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【観劇レポ】エンタメの髄 ミュージカル「ムーラン・ルージュ」

ミュージカル観劇レポ、東京遠征編「ムーラン・ルージュ」です。

名前だけでもご存知の方も多いはず、映画でも有名なあの作品が日本初演!

昨年にキャストオーディションの発表があって以来、ミュージカルファンの期待値も高い作品ですが、帝国劇場の外装・内装、パンフレットの分厚さ、コラボメニューと、いたるところから制作側の熱量の高さを感じました。衣装もなんと、全キャストフルオーダーメイドだそうです。

東京・帝国劇場のみでの公演のため、頑張って遠征しました。お席はA席、1階奥でしたが、さすが帝劇、奥でも観やすい。改修前の帝劇来訪は、もしかしたらこれが最後かもな…と思いながらの遠征。

エンターテイメント

開演前・幕間・終演後は撮影OK。まずはご覧あれ、この豪華なステージ

真っ赤!

客席に入るや否や目に飛び込む真っ赤な世界。赤は、情熱と危険と立ち入り禁止の看板がついた色なの!
写真なのでわかりませんが、BGMも流れており、照明もゆっくり動いています。また写真では見切れていますが、向かって右側にはヒロイン・サティーンの楽屋でもある巨大な象のモニュメント、左手には風車のモニュメントがあり、まさにフランス・パリのムーラン・ルージュのごとく。全国ツアーやってよと思っていましたが、現地に行ったら納得、豪華なセットを考えると全国ツアーは難しいですね…。

開演の10分前から「プレショー」ということで、ステージにキャストが登場。ゆったりとした動きで劇場をなめまわされます。いや、何その表現って思われるかもしれませんが、本当に劇場をなめまわすような、ねっとりしたセクシーな動きなんですよ。ゆったりと、かつ無駄のない動きって、品が出ますよね。艶やかな作品ではありますが、いやらしくなく気品すら感じるのは、こういうところかもしれない。

そしていざ開幕。本作は「ジュークボックス・ミュージカル」と言われる通り、世界の名だたる名曲が散りばめられた構成。あいにく僕は原作映画も見ていないし、洋楽にも明るくないのですが、そんな僕でも「あ、このメロディ知ってる!」という場面もありました。ちなみに英語(オリジナル)版ですが、各種サブスクでも聞けます。

更に、日本語訳詞は多くのクリエイターからの提供。ユーミンをはじめとした名だたる方々。話題性もさることながら、様々なクリエイターがそれぞれの持ち味を生かしながら一つの作品を作れるのは、多様な楽曲が織り交ぜられるジュークボックス・ミュージカルならではだと思います。それでいてバラバラ感を感じさせてない、一つのまとまりすら感じるのがすごい。
惜しむらくは、僕の洋楽知識のなさ。それさえあれば、こう訳すのか!とか、発見があったような気がします。英語勉強しよ。

そして圧巻のダンス。サティーン登場のシーンや、2幕冒頭の「BACKSTAGE ROMANCE」など、ショー・エンターテイメントの華やかさと、キャストお一人お一人の身体能力の高さを感じる演出。初っ端からテンション爆上がりのステージ。そうそう、これがエンターテイメントですよ。

ストーリーもわかりやすく、展開のテンポも良く感じました。夢追う若い青年と、ステージの「輝くダイヤモンド」であるトップスターの悲恋。ビジネスとしてのエンタメ、人の生き様というものも映し出しながら、真実とウソ、美しさと醜さ、自由と支配、愛と憎しみ、人の世の愛しさが詰め込まれた作品。

キャスト

豪華なキャストはこちら。

豪華すぎてキャスボだけでご飯食べられる

なんだかんだ生で拝見するのが初めましての、自他称ミュージカル界のプリンス井上芳雄さんと、近年ミュージカルでのご活躍目覚ましいあーやこと平原綾香さんをはじめとした豪華メンツ。

Wキャストも多いのですが、遠征は何回も行けるわけでもなく、行ける日も限られるのでこのお二人を優先してチケット確保しました。他のキャストも観たかったよ…特に甲斐クリス…。


芳雄さんは映像では何回も観てる(※エリザベートのDVD)のですが、やっぱり生で映えるお声だと思う。そして演じるクリスチャンは若い青年の役ですが、ほんまに若い!芳雄さんの実年齢はそこそこですが、漲るエネルギーというのか、若さゆえの危なっかしさと眩しさ。僕みたいな陰の者には眩しすぎる…眩しっ。

燃えるような恋、ってクリスチャンの様子を言うのでしょうね。そして障害があるほど恋は燃えるというのも、愛が強すぎて苦しみに変わるのも、どこか子どものような純真さも、さすが芳雄さん。

そしてあーや。これは惚れる。こちらも舞台映えする、かつ唯一無二の歌声。やはりデビュー曲の「Jupiter」のイメージが強いですが、低音の色っぽさと、中高音の華やかさ。ダンスシーンも圧巻でしたし、登場シーンの天から降りてくる様子、天女かと思った。天女というかビーナス。これは、惚れる(2回目)。

作品テーマである「真実、美しさ、自由、愛」を体現するようなキャラクター。魂の気高さのようなものを感じるサティーン。ステージでの華やかさ、クリスチャンの輝きに惹かれていく様も素敵でしたが、終盤の苦しい展開でのパフォーマンスも素晴らしかった。肺を病み、声が出ずらい中でステージに立ち続ける演技、演技じゃないとすら思えました。か細いのにちゃんと聞き取れるんやもんな…プロだ。

橋本さとしさんのハロルドは、コメディアン・エンターテイナーとしての素敵さももちろんですが、サティーンとの「親子」のような、「戦友」のような、唯一無二の信頼関係が垣間見えました。サティーンに公爵をあてがうあたり、やってることは汚くも見えるところが0ではないですけど、ビジネスやエンタメのリアルな部分でもあるでしょうしね。そんな闇も少しだけ見えるからこそ、コメディ部分が映える。

ヒール役であるデューク公爵は伊礼彼方さん。なんでこの人はこんな悪役が似合うんでしょうね。存在が閣下。こんなにも「閣下」という言葉が似合うの、デーモン小暮閣下以外では伊礼さんだけです。
相変わらず色っぽくて細胞をゆすぶるようなお声。本気で一回僕を支配してほしい(?)。強いて言うなら、自慢のハイトーン歌い上げ曲が少なかったのは惜しいかな。贅沢か。カテコでハロルドが電源落とすときに「熱っ」って演技をするんですが、「誰か冷やすもの持ってきてー」と聞こえました。たぶん閣下じゃない?このアドリブ感。

そしていい役だなあと感じたのが加賀楓さん演じるニニ。サティーンへの嫉妬と尊敬を併せ持ち…というか、その嫉妬がちゃんと尊敬や理想に裏付けられた嫉妬というのがとても良い。サティーンの輝きは自分が目指す輝きでもあるから、常に輝いていてほしい。ライバルでもあり、シスターでもある。最高に人間くさくて良い!

「キンキーブーツ」で観て以来気になっている、ベイビードールを演じるシュート・チェンさんも素敵でした。キュート、エレガンス、ビューティー、クール、いろんな要素を併せ持っている感じ。

カーテンコール

今回の公演はローチケとおけぴの貸切公演だったので、終演後少しだけ挨拶がありました。

・劇中のセリフをもじって、自分の持ちネタのように「なんて素敵な客席なんだ!」的なことを言う芳雄さん(しかも味を占めて数回)
・「こういうのを大盛況っていうのかなあ?」というあーやに対して「(大盛況とか)そういうのは自分で言うものではないですよ」と窘める芳雄さん
・日常も役に引きずられないか、という話題で「確かに最近若いと言われる」という芳雄さん
・この話題を振る時にしれっと「芳雄」と呼び捨てで呼ぶあーや(にキュンとした客は絶対多かったはず)
・サティーンに染まりすぎて、某教育番組での演技で「ちょっと…色っぽすぎますね…」と注意されるあーや
・どんな感じ?と芳雄さんに振られ再現するも、「十分色っぽいですね…」と言われてしまうあーや
・役引きずらない?と聞かれて「俺いつもこんなんやしな…」という橋本さん
・貸切にちなんでローソンの由来を語る芳雄さん
・由来を語る芳雄さんに「それしらべたの?」というあーや
・おけぴの由来を語ったついでに三谷幸喜の「おけぴ」を歌い始めたあーやと、合わせて手拍子する客席に、「(そのおけぴは)東宝作品じゃないからだめ!!」とストップをかける芳雄さん

記憶の限り

もはやマシンガントーカー・芳雄と、複数の意味で天然ダイヤモンド・あーやによる漫談。このカンパニー楽しそうやな。

最高のステージだった

まさに一つのショーを観たような作品でした。作曲、作詞、訳詞、すべてバラバラなのに、「ムーラン・ルージュ」という世界を作っている。これはわざわざ帝劇まで行った甲斐がある、最高のステージ作品。
ストーリー自体はしんみり、しっとりとした終わり方ですが、カーテンコールで再度盛り上がって終わる、楽しいエンタメステージ。

望海・甲斐バージョンも軽率に追いチケしようかと迷っていましたが、あいにく(というか素晴らしいことに)、僕が観た翌日にチケットは完売したそうです。開演前は「チケット代が高すぎる!」というので話題になったこともありましたが、それだけの価値があると客席が納得する作品だったと思います。

くう…僕が関東住まいであれば軽率に通うのに…。ちなみに千穐楽配信とかないですよね…権利的に。予定があるならもったいぶらず、お知らせ願います、運営さん。配信、映像化は無理でも、日本オリジナルキャストの音源だけでも残りませんか…。

日本で演るミュージカルとしては、かなりロングランな作品だと思いますが、8月の千穐楽まで、このまま無事に進んでほしい。チケットも完売したし!ムーラン・ルージュ旋風がこのまま続きますように。Everybodyカンカン!!

おまけ

これは帝劇内のカフェでコラボメニューとして出されていたマカロン。

値段は聞かないのが大人よ♡

これもコラボで、銀座で売ってたチョコ。

値段は聞かない(略)

これもコラボ、帝劇内で売ってるレッドティー。

♡のつぶつぶが甘くておいしい

遠征だからね、財布の紐はあってないようなもの。
いまですか?もやし生活が始まってます。
華やかな舞台は、質素な生活があるからこそ華やかなのだ。

Everybody カンカン!(無理やりな締め)

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