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ライカSL3、完全レビュー

こんにちは、フォトグラファーの吉田タイスケです。

今年3月に発売されたものの全然人気もなく(?)、誰もレビューを書かない「ライカSL3」というカメラについて、買ってから一ヶ月半が過ぎた今、作例と共に備忘録的に書いておきます。もし万が一気になっている人がいたら、参考になれば幸いです。

上の写真はSL50mmとM Apo50mm、Zeiss Planar 50mmが混ざってますが、全て50mm撮影です。とりとめなくてすいませぬ。


0:見た目

見た目は大事です。人間と同じです(←オイ)。見た目「も」惚れられるカメラが良いカメラ。

SL3にはデザイン、質感共にM譲りの美しさがあります。
ちなみにオールブラックは自分でカスタムしました。リセールバリュー?なんですかそれ?

ただこの外装の耐久度が低く(あり得ん!)、何度も爪を立てるとすぐに剥がれます。サービスセンターによっては無料で貼り直してくれますが、ボディカバーを検討した方が良さそうです。

1:起動速度

あ、撮りたい!と思った時に、一瞬ずれるあの感覚。今まであれで何度つまずいて膝をすりむいたことか、イテテテ。ミラーレスを使っていて一番嫌なのが、『起動の遅さ』です。

あの一瞬が、ああ、カメラじゃなくて電子機器を使っているんだとがっかりさせられるんですよね(←いや、もうずっと前からデジタルなんだけど)。それがSL3になってからは、起動爆速とは言いませんが、だいぶマシになりました。その日最初の起動には数秒かかりますが、スリープモードからの復帰は0.5秒かかっていません。それでさえ遅い!と感じる時がありますが、改善はされてるので合格とします(甘い)。

ちなみにバッテリーの持ちは、SL2時代と比べてそんなに変わりません。仕事で使うなら、最低でも一日3つは必要ですが、、(予備含む)。バッテリーひとつ、2万5千円でしたっけ、、(あり得ん!)。

また、確かに後ろの電源ボタンはめちゃくちゃカッコ悪いですし(個人の意見です)、電源にイルミネーションなんかいらねえだろ💢!と思いますが、LEDは消せますし、電源ボタンには黒いパーマセルテープを貼ってしまえばもう大丈夫、見えません(←そういう問題なのか!?)。テープを貼っても、電源のオンオフには何の支障もありません。ああ、ボタン式で良かった。

2:シャッター音がいいっ

細かいポイントが続きますが、カメラを使っていて気持ち良いか、気持ち良くないかって、こういう細かいところの積み重ねなんです。手触り、質感、音、反応速度、、、画面で見る数字のスペック以上に大事なところ。

シャッターってカメラを使っていて、プロなら多い時は1日1000回以上押す部分なので、そこが気に入らないといつまでもストレスが積み重なるんです。例えばニコンZ8が気になっていて一度実機を触らせてもらったんですが、あの偽メカシャッター音(すいません)がどうしても好きになれず、全然欲しいと思えませんでした、、(ちなみにライカの前はニコンD850をずっと使ってました)。

で、シャッター音。SL2が「カシュッ」ならSL3は「コトン!」っていうくらい違います(←いや全然わからないっす)。先代より音がデカい。よくぞここまで変えたな、と思うくらいの変化です。最初はSL2の小さめの音が好きだったんですが、使っているうちにSL3のいかにも「シャッター切ったよっ!」という表現が好きになってきます。モデルにも聞こえやすいでしょう。音を消したい時は電子シャッターにすれば、シャッター音はなくなります。

今までSL2(S)のシャッター音が好きだったあなたも、きっと気に入ります。なぜならこの音には、中判フィルムカメラ的なアナログ感があるからです。押せばわかりますが、「連写しないで一枚一枚撮ってね」と言っているシャッター音なんですよ(←シャッターソムリエですか?)。

販売店の人とも「M型のシャッター音に寄せてきてますよね?」「わかりますかー」と盛り上がること請け合い(皆シャッター音が気になるお年頃)。

3:ボディが小さく感じる

実際は先代とわずか70gの違いです。たいして変わりませんし、最初に持つとグリップ感やデザインはSL2の方が上だと思えます。SL3はグリップがほんの少し以前より厚いので、カメラ前部にある二つのFNボタンへのアクセスはよくありません。 しかし、、微妙なグリップの厚みの差(数mm)はすぐに慣れます。FNボタンもまあ押せる。それよりも、例え70gでもバランスが良くなった(中央に集まった)せいでだいぶ軽く感じるし、オールドレンズとの見た目の相性も良く、言うことナシ。


4:AFが改善されている

AF追従連写機能はSL2が6fps、SL3が5fps。なぜスペック落ちるんだよ、、、ファッションショーとか動きものとかの撮影厳しいじゃん、、、って、地面を叩きながら泣きたいくらい悲しいんですが、自分が一番メインで使うのは「シングルショット&AFセンタースポット」(8割はコレ)という組み合わせです。これが結局一番撮影が早く進められて、且つAFが細かく正確に合わせられる組み合わせだから。

で、その「スポットAF」も確実に早く、精度も良くなっています。今まで逆光だとなぜか光源にピントを合わせられなかったり、暗所で迷ったり、カメラ投げ捨ててやろうかと思うくらいアホなAF(一眼レフ機と比較して)に、とんでもないストレスを何度も抱えてきましたが(スナップでは二度同じチャンスは来ない)、それがだいぶ改善されている!!

ちなみに、SLのアポズミクロン系レンズはバカみたいに高いのに、AF駆動音が昭和のレンズなんですか?っていうくらいうるさくて(特にAF-C)、もう半額のノーマルズミクロン(安い、軽い、AF静か。でもシグマのOEMとも言われてる)に変えようかと思ったりしてたんですが、SL3のAFなら駆動音もだいぶマシです。

また使っていてわかったんですが、動きものを撮る時は、AF-CよりもiAFを使った方が追従感度は良いように思えます。歩くモデルを撮る程度なら、何も問題ありません。

あとシングルショットは、EVFブラックアウト時間がなぜか長いんです(仕様、、)。シングルで撮影する時も二枚連写(2fps)にしておくと、EVFブラックアウトがほぼないので、スムーズに撮影ができます。この辺はファームウェアで何とかしてほしいですね。さすがのライカ様、初期仕様が厳しいよ(あり得ん!)。

5:画質が良くなっている上に、RAWサイズが選べる。

どうしてもSL2からSL3に変えたかった理由のひとつが、RAWサイズが選べるという点です。

1800万画素でA3プリントもいけるでしょう。必要十分、日常生活を軽快に撮れる。さらに大きく伸ばしたかったり、ズーム的にトリミングを使いたかったりする時は6000万画素で。

この「画質劣化なしでRAWサイズ選択」をできるのはライカだけ。また、Q3やM11を使った人はわかると思いますが、今まで(Q2、M10)よりさらに一段画質が良くなっているのは、SL2→SL3も同様です。良くなるとはシャープになるということではなく、むしろディティールが増えることによって臨場感が増すというような方向のこと。

もちろん今までのままでも十分だし、仮に写真を混ぜられたらどれがSL3でどれがSL2なのか、当てるのは簡単ではないでしょう。でもディティールに違いがあるのは確かで、それを「自分でわかっている」ということが、撮影時のテンションに影響してきます。

6:暗所ノイズに強い

SL2の弱点だったここも改善されてます。SL2-Sも高感度耐性がありましたが、そっちの絵作りともSL3は違う。どちらかといえばSL2寄りで、それに対して高感度耐性とディティール描写とホワイトバランス(色)が良くなった、、つまり、無敵になったと言えます(画質という面では)!

今やもうISOを気にしなくてもいい、フィルム時代から考えれば夢の時代になりました。自分は最近ISO上限6400に設定して、あとはオートISOで全く触らずAモード。シャッタースピード下限も撮る被写体で一度設定(例えば動く人物なら1/500とか)してしまえば、あとは絞りと露出補正だけに集中して撮影しています。

7:UI(ユーザーインターフェイス)がシンプル。

まだ使いこなせてませんが、カスタマイズしやすく今まで以上に撮影に集中できます。

8:モノクロの描写も今まで以上に良い

これはセンサーの良さが影響しているでしょう。もうM型モノクロームはいらないかも、と思えるほどトーンが良いんです、ほんとに。

9:動作が安定している

SLシリーズもすでに3代目、EVF動作その他もだいぶ安定してきました。SL2ではEVFがチラついたり、一瞬白くなったり、不安定なこともあったんですが(故障だった?)、SL3には安定感があります。覗きながらカメラ振り回しても、光学ファインダー並みに美しい。 また友人曰く、ティザー撮影もソニー以上に安定しているということなので、スタジオ使いも大丈夫そうです。

以上、写真機能に関してのレビューでした。動画は基本撮らないので、動画機能レビューがなくてすいません。

デメリット

ダメなところも参考までに書いておきます。

1:AF追従連写が弱すぎる
上でも書いていますがAF追従は5fps(12bit)、4fps(14bit)までです。遅いっ!動物&スポーツは厳しいでしょう。子供の運動会でライカとか、もう無理ですから。走っている姿は撮れません(不可能とは言わない)。おにぎり食べているところや、疲れて寝入った横顔にしましょう。

2:フラッシュ同調速度
1/200です。SL2より下がってます、、なぜ。あと説明書見てもわからないんですが、ハイスピードシンクロはできるのか?まだ試してません。

3:高価なバッテリーの減りが速い
前からです。今回も改善されていない上に、先代のバッテリーを入れると「連写は2fpsまで、動画はFull HDまで」という制限があります。ライカ様、なかなかドSな仕打ちです!

4:マルチショットお亡くなりになる
SL2ではできて、SL3で消えたことのひとつにマルチショットがあります。今やS5IIでも手持ちマルチショットができるというのに、なぜSL3からは消えてしまったのか。とはいえ6000万画素で当面十分ですし、Photoshopの強化機能で実質1億画素相当のデータは作成できますが、、。

ひとまず思いつくデメリットはそれくらいです。AF追従連写以外は、自分の場合そこまで困ることもありません。「ただしイケメンに限る」というように、見た目で何とかしましょう。ライカはテーブルに置いて酒が飲めるくらい見た目は良いんですから、きっと何とかなるはずです(それはない)。

まとめ

とにかく、SL2 →SL3は「写真を楽しめる」カメラとして順当な進化を遂げています。個人的にはこれでやっと仕事の相棒として使い込める、、よかった(涙)、、という感想です。AF&EVFライカ、使ってみればその楽しさがわかると思いますので、迷っている人はぜひ!


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