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【観劇レポ】凍った心が温まる 劇団四季「アナと雪の女王」

ミュージカル観劇レポ、今回は関西を飛び出し遠征編。第一弾は東京劇団四季「春」で公演中の「アナと雪の女王」。

アナ雪を知らない人は少ないはず。2013年に劇中歌「Let it go」が一世風靡し、アナ役の神田沙也加さん、エルサ役の松たか子さんの好演も話題になったディズニー作品です。

キャストはこちらでした。
余談ですが、序盤で「こんな顔」と自分を卑下するハンスを見ながら、「いや、あんたイケメンやがな」って内心ツッコんでました。映画みたいにあんなロングアゴーな人材、ハプスブルク家でも連れてこない限りいないよね…。

最初から泣いた

「ゆきだるまつくーろー♪」って有名な劇中歌ですが、まさか泣くと思わなんだ。アナの寂しさとエルサの孤独がこうも凝縮された曲だとは…ミュージカルとして観てはじめて気付く趣。

アナとエルサを演じる子役のお二人の好演もあって、お兄さん最初から泣いちゃった。特にエルサ役の子は少しお姉さんなだけあって、歌も表現も大人に負けてなかったです。子役が頑張ってると条件反射で涙が出るのは何?父性?

そして場面転換とともに成長した姉妹も登場。アナ役三代川さんはすごく天真爛漫でお転婆、ちょっと田舎っぽさ(世間知らず感)があって、可愛らしかった。あの環境であんなに明るく育つのってすごいなぁと思う反面、そうでもしないと耐えられなかったのかな…とも思ったり。
エルサ役岡本さんは、声質が本家(松たか子)に似ている気がして、うわぁ…エルサやぁ…!と感動しました。自分のうちから湧き出て、氷という形で現れる恐怖と戦う姿は見ていて切ない。

これぞ四季のディズニー

アナ雪といえばエルサの氷魔法。四季の再現力というか、ディズニーの世界観を証明やSE、舞台装置で表現する力は流石です。何より美しい。フィナーレ前のアナが完全に凍ってしまうシーンも、なるほどそういう見せ方があるのかと感心させられました。

氷ということで視覚的に感じているのかもしれませんが、心なしか劇場も涼しく感じたような…。

そして一幕、二幕それぞれのフィナーレの演出はもう唖然感嘆。

一幕ラストの「ありのままで」は、かの有名なLet it goの曲。エルサが孤独に生きる決心をすることで自由を手にしたと歌うこの曲は、氷の魔法が立て続けに出てきて、エルサの衣装変化もある。

氷の城ができていく様もさることながら、ラスサビとともにエルサの衣装が変わるシーンは、ごめんなさい、筆舌できません。これリアルの人間がやってるんか…?

そして演出に負けない、というか相乗効果でもっと魂が震えるのが、岡本エルサの圧倒的歌唱力。ラストの「少しも寒くないわ!!!」は、決意の強さと、孤独の辛さと、自由への願いとが幾層にも重なっており、観客と劇場を支配した。

曲の終わりとともに暗転し、一幕終了とともに拍手。ここまではミュージカルあるあるですが、拍手が止むと同時に会場中から「おぉ‥」と感嘆の声が響きました。ほんま、これはすごい。客がどよめいたのは、僕には経験がありません。

二幕ラストは、映画ではハッピーエンドでわちゃわちゃして終わったシーンを、ミュージカルらしい大合唱で締め。アナ雪の顔とも言える「ありのままで」をリプライズでもってくるのは粋ですよね。

オラフがかわいい

オラフが映画から出てきたそのままの感じで、本当に愛らしい。キャストさんがオラフの人形を操りながら演じられるのですが、目の動き、瞬き、柔らかいおしりなど、一つひとつの動きがもうオラフでしかなくてオラフなんです。カーテンコールでハッピを着てきたり、ハンスと手を繋ぐのを一瞬嫌がる風にしたり、逐一可愛かった。

割とシリアスな場面が続く中でも、オラフがいることで笑いが生まれるのもいいアクセントというか、おいしい役どころ。暖炉の前で溶けるシーンは、まるで本当に溶けているかのように体が柔らかくなっていって、生きているというのがリアルに感じられました。

かわいいだけじゃなく、オラフの存在ってアナ雪という作品において非常に重要だと思うんです。幼きころのアナとエルサの、それぞれの愛の形の象徴というのでしょうか。温かいハグが好き!というのも、ラストシーンの姉妹の抱擁に繋がるようで、そう考えるとジーンとくる。

あ、スヴェンもかわいいよ。

改めて作品のテーマが染み入る

アナ雪のテーマである「真実の愛」。人を想う気持ちだけでなく、それが行動に出るか、どんな行動になるかというのも人それぞれ。

愛するゆえに遠ざけ自分すらも閉じ込めたエルサ。愛に飢え愛に急ぎながらも最終的に自分が助かるよりも身を挺してエルサを庇うアナ。アナを助けるために自分ではなくアナの想いを尊重するクリストフ。アナのためなら溶けてもいいというオラフ。

氷という冷たい物質が大きな舞台装置となっている作品の中で、想いの強さがより温かみを持ちますね。
アナ雪って、こんなジーンとする作品やっけ…と言うとディズニー映画に失礼ですが、ミュージカルにするうえでより分かりやすく、よりテーマを深掘ってくれたのかなと思います。


心が温まるミュージカル。肌寒くなってきましたが、ホカホカした気持ちになれました。

ところで…僕に真実の愛を誰かいただけませんか?
みなまで言うな、THE END!

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