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【観劇レポ】過去に見たミュージカル・舞台の感想を簡単プレイバック

ミュージカルが好きです。回数的な意味で観劇を楽しんでいるのは社会人になってからですが、そう言えば小さい頃から舞台には触れてきたなあと最近思い出しました。
最近見たものはレポという形で残していくようにしていますが、昔のものは僕の記憶の中だけ・・・というわけで小さい頃からコロナ前までくらいで見に行ったミュージカル・舞台を簡単にプレイバック。

ユタと不思議な仲間たち(ミュージカル・2007)

小学校の社会見学で見に行った劇団四季のミュージカルで、僕にとって人生初の観劇。東北弁のセリフはちょっと聞き取るのが難しかったけど、優しくて易しい内容でした。
確か終演後、キャストさんたちがお見送りをしてくれて、間近で衣装やメイクを見て、すごく凝っていることに感心して帰った記憶があって、「美女と野獣」とか「ライオンキング」のような、豪華絢爛ディズニーミュージカルのイメージがあった劇団四季の印象が変わった舞台。

このときはまだ、特段舞台や演劇が好きとは思っていなかったけど、たとえすべての要素を理解できないとしても、こどもの頃に見て触れたものって何かしらの形で自分の一部になっているんやなあと思います。

美女と野獣(ミュージカル・2009)

親が縁あってチケットをゲットしてくれて、家族で行った劇団四季。確か中学に上がってすぐだったはず。ありがたいことに我が母上、一度は劇団四季をこどもに見てほしかったと語っている。感謝感謝。
劇団四季と言えば!というのを体現するような、僕が想像していた劇団四季の豪華絢爛なディズニーミュージカル。今でもやっぱり、劇団四季のディズニーミュージカルはすごいと思うし、家族で楽しめるエンターテイメントの王道です。

アニメで見たような風景が、リアルの人間で演じられているのにすごく感動。ちゃんと城の住人が、魔法で姿を変えられた家具・調度品の特性を反映した動きをしていて、「人間の演技力半端ねえ」と思った次第。
干支一周分くらい昔に見た劇ですが、今でも断片的にシーンは覚えているもので、ガストンの酒場でジョッキをチャカチャカ鳴らして踊るシーンとか、ベルを迎える晩餐会のシーンとか、野獣の魔法が解けるシーンとかは今でも好き。

僕自身それほど裕福な家庭で育ったわけではないので、ミュージカルはある意味すごく贅沢なものだったわけですが、贅沢な時間を過ごすということ、パフォーマンスが人を感動させること、というミュージカルの、エンターテイメントの根本的なことを知った作品。

オペラ座の怪人(ミュージカル・2011)

こちらも縁あって(略)。見たのは確か高校生の時。「美女と野獣」で大感動した僕にとって、「劇団四季のオペラ座の怪人は、すごいらしい」というキャッチフレーズは何よりも魅力的に感じたもの。ディズニーではないし、ストーリーも大人向けやったけど、見に行くと決まった時から楽しみで楽しみで、当時買ったばかりのPCで検索して、ストーリーの予習をしていったほど。

仮面舞踏会のシーンをはじめとした豪華絢爛な舞台と衣装。かの有名なシャンデリアが落下してくるシーンのドキドキ感。怪人とクリスティーン、ラウルの三角関係の機微。思いましたよ、「劇団四季のオペラ座の怪人は、すごい」と
観終わった後も余韻冷めやらず、映画版のDVDをレンタルしたり、大学に進学してからも英語の文学感想文の課題図書にオペラ座の怪人を選ぶくらい、作品自体にもハマりました。ストーリーを深く知れば知るほど、怪人の悲哀もとい悲愛に心打たれずにはいられない。不朽の名作ですね。

罪と罰(舞台・2019)

高校・大学時代。お小遣いやバイト代に余裕のある暮らしではなかったので、娯楽にはお金を多くは使えなかった。まあ大学時代に演劇・ライヴに行けないのはお金だけでなくて、体育会系部活動という闇のゲーム・・・じゃなかった、素晴らしい青春の1ページも理由ですが。

ということでしばらく観劇とは距離があったのですが、社会人となって自由に使えるお金も増え、「そうだ、舞台を見よう」とさも京都に行くかのような感覚でチケットサイトを検索、見事当選した舞台。僕にとって初めてのストリートプレイでした。ストーリーはかの有名なドストエフスキーの「罪と罰」。

恥ずかしながら原作を読んだことはないのですが、なかなかに重厚なストーリー。おひとりで何役か兼任されているキャストも多かったのですが、鬼気迫る演技、息遣い、表情。遠い席からでもわかる「空気感」に圧倒されました。映画やドラマなどの編集されたエンタメもいいですが、一秒たりとも同じ世界がない、生の演技の空気感に魅入られたのはこの時かもしれない

主演の三浦春馬さん、これを見るまでは「イケメン俳優の一人」としか思ってなかったですが、印象がガラッと変わりました。良心の呵責に苦しみ追い詰められていく青年を演じるその様は、「演じる」というか「役が憑依している」とすら感じました。劇中かなり長いセリフもありましたが、セリフを覚えて言っているというより、自然とその言葉や文章が口をついて出てきている、という感じ。

ヘンリー5世(舞台・2019)

「罪と罰」と同じく、たまたま某チケットサイトを眺めていた時にビビッと来て、見事抽選に当たった舞台。仕事との折り合いをつける際に少しだけ”イベント”があったけど、過去のことは気にしない。

松坂桃李主演の舞台で、故・蜷川幸雄とそのあとを継いだ吉田鋼太郎による「シェイクスピアシリーズ」の一つ。

前述の「ビビッと」というのは、もともと俳優・松坂桃李の演技を生で見て見たかったというのも一つの理由。お顔も端正なのですが、彼の演技、結構好きなんです。
俳優としての個性がめちゃくちゃ光っているというより、何かが憑依しているというか、何者にでもなれるというか・・・その役を実在の人物としてリアルに演じているとでもいいましょうか。
舞台ではないですが、映画の「娼年」、「孤狼の血」とか。ドラマの「日暮旅人」とかも好きでした。ちょっと陰のある役が似合いますよね。そういえば無課キング、結婚おめでとうございます。

話がそれましたが、吉田鋼太郎のストーリーテラーがめちゃくちゃいい味出していて、「目に見えないものは想像しろ。ここは海。いいね?!」みたいなことを観客に語りかける。ヘンリー5世の王としての苦悩が描かれていつつ、それでいてクスっと笑えるシーンもあってあっという間に時間が過ぎた印象。

戦争ものなのでチャンバラもあるのですが、観客席のすぐ横をキャストが走り抜けていって、「うわ、1メートル先に松坂桃李いはるわ」となりました。(観客席を使用した演出、新型コロナの影響でこれから減ってしまうのかなあ…)

もちろん作品単体でも楽しめたけど、この舞台はシリーズものだったので、前作以前を知っていればより楽しめるポイントがたくさんあったんやろうなあと。映画やドラマと違って、舞台は同じものを見ることは難しい。もちろん映像化されるものもあるんですが、「その時のその空気」はやっぱり生でしか感じられないんですよ。生まれる時代は選べないですが、もっと早く生まれていろんな舞台を見たかった・・・なんてことも思います。

イートハーボの劇列車(舞台・2019)

宮沢賢治原作。宮沢賢治のユニークな世界観を舞台化した作品。宮沢賢治自身が登場人物であるストーリー(だと解釈してるけど合ってるのかな)。
豪華な装置を使うのではなく、人の声やオノマトペでの表現が印象的でした。列車の「ガタンゴトン」や「シュー」という発停車の音とか。

今まで見た舞台は時代物・歴史物、あるいは有名な長編文学作品だったこともあって、比較すると質素で現代劇に近い印象を受けますが、そんな質素な感じも含めて宮沢賢治の世界ですよね。

リトルマーメイド(ミュージカル・2019)

久々の劇団四季。やっぱりディズニーのファンタスティックな世界観を現実の舞台に持ってくるのは劇団四季の十八番ですね。
海中での生物の動き、例えばヒレの動き、アリエルが泳ぐときの髪の毛や筋肉の動き、アースラの触手の動き、海藻の動き・・・すべて計算されたうえで緻密に世界を組み立てている。

リアルだけどファンタジー。「ミュージカル」ではなく「劇団四季のミュージカル」は一つのジャンル・固有の概念としてブランドと空気を確立しているなあと思います。ディズニーランドにも共通する感覚かもしれません。見に行ったことはないですが、宝塚も同じですかね。

キンキーブーツ(ミュージカル・2019)

僕の人生を変えた作品。「一番好きなミュージカルは?」と聞かれたら、迷わず本作を出します。ブロードウェイミュージカルで、日本では再演となる2019年版。大阪千穐楽を見に行きました。
感動して泣くのではなく、楽しさで感極まって泣いたのはこの舞台が初めてです。もちろん感動する場面、心に刺さる場面もたくさんあるんですが、最後は観客も含めて大団円というのが本当に楽しかった。楽曲もキャッチーで、体が自然と動くような魔法がかかってるんです。

世間では「三浦春馬の女装が見れる」という点でも注目されたものですが、そういう見方をした方たちにスライディング土下座を強要したいくらい、「そういう好奇の目で見るもの」じゃないです。確かに春馬さんは美しいですが、単なる女装じゃない。女装癖のお方じゃなくドラァグクイーンなの!クレオパトラなの!
冗談はさておき、本当に春馬さんの演技がすばらしくて、ほんの2カ月前には「罪と罰」をやっていたのに、体つくりも纏う空気も全く違う人。表現者としての三浦春馬がいかに稀有な存在であるか。亡くなった今では本人に届きませんが、本当に春馬ローラは素晴らしかった。いや、過去形ではなく、素晴らしい、ですね

全キャストが魅力的で、語り尽くせぬ思いがあるのでキンキーブーツの感想は思い出しながら別記事にしようかと思います。

CHICAGO(ミュージカル・2019)

世界でも人気の作品で、日本人で米倉涼子が主役を射止めたことでも有名な作品。全編外国語でのミュージカル

字幕の力もあったけど、言語が分からなくても演技やパフォーマンスで伝わるものがあるんやなあと思いました。本作に限らず、やはりミュージカルの本場は海外ですが、いつか本場での「CHICAGO」も見てみたい。

豪華絢爛バーン!!という感じではなくて、甘美でオトナな空気感と、欲望と思惑が交差する大人な世界感。人間のしたたかさと弱さを感じました。
あっという間の時間だった印象で、目まぐるしく場面が展開するようなストーリーでもないのに、見終わった後の走り抜けた感がありました。

余談ですが、日本の俳優さんたちもスタイル良いけど、やっぱり外国のキャストさんたちってスタイルがすんごい良いですね。とにかく手と脚が長い。

最後に

2020年以降の観劇については、作品ごとにレポをしたためようと思いますが、こうして過去に見た作品を振り返った上で言えることは、やっぱり生の舞台は素晴らしいということ。演技、音楽、舞台装置、衣装、カンパニーの団結、スタッフのサポート、観客の期待・・・目に見えるものから見えないものまで、あらゆるものが創り出す「空気感」。これに包まれるために、僕は舞台を見に行っているんやなあと再認識しました。

最後の「CHICAGO」以降約1年弱、仕事が忙しかったり、例の流行り病もあって、観劇には行けずの期間が続きました。今(2021年)の時点では、やはりエンタメ業界全体が「不要不急」のレッテルを貼られ、厳しい・苦しい状況で公演中止・延期も相次いでいるものの、少しずつ生の舞台を見る機会が戻りつつあるのかなあと感じています。

舞台を創る側の方たちには無限のエールを送りつつ、僕を含めた舞台を見る側の人たちは、マナーとルールを守って応援していかねばなあと思います。様々な作品がしがらみ無く公演され、割れんばかりの拍手をお届けできますように。

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