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【時事抄】 米ドル一強、市場の予想は当たらない

米CPI指標の強い結果で、1ドル=152円ドルの壁を一気に抜けました。岸田首相が米国公式訪問から帰国し、さあ介入との警戒もありました。しかし、週明け後も当局の動きは鈍く、154円後半へ円安ドル高が進みました。

ユニクロの柳井会長が「円安になること自体を喜ぶような人はちょっとおかしいんじゃないか?」「自分たちの状況の元凶を理解しないといけない」と述べていましたが、ごもっとも。食料品の値上げが続いて、スーパーに行くたび買う気が失せる。当局は実行力を見せないと制御不能になるぞ。

そんなドル高、日本経済新聞が記事を載せてましたので見てみましょう。

<要約>
外国為替市場で円相場が1ドル=154円台まで下落し、1990年6月以来の円安水準で推移する。他の主要通貨でも対ドルで下げていて、ドル独歩高が鮮明だ。このドル高の背景には3つの要因が挙げられる。

1つ目は米国は利下げ時期が後ずれし、欧州が先行して利上げする可能性が高まっていること。直近の米インフレ指標や米小売売上高が市場予想を上回る伸びを見せて景気の底堅い。一方、欧州はECBラガルド総裁が6月利下げを示唆し、英BOEも6月利下げ予想が多数派だ。金利差拡大に着目した米ドル買いが進みやすい。

2つ目は中東情勢の緊迫化だ。イランが無人機でイスラエルを報復攻撃し、被害は限定的だったとはいえ、報復の応酬が懸念される。金融市場のリスク回避ムードで「有事のドル買い」が広がる。

3つ目は中東情勢の緊迫化に伴う原油高だ。米国は世界最大の原油生産国で、23年の輸出量は過去最大を記録した。原油価格の上昇は交易条件の改善により自国通貨を押し上げる。欧州や日本では交易条件の悪化につながり、通貨に下押し圧力がかかる。

市場が注目するのは日本政府・日本銀行の介入だ。今週末のG20財務省・中央銀行総裁会議を前に、国際協調を示唆する発言で過度な円安を牽制している。市場関係者はドル高主導の局面では介入の効果は薄いと見ている。政府の新たな防衛ラインとして「155円」が意識されるなか、市場は介入の意思を試している。


昨年の後半、2024年にFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ3回の実施を予想する声が大勢でした。利下げを先取りして米株価は上昇を続け、ドル円相場は金利差縮小を想起して140円割れまで円高進行。年初の為替専門家たちの予想のなかで、150円台再突入という人は少数でした。

そのわずか4ヶ月で155円に届くかというところまで来ました。今年FRBは利下げができない、インフレが再び進行して「ノーランディング」「再利上げ」のシナリオまで出てくる始末。一体何だか。

米ドル/円チャート(2023年~2024年)

「将来のことは誰にもわからない」とは著名投資家の言葉。FRBの超優秀な高官らですら、インフレを「一時的」と解釈しつづけ、前代未聞のスピード違反というべき短期間・連続の利上げを迫られのですから。

専門家の予想にはご注意。
「予想はよそう」。

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