I wish songの例>
私だけに(エリザベート)
命をあげよう(ミス・サイゴン)
ありのままで(アナと雪の女王)
Part of Your World(リトルマーメイド)
陽射しの中へ(ノートルダムの鐘)
孤独のドレス(マリー・アントワネット)
だったらいいな(マイ・フェア・レディ)

曲目は僕の独断(趣味)

ミュージカルと言えば一人のキャストが一人で舞台で歌うイメージがあるかもしれませんが、それだけでなく、何人かが違う歌詞を重なって歌うものや、大勢で合唱のように歌うもの、「歌」と言っても様々な演出があります。

各キャラクターの感情だけでなく、時代や空気というものも、歌で表現されます。この意味では、アンサンブルさん(ざっくり言うと名前のない役を複数演じるキャストさん)がいる作品は、彼らの様子に耳を傾けるのも醍醐味です。

<アンサンブル映えする曲>
・民衆の歌(レ・ミゼラブル)
・スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(メリー・ポピンズ)
・マスカレード(オペラ座の怪人)
・EVERYBODY SAY YEAH!(キンキーブーツ)
・捕らえろスパイを(マタ・ハリ)
・アラビアン・ナイト(アラジン)
・ビー アワ ゲスト(美女と野獣)

曲目は僕の独断(趣味)

キャラクター毎にテーマソングのような、そのキャラクターを象徴する曲があることも多いので、お気に入りの曲を見つけてみてください。

ちなみに音響や席によって、特に大人数で歌う場合に、歌詞が聞き取れないということも起こりえますが、生の舞台なのでそれはそういうもんと思ってください。聞き取れなかったな、ということも含めて生の体験です。言葉が聞き取れなくても、肌で感じるものもあると思います。

オーケストラ

歌だけでなく、オーケストラの演奏も大変聴きごたえがあります。

オーバーチュア(開幕序章の演奏)や、アントラクト(休憩明けの演奏)、カーテンコール(終演後の演奏)もぜひじっくり聴いてください。作中で披露される曲がダイジェストで演奏されることが多く、これだけで聴く価値があるというもの。というか、生のオーケストラってだけで本来お金払う価値があるってもんよ。

開演前には楽器隊がそれぞれ音出しをしています。これもしかしてあの曲のフレーズ?みたいなことも、慣れてくるとたまに遭遇します。そしていよいよ、チューニングで「ぶぉぉー…」となり始めたら開演の合図。大体指揮者(マエストロ)が客席にお辞儀をされますので、拍手でエールを送りましょう。

ミュージカルはクラシックなイメージがあるかもしれません。実際そういう作品・楽曲もありますが、実はエレキギターが光るロックミュージカル、可愛らしくてポップなミュージカルもたくさんありますよ。

リプライズ

音楽で忘れてはならないのが「リプライズ」。簡単に言うと、劇中で披露された楽曲が、違う場面で再登場する演出のこと。歌唱、アレンジ、あるいは歌い手が変わったりするのですが、最初に聞いたときの感情や背景とリンクすることで、よりストーリーや感情の機微に深みが増すものです。

やや横着ながらポップミュージックで例えると、YOASOBIの「夜に駆ける」のサビみたいなもの。あるいは短歌の「本歌取り」や「連歌」を他人の歌ではなく自前でやる感じでしょうか。

リプライズまでは行かずとも、同じメロディが散りばめられるという演出もあります。例えばパイプオルガンが印象的な「オペラ座の怪人」の有名なテーマソングは、オーバーチュアで演奏されるだけでなく、劇中随所でファントムの気配を感じる人たちの恐怖のメロディにも使われており、ファントムのテーマ・存在感を強調します。

ミュージカルは「芸術」として、ちょっと高嶺の花のような印象があるかもしれませんが、普段から音楽を聴く人やライヴが好きな人、映画やドラマが好きな人は、ミュージカルの良さも感じられる可能性が高いのではないかと思います。

どこを見たらいいの?

まずは作品全体、自分の目に映るものをそのままを見ることをオススメします。舞台上で何が起こっているか、映画を見るときを同じように、小説や漫画を読むときと同じように。慣れてくると、道具や衣装、キャストの細かい動きなども楽しめますが、まずは全体をばっくり眺めるのがオススメ。

なお、推しのキャストがいるなら推しを見てください。推しまではいかずとも、注目している俳優がいるならぜひ追っかけてください。その際はぜひ、双眼鏡かオペラグラスを持参して。

上演中以外では、大体どの公演でもパンフレットが2000円くらいで売っています。観劇の記念に、予算に余裕があればぜひ購入してみてください。キャストの想いやインタビュー、作中で披露される曲の歌詞、時代背景や過去上演時の写真など、中々読みごたえがあります。
注意点としては、ストーリーのネタバレが含まれる場合があること。まったくストーリーを知らない状態で楽しみたい場合は、パンフレットを読むのは終演後をオススメします。

パンフ以外にも、グッズが販売される作品もあります。さながらアーティストのコンサート・ライヴと同じようなものです。ネット販売に対応しているところもあります。

観劇のマナーは?

ミュージカルはなんとなく格式高くてハードルが高い、と思われがちですが、その一つにマナーやルールが分からない、というのがあるように思います。そんな特別に難しいことはありません。気を付けるべきはただ2点、①周りの方の視界と耳に迷惑をかけない、②劇場が指示するルールを守る、というところに尽きます。ミュージカルに限ったことではありませんけどね。

何を着ていったらいいの?

基本的に何でもいいです。燕尾服やドレスを着る必要はありません。むしろそんな恰好見たことないです。ジーパンとTシャツでもいいと思います。ただ、周りの方に迷惑をかけないように、という点では、前後左右の方の視界を妨げる、音が鳴る、幅をとる、という服には気を付けた方がいいです。

例えば帽子は劇場内では脱ぐ、髪が長い方は高い位置で結ばない、大きな荷物はクロークやロッカーに預ける、やたら分厚いコートは避けるなど。

服ではありませんが、香水をつける方は、付けすぎにご注意。匂いは好みが分かれやすい要素ですし、席と席は割と狭い劇場が多く、3時間近く座り続けるわけなので、香りづけは控え目にする方がいいと思います。香水でなくても、ニンニクやタバコとかもね。

注意事項は?

基本的には劇場のアナウンスに従います。劇団四季など、一部の作品では上演前のみ・カーテンコール時のみ写真撮影OKというところもありますが、これは主催者によるので、ホームページやSNSで事前に確認しておくことをオススメします。逆に特にアナウンスされていない場合、舞台の写真を撮るのは、開演前だとしても、SNSに上げないとしてもNGです。
もちろん、幕が上がって以降は撮影・録音・録画は厳禁。NO MORE ミュージカル泥棒。犯罪です。

携帯・スマホは音と光が出ないように、というのはもちろんですが、最近多いなと思うのがスマートウォッチ。光るとめちゃくちゃ迷惑なので、付けていかないか、カバンにしまうか。本当に、自分の思っている50倍は目立ちますよ。

飲食については飲み物のみ可、ロビーでのみ可、一切厳禁など、劇場によって幅がありますので要注意。

会話も劇場のルールに従うところですが、作品のネタバレ、そしてキャストの悪口は控えましょう。これは初心者より、ミュージカルに通い慣れた人がやりがちですが…批評は帰ってからにしましょう。

上演中の注意は?

とにかく拍手以外で無用な音を鳴らさないこと。手元でガサゴソするのも結構周りに響きます。また咳払いなども注意。生理現象なので仕方がないですが、だからと言って周りに配慮不要というわけではありません。口の乾燥が気になるなら、開演前にのど飴を口に入れておきましょう。どうしても咳が出そうな時はしっかり押さえる。おすすめは手のひらより肘です。

また前かがみの観劇は一番迷惑です。後ろの人の視界を妨げますし、座席によっては横の人も迷惑。前かがみになったところで見える範囲は変わらないのに、迷惑の範囲は倍になります。座席がステージから遠い場合や、視力に自信がない場合は、双眼鏡やオペラグラスを買いましょう。

たまに寝てしまう人がいらっしゃいますが、いびきだけはかかないように。個人的には寝るくらいならチケットリセールしてくれと思いますが、まあ色々あるので。

ミュージカル特有の注意事項は?

拍手のタイミング

ミュージカルで難しいと言われるのが拍手のタイミング。楽曲を歌い終わった後などは拍手が沸きますが、確かに初見でタイミングをつかむのは難しい。

本来は拍手=賞賛なので、自分が感動した、自分が心打たれたタイミングでやればいいのですが、一方で最後の一音まで聴きたいという人もいらっしゃいます。最後の一音を待って拍手するか、周りに合わせておくのが無難です。

訓練されたミュージカルオタクは、初見の作品でも大体感覚で拍手ポイント、拍手の長さを操作できるのですが、それは特殊な訓練(場数)を経験していますので、いきなりそのレベルを目指さなくていいし、それに引け目を感じる必要もありません。調査兵団の104期のように、面構えが違う…と思ってください。

カーテンコール

厳密にはミュージカル限定の話ではありませんが、ミュージカルではすべてのシーンが終了後、キャストが順番に出てきて客席にお辞儀・挨拶をするという時間があります。これをカーテンコールと言います。作中の名場面を振り返るような演奏・演出があったり、客席と一体になって踊ったり、作品によって色々なパターンがあります。

YouTubeに公式で上がっている例があるので、ご興味があればご覧くださいませ。

マリー・アントワネット
エリザベート
メリー・ポピンズ

YouTubeで公式が上げているものです

なお1回で終わることは少なく、何度か幕が上がったり下りたりを繰り返します。大体1回目~2回目くらいは座ったまま拍手でお迎えしますが、2回目~3回目くらいから「スタンディングオベーション」と言われる、客が立って拍手をするという光景が見られます。

どのタイミングで立つか、というのも難しいのですが、拍手と同じく、本来はキャストへの賞賛行為。自分が立ちたいときに立つことを前提としつつ、周りを見ながらでいいと思います。そもそも強制されるものでもありませんが、キャストからすると大変うれしい光景のはずです。ぜひ盛大な拍手と一緒にキャスト、ひいてはカンパニー全体に賞賛を。

僕はカーテンコールでお米3杯食べられる人間を自称するくらいカテコが大好き。役の人格が抜けて、俳優さんそれぞれの普段の顔に戻るのも、をかし。ぜひ余韻に浸ってください。

ちなみにコロナ前は、指笛や「ブラボー」という掛け声も見られましたが、コロナ以降は声出し禁止をルールとしている劇場も多いので、ルールに従っていただくようお願いします。

一人で見ても大丈夫?

僕はいつも一人です。

おっと、これは答えではありませんね。結論、大丈夫です。

一人で来ている客を物珍しく見る人はまずいません。あえて毒づくと、誰もone of 客でしかないあなたに興味ないですから、ご安心を。ソロ活の範囲は人それぞれなので、焼肉にひとりで行ける人もいれば、ディズニーランドにひとりで行ける人もいる。そういうことです。

もちろん、誰かと一緒に行くことで、感想を言い合ったりする相手がいるのはいいことです。

ちなみに往々にして女性客が多めですが、男性一人でも問題ありませんよ。というか男性でミュージカル好きな方は数少ない同志なのでぜひ一度お茶でもいかg(略)。

知っとくといいかも単語帳

オマケ程度ですが、ミュージカル関連の単語です。僕も素人なので間違ってたらすみません。知らなくても、最近はGoogle先生に聞けば解決するのでダイジョブ!

・カンパニー…その作品に携わる全ての人々
・マチネ…昼公演
・ソワレ…夜公演
・ソワマチ…昼・夜連続での観劇
・プリンシパル…メインのキャスト
・アンサンブル…メイン以外のキャスト(でもとても重要な役)
・キャスボ…キャストが書かれているボード
・Wキャスト…同じ役を二人で回すこと
(3人ならトリプル、4人ならクワトロ)
・オペグラ…オペラグラス(双眼鏡みたいなやつ)
・千穐楽…最終公演
・大千穐楽…ツアー公演がある場合の本当の最後の公演
・オーバーチュア…開幕序章の演奏
・アントラクト…幕間(休憩)後の演奏
・オケピ…オーケストラピット。音楽隊がいる場所
・ホワイエ…会場のロビーのこと
・スタンディングオベーション…客席が立ってステージに賞賛を向ける行為
・カテコ…カーテンコールの略
・イケコ…宝塚の小池修一郎先生の愛称

最後の一つ遊び心ということで

結局初心者は何を観ればいいわけ?

過程はいいから結論を、ですか。

であれば、まずは劇団四季のディズニー作品を観ればいいと思います。ストーリーがわかりやすく、曲も有名なものが多い。王道ミュージカルとも言えます。
ほぼ東京での上演になりますが、2023年1月時点で「ライオンキング」「美女と野獣」「アナと雪の女王」が上演中です。「アラジン」も夏から復活します。あとは4月までですが「ノートルダムの鐘」が京都で、「リトルマーメイド」が全国公演で仙台・北海道の予定です。

知っている俳優さん、知っているストーリーのものを、という視点で選ぶのもアリです。ミュージカルの公演が決まるとホームページが開設されますので、キャスト・ストーリーなどを見て興味が出たらチケットを探してみてください。

最近は音楽番組でもミュージカル特集が組まれることが多いので、注目してみてもいいかもしれません。ちなみにこれは宣伝もかねてのことが多いですが、TVで放映される頃にはほぼ席は売り切れということも多いですので、悪しからず。

あとがき

怒涛の1万字noteになりました。色々書きすぎて逆にハードルが高くなっていやしないかと不安になってきた。ちなみに書き終えるのに3ヶ月くらいかかりました。

とりあえず、ミュージカルもあくまでエンタメなので、イメージよりも手軽に触れることができる、ということを言いたかったです。

結構独断と偏見も混ざっていますが、ミュージカルがどういうものか、魅力はどんなところにあるか、少しでも伝われば幸いです。

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熟成下書き

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