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【台北駅周辺】東京神田のような書店街を、栄枯盛衰を感じなから散策してみる

台北駅の周辺は移動に便利なので、この近くに宿をとってブラブラ歩いたことがある人も多いのではないでしょうか。

台北駅の南側に、書店街と呼ばれた大通り「重慶南路(じゅうけいなんろ)」があります。
ここは、日本時代から今日まで、主役が次々に入れ替わってきました。
まっすぐ歩けば10分程度で通り過ぎてしまう場所ですが、歴史を紐解いていくと興味深いエピソードにめぐりあえます。
 
今回は、この重慶南路をじっくり観察しながら歩いてみましょう。
 
歩き始める前に、簡単にこの大通りの歴史をお勉強してみましょう。
日本時代には「台北銀座」と呼ばれ、とてもにぎやかなところでした。戦後は、上海から出版社や書店が続々とここに移転してきて、最盛期の1970~80年代には、わずか650メートルの距離に、書店が約80店舗、出版社は台湾全土の約7割が集まり、世界中どこを探してもこんなに多くの中国語の書籍が揃っているところがないといわれるほど、有名になりました。
 
しかし、インターネットの普及で本が売れなくなり、書店は次々に閉店してしまいました。
代わりに、カフェやお手頃価格のホテルが増えたのですが、コロナの影響でこれらも閉店してしまい、今では貸テナントの看板が目立つようになってしいます。
 
この時代の流れを頭に入れておくと、この街を歩くのが楽しくなりますよ。
では、台北駅側から、この魅惑的な大通りに入っていきましょう。
 

ビブグルマンの胡椒餅

開封街との交差点にある、赤い看板の胡椒餅のお店
いつでも行列ができています

赤くて目立つ看板のお店から香ばしいにおいが漂ってきますね。ここは、饒河街(じょうかがい)夜市にある有名な「福州世祖胡椒餅」の支店です。本店はミシュランのビブグルマンにも選ばれたんですよ。
 
今日のテーマはこの街の栄枯盛衰でしたね。B級グルメはテーマとは関係ないので、説明はここまで。

えっ? 食べてみたい? においだけで我慢してください。
 

看板だけになった有名書店のビル

上海の三大書店と言われた有名な書店のビル 今は営業していません。
漢口街との交差点にあります

グレーで覆われ、大きく「商務印書館」と書かれたビルがありますね。
ここには、もともと上海の三大出版社の一つと言われた「商務印書館」の出版社と書店がありました。
この重慶南路の書店街は、書店と出版社が同じ場所にあるのが特徴です。
つくった本を自分の店舗で販売すれば簡単に管理ができますね。
 
本が売れなくなって、出版社は台北郊外に移転しました。
その後ここはホテルになりましたが、コロナの影響で海外からの観光客がまったく来なくなったので閉館しました。
次に1階にファストフードが入りましたが、これもコロナの影響ですぐに閉店してしまいました。いまでは空きビルになっているようです。
コロナは、街の姿を短い間にどんどん変えていってしまいました。
 

戦後台湾で最初の出版社

「租」とは貸店舗、オフィスのことです 
台湾で最初の書店が、この衡陽路との交差点にありました


もっと先に進みましょう。
空き店舗になっている1階には、最近までドラッグストアがありましたが、その前は「東方出版社」の本屋さんでした。
東方出版社は戦後台湾で最初にできた出版社で、台湾に中国語を普及する目的で設立されました。
台湾は日本の領土だったので、日本語が使用されていましたが、戦後は中国語が公用語になったので、市民に中国語を教える必要があったのです。
 
日本時代、ここは西洋風の豪華絢爛な建物で、台湾で初めての書店「新高堂書店」の店舗でした。3階建てで売り場は270坪という当時もっとも大きい本屋さんでした。
本のほかにも楽器なども販売し、近くにある公園の野外ホールで実施するコンサートの入場券も取り扱い、台北のカルチャー発信地になっていました。
 
ここは、重慶南路が書店街になるきっかけになった、とても貴重な場所なのです。説明が書いていないので、知らないと通りすぎてしまいますね。
撮影してしっかり記録を残しておきましょう。
フイルムがもったいないと思う人は撮らなくてもいいですよ。

えっ? 今はデジカメだからフイルムはいらない? 

失礼しました。先へ急ぎましょう。
 

文豪が好んだカフェ

1階はケーキ店、2階はカフェになっています


来た道を戻りましょう。
「明星」というカフェがあります。
名前は同じでもアイドル雑誌とは関係ありませんよ。

戦後すぐに開業した歴史あるカフェで、台湾の有名な文豪や映画監督がここで小説やシナリオを書いていました。
書店街めぐりにぴったりの場所ですね
台湾では珍しい本格的なロシア料理が味わえます。

とてもきれいなお値段をしているので、カフェには入りません。
でも、せっかくここまで来たので、1階の売店で名物のロシアのお菓子
 俄羅斯軟糖(ロシアンマシュマロ)を買ってみましょう。

俄羅斯軟糖(ロシアンマシュマロ)

ココナッツの味がして、口の中でやさしく溶けていきます。
中に挟んであるクルミが口の中に残り、味の余韻を楽しめます。
賞味期限は常温で5日と短いのですが、日本へのおみやげにいかがですか?
おみやげを渡すと、

えっ? 台湾に行ったのに、どうしてロシアのお菓子買ってきたの?

とけげんな顔をしてくれますよ。
 

日本時代の建物を利用したカフェ

レンガづくりの風格のある建物です 漢口街の交差点近くにあります


歩き疲れたので、リーズナブルなカフェで休みましょう。
今流行りのレトロモダンだと思った人、残念ながら違います。

これは日本時代から残っている歴史的な建物を利用しているのです。
3階の窓の間の柱を見てください。ファスナーのようなデザインがありますね。
日本時代、このあたり一帯は「楽天地」というショッピングエリアで、建物にはすべてこのファスナーのようなデザインがありました。
周辺のビルはほとんど改装されてしまい、このカフェはにぎやかだった頃の様子を残す貴重なものになっています。
 
移動した距離はわずか1キロ程度ですが、細かく見ながら歩いたので、クタクタになってしまいましたね。
このカフェで休んで今日の散策は終わりにしましょう。

ありがとうございました。

2階の客席 レンガの壁が見えるようになっています


 

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