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台北 小籠包の有名店の近くで、宇宙からのメッセージを発見?

台北旅行に来ていた友人が、興奮しながら私に話してきた。
「宇宙からのメッセージが書いてあった。」
 
私は台北に長く住んでいるが、そんな話は聞いたことがない。
もちろん、宇宙人が来たといううわさも聞いたことがない。

冗談だろうと適当にあいづちを打っていたら、
「本当だよ!小籠包を食べに行ったら、近くにあったんだよ!」
と、声を震わせながら話を続けている。
 
友人の話は本当なのだろうか? 
もし友人が話しているとおり台北に宇宙人がいるのなら、
これは大スクープだ!
興奮冷めやらず話を続けている友人を横目に、私は探偵になったつもりで冷静に分析を始めた。
 
友人は初めて台北に来たので、土地勘がなく具体的な場所の説明ができない。しかし、手がかりになるポイントをいくつか話していた。
 
・有名な小籠包を食べに行ったらテイクアウト専用になっていて、近くの店を案内された。
・日本人観光客が多い黄色い壁の店で、マンゴーかき氷を食べた。
・レトロな理髪店の前で、写真を撮った

 
これらの数少ない情報をもとに、私の頭の中にある最新版ChatGPTを駆使して場所を特定してみた。
 
MRT東門駅近くにある永康街のようだ。
ここには小籠包で有名なレストラン鼎泰豊があり、本店はテイクアウト専門になっている。その近くには、マンゴーかき氷で有名な黄色い壁の店もあり、日本人観光客がたくさん来ている。
 
その近くに、本当に宇宙からのメッセージがあるのか?
もしかしたら、日本人観光客に紛れて宇宙人が歩いているかもしれない。
 
私は、ウォーリーを探せも、間違い探しゲームも大の苦手だ。
日本人観光客のフリをしている宇宙人を探し当てることなど、到底できない。
 
それでも、居ても立ってもいられなくなり、自分の目で確かめるため永康街へ向かった。
 
この街には、目をつぶっても歩けるほど何度も来ている。
しかし、今日は足取りが重く、なかなか前へ進めない。
 
宇宙人に会ったらどう話しかければよいのだろうか?
「Hi!」と友達感覚がいいのか、それとも
「お名前は、かねがね伺っております」
と丁寧に接するべきか・・
ここは台湾だから、やっぱり「ニーハオ」にしようか?
 
考えながら歩いていると、有名な台湾風クレープの店の前に来た。
いつも長い行列ができているが、今は偶然にも人が少ない。
まずは腹ごしらえをしよう。

永康街天津蔥抓餅  住所・台北市大安區永康街6巷1號

景気づけに、ハムと玉子焼き、チーズ、台湾バジルが入った6番を注文。
小麦粉の生地の中でチーズがとろ~り溶けて、ハムやタマゴ焼きとの相性抜群。
台湾風クレープの店の向かいには、黄色い壁の有名なマンゴーかき氷の店がある。友人はここでかき氷を食べたのだろう。

あー食べたい。
 
今回は宇宙からのメッセージを探しに来たのだ。我慢しよう。
写真がなぜか夜になってしまった。これはきっと宇宙人の仕業に違いない。
 
思慕昔(スムージー)本店  日本語ページ

公園で宇宙人発見!! 
でもよく見ると、手にはお茶とマンゴーかき氷を持っている。
近くにある説明を見ると、この街のゆるキャラだと書いてある。
残念。宇宙人ではなかった。

永康公園にて


少し先に進むと、タピオカミルクティーの有名なチェーン店もある。

50嵐 永康店 住所・台北市大安區永康街14巷2號

あー飲みたい。
 
しかし、
飲んでしまうと宇宙からのメッセージを探す時間がなくなってしまう。
悩んでいたら、飲むか飲まないか脳内会議が始まってしまった。
会議の結果が出るまで、ここから動くことができない。
3秒が過ぎ、会議の結果が出た。
 
飲まずに、メッセージを探しに行くこと。
 
少し不満だか、会議の結果に従おう。
 
しばらく歩くと、ミシュランのビブグルマンになったこともある小籠包の看板が視界に入った。

好公道金雞園  住所・台北市大安區永康街28-1號


あー食べたい。
 
この街は誘惑が多すぎる。
きっと、これは宇宙人の仕業だ。
私がメッセージを探すのをあきらめるよう、おいしいものを次から次へと用意しているのだ。
ここで小籠包を食べると、宇宙人の罠にハマったことになる。
 
その手にはのらないぞ!
先へ急ごう
 
まっすぐ進むと、SNSでよく紹介されているレトロな理髪店の前に着いた。

波士頓理髮館  住所・台北市大安區永康街42―4號

友人の頼りない証言はここで終わっている。

宇宙からのメッセージは一体どこにあるのか?
再度、私の頭の中にある最新版ChatGPTを駆使してみよう。
 出てきた答えは、

宇宙人のメッセージなんて、そんなものはありません。
くだらないことはすぐにやめて、仕事しなさい!

 
ChatGPTの言うことは無視して、まっすぐ歩いてみよう。
 
全身シルバーで覆われたトゲトゲしい建物を発見!
閑静な住宅地になんとも不釣り合いだ。
これはきっと、宇宙人と交信する場所だ!

これは国立台湾師範大学美術館です。
宇宙との交信センターではありません  
住所・台北市大安区和平東路1段129號

宇宙からのメッセージに近づいてきたと思うと、足取りが軽くなってきた。
 
今度は筆の塀を発見!
これは、絶対に宇宙からのメッセージを書いた筆だ!

台湾の書道の権威者・于右任の記念館なので、
塀が筆の形になっています。
もちろん宇宙人とはまったく関係ありません。
住所・台北市大安區青田街11巷1號

目を皿のようにしてメッセージを探して歩いていたら、地面に不思議な文字を発見した。

宇宙からのメッセージ発見!

喜び勇んで近づいてみると、
なんと、台湾で使っている発音記号である注音符号ではないか!

金華公園の一角に注音符号が書いてあります 
住所: 台北市大安區金華街172號

台湾では漢字の読み方を表すときに、
注音符号というカタカナのような記号を使っています

 友人は注音符号を知らないので、
これを見て宇宙からのメッセージと大騒ぎしていたのだ。
大スクープになると思ってわざわざやってきたのに、
はかない夢で終わってしまった。


 数日後、台北で一番大きい夜市・士林夜市に行ったとき、宇宙人用のトイレらしき案内を見つけた。

やっぱり、台北に宇宙人はいるのだ。
そう信じたい。
 


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