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社会福祉士という資格の可能性【試験勉強方法の工夫】


前回は社会福祉士国家資格の有効性について語ったが、今回は実際の試験対策について語る。※ちょっと長いです


ちなみに私は一応福祉3国家資格(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)を所持している。いずれも仕事をしながら取得した。

「この歳では遅い?」
「仕事しながらだと無理?」
この点は意欲と工夫次第で何とでもなる。

資格取得を目指すのは若く経験豊富な人ばかりではない。様々な職業や経歴を経たり、幅広い年代が席を並べる。確かに経験の有無によるハンディはあるが、だからと言って無理なことはない



私が資格取得に至った思い


この世界に入り20年ちょい。その経歴の中で資格取得は後半に集中している。前半は現場主義バリバリで「資格なんて」派だった。

中間管理職となり、現場だけでなく外部との連携が増した時期、それまで一年に2〜3枚配れば良い方だった名刺も、連日使用するようになる。
他者から受け取る名刺にはそれはそれは高尚な資格が書かれており、自分が渡した名刺には役職名しか書いていない。

これはカッコ悪い。そんな不純な動機から。


きっかけは「カッコよくなりたい」からだが、仕事を極めていくとともに、「専門性」をより高めるため、そして身についた「専門性」を武器にするために資格の重要性を認識し始めた。

仕事を「スムーズに」進める上では資格は武器にも防具にもなる。そのアイテムを生かすも殺すも自分次第。絶対必要とは言わないが、取るに越したことはない。ただ、資格を持つことで一人の「スペシャリスト」の意識が芽生え、それは今の仕事だけでなくあらゆる人間社会において今後利活用されるであろう「見識」を産むこととなる。



試験勉強方法


実際の私の体験から。


たまたまだが受験した時期はわが人生でも指折りの多忙時期だったため、重視したのが「勉強に取り組む時間帯」。限られた時間内でメリハリをつけ取り組むことを考えた。


入所施設支援員時代に活用したのが「夜勤」の時間。

自宅では気が散ってしまうが、夜勤帯は「仕事している時間」のため、気持ちの張り様が違った。当然勤務中なので合間合間にするべき業務はあったが、それでも集中力はさほど途切れなかった。
その代わり、夜勤が終わり帰宅すると、思う存分睡眠をとったり趣味に興じたりとメリハリをつけた。


夜勤のない仕事をしていた時期。
勉強時間に充てたのは「早朝」「通勤電車」

早起きは大変だが、出勤時間があるため「ダラダラ」することがない。夜ではなく早朝を選んだのは睡眠時間を削らないため。並行して通常の仕事もあるから無理はできない。この時間は過去問題集を解きまくった。
通勤時間は、後述するスマホに保存した用語解説の暗記に取り組んだ。


早朝に取り組むのは「過去問題」
電車で取り組むのは「用語暗記」


もちろん私のような仕事の形式でない方もいると思うが、大切なのは「メリハリ」


そして、暗記のためにひたすらスマホに自分で作成した用語解説を保存し、繰り返し眺めた。

写真は実際に作成し使用していたものの一部。紙のまま眺めることもあればスマホに画像で落とし込むこともした。

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用語解説は自分で作る方が頭に入る。全てを網羅する必要なんてない。何度も過去問でミスすること・どうしても覚えられない用語に絞り、見栄えもレイアウトに凝ったり、文字装飾をしたり、特大文字にしたりとアレンジを楽しんだ。

スマホのメモ機能や画像ライブラリなどをひたすら活用。とにかく可能な限り気楽に目にする機会をつくること。それにはスマホはとても便利だ。


SNSも活用されたい。

私はTwitterを活用した。ありがたいことに「社会福祉士 試験」とかそのような単語で検索すると、用語解説を一語ずつツイートしてくれるアカウントがある。移動中も普段に近い感覚で気軽に暗記できる。


机に向かってペンを走らせるだけが試験勉強ではない。私が重視したのは「とにかく目に焼き付ける」作業。そのため、習慣的に上記の作業を毎日繰り返した。


もっとも、私の基本的な勉強方法はありきたりで「過去問を解きまくる」「解説を読みこむ」が柱。少なくとも過去5年間分くらいはやったが、大事なことは「同じ問題を繰り返し解くこと」。知識の定着と同時に、試験問題のパターンに慣れることが一番重要。



ところで、とある質問
「学校のテキストと市販の参考書はどちらを使うのが良いか」

授業やレポートではテキスト、それ以外は市販の参考書を使うと良い。
私も当初は「テキストを丸暗記しよう」「全部ノートに丸写しして書いて覚えよう」としたこともあったが、はっきり言って無謀。量が膨大すぎる

テキストの大切な個所は授業で触れてくれるのでそこで使えばよい。それ以外は試験対策に割り切って力を注ぐ方が賢明。

(※本コラムは「試験勉強」と割り切って述べているので、テキストの内容は無駄という解釈ではない。社会福祉士になればいずれ読んでおくべきで、私自身すべてのテキストは廃棄せず、今も仕事で必要な時に活用している)


市販の一問一答形式の問題集のように「いつもでどこでも気軽に目にできる」ものも一つ持っておくこと。仕事の休憩時間に2,3ページ読み解くだけで良い。大した労力ではない。

試験勉強は量よりも継続。これら(勉強を)やっているという安心感が受験勉強全体ののモチベーション維持につながる。


過去問題集は、先述の通り「繰り返し同じ問題を解きまくる」。私の場合は何十回と同じ問題集を解き続け、問題文の初めの一行で解答を思い出すくらいまで繰り返し取り組んだ

私は成果が目に見えないと根気がなくなるので、解答表をエクセルで作り、『1回目50%正解→2回目70%→3回目・・』など成果が見える形に記録した。100%となるまで繰り返したが、なぜかいつも毎回1,2問の不正解をしてしまう。しかしそれが先述した「目に焼き付ておくべき用語」となるので、逆に暗記の効率が向上した。

最近はオンラインでも過去問題が解けるサイトがあるので活用した。もちろんその際も上記の記録は欠かさなかった。


答えを記憶するほど同じ問題を繰り返すことに意味はあるのか?
繰り返すが「試験問題のパターンを覚えること」

試験問題は、概ねパターンが決まりがち。このような問いかけ・選択肢ではこういう答えを求めるのだろうと何となくイメージできる。そのパターンの定着には、正解を暗記してしまっていたとしても繰り返し問題を解き続けること、多少非効率だが効果はある。


私はこの作業は試験直前まで繰り返した。
マンネリを防ぐため、過去問題集に関しては多少の出費をしてでもできる限り問題数の多いもの(数年分の過去問題を掲載しているもの)を入手する。

買うものに困ったら、「実際」の過去の試験問題が掲載されているもの一択。言うまでもなくパターンを覚えるためには必須。中には実際の試験問題に寄せて誰かが作成した「予想問題集」もあるが、それは後回しで良い。

過去問題を解き、不正解だったところは必ず解説に目を通す。覚えられない用語は先述の方法で自分流の解説画面を作り、いつでも目にできるようにしておく。この繰り返し。面倒なら問題集の解説ページをそのままカメラに収めるだけでも良い。

何度も繰り返すが、大切なのは「いつでも目にすることができる」こと



今のうちに何かしておくことは?


試験まで時間的に余裕のある場合、こんな質問も多い。これは福祉の仕事経験者と未経験者で異なる。

特に未経験者の場合は、現場感覚が経験者とは雲泥の差がある。これが最初に述べた「経験者とのハンデ」だ。
顕著なのが「事例問題」。逆に経験者はこの事例問題は稼ぎどころ


このハンデを埋めるには、何かしらの方法で現場の肌触りを体験したい。

無理に就職しろとは言わないが、フリーならば週数回施設でバイトするのも有(パートならば未経験無資格可の求人はある)。少ないながらも経験と収入の両取りができるのでありがたい。

ボランティアも良いが、施設の様子を遠目に眺めるだけも有(職員付添で散歩をしていたり、障害者が働く売店のある作業所もある)。

自治体などでは「福祉の仕事セミナー」等、未経験者向けの催しもあるので、参加してみる。

バザーやお祭り等、誰でも気軽に参加できる交流行事もある。


これらは実際のところそれほど高いハードルではない。肝心なことは「本やネットで見る情報ではなく、実際に福祉の現場の空気に触れたり福祉の仕事している人の生の声を聴く」。これが「現場の肌ざわり」の一部となる。

解答に悩んだとき、この肌触りをイメージできれば、ぼんやりと正解が見えてくる。逆にイメージできなければ全く手ごたえのない解答しかできないこととなる。


そして肌感覚に最も有効なのはカリキュラムにある「実習」

実習は大変だと思う人も多いが、福祉士の勉強のため、とう意識はいったん置き、何よりも楽しむことが大切
なぜか?心地良い記憶は良い後味で残るから。この後味は、試験問題を解く際の「イメージ」と繋がりやすい。もちろん遊びに行くわけではないが、現場の肌感覚を自分なりに吸収しつつ、様々な初体験を楽しんできてほしい。

正直なところ実習先にも当たり外れがある。結果楽しめなかったとしても第一の目的である「肌感覚」を得ることはできたので、それで良しとしよう。


蛇足だが、私の事業でも、このような方々へできるだけ現場に近しい肌触りをお伝えする相談を受けている。参考までに。

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どのみち、実際に社会福祉士となった暁には「現場感覚」を抜きにしては仕事にはならないので無駄な時間には決してならない。


経験者の場合は、試験範囲の中で全く関わったことのない分野に触れておく。

例えば多くの人が悩むのが「更生保護」分野。
経験者の場合は、分野が違うとしても「現場の肌触り」は知っているため、ネットでも書籍でも構わない。自分の身近なことだという感覚をこの時期になじませていくと、その後の勉強も捗るはず。


ちなみに私は、民間の養成校などの「短期集中講座」とか「模擬試験」は受けなかった。自分のスタイルで勉強を続けることを選んだ。これは皆それぞれでの考えで良いと思う。
「試験」そのものに慣れておくため模擬試験くらいは受けるのもアリかもしれないが、個人的には短期集中講座はあまり必要性を感じない。よほど勉強時間の確保が難しい場合や、勉強の遅れが顕著な場合で良いのでは。



試験直前~当日


一番大事なことは、体を壊さない、風邪をひかない。体調が悪いと当日のパフォーマンスに確実に影響が出る。常に自分の体を毛布で包むこと。

可能ならば、この時期は仕事も少し負担を減らす。負担の大きい仕事は試験後にするなど、スケジューリングにも工夫を。


前日はとにかくいつも通りの生活パターンで過ごす

いつもの時間に起きて支度し仕事に行き、電車では好きな音楽を聴く。私は普段毎晩お酒を飲むが、前日も普段通り晩酌した(さすがに少なめにはしたが)。スマホでの用語チェックなどが習慣化されているならばそれに取り組んでも構わないが、普段以上に熱を入れないこと。


当日、会場には少し早めに行く。会場の雰囲気には少なからず圧倒されるので、この空気に「慣れ」ておく。

参考書を食い入るように見る周りの受験生が優秀に見えるが、そんなことはほっとく。その人と最後の1枠を争うわけではない。
私は一人で受験したが「知り合いはいないかな」とか周りを見渡したり、のんびりと待っていた。


本番。着席し、試験の説明がなされた後は数分間の沈黙が流れ、その後問題が配布される。

配布された問題集はまだ開くことを許されず、合図があるまでそのまま数分じっと沈黙したまま待つこととなる。この数分間がとにかく辛い。もう参考書を見ることも、スマホを見ることも許さない。最後の試練である。腹をくくる時間としよう。


そして「始めてください」の合図とともに決戦が開始。
ほとんどの人が合図と同時に一斉に問題を開き鉛筆を走らる。その紙の音が会場中に響き渡り、沈黙の空気から一変する。

私はここで圧倒されないよう、まずは5秒ほど他の受験生と時間をずらしてから問題を開くことにしている。
「開始!」と同時に勢い良い始めるのではなく、一息吐いてから、「さてと」とゆっくり問題を開く。これは意識して行動した。それだけでも一瞬落ち着きを取り戻すことができる。



問題を解く手順はみな心得ている通り。

わかる問題をさっさと解く。
わからない問題や迷った問題はチェックだけして飛ばす。
最後まで解いたらまた最初に戻り、チェックした問題を今度は時間をかけて考えながら答えを導く

先ほど述べた通り、事例問題は点数の稼ぎ場所だが、他の問題に時間を取られると、事例をゆっくり読み込む時間がなくなってしまう

取れる問題は確実に
迷う問題は後でゆっくり
全くわからない問題は最後の締めに

わからんものはもうしょうがない。ある程度「匂い」でそれらしき答えを選択する。ここで先述した「肌触り」と「パターンの定着」が生かされることとなる。

満点を取る必要はない。取れるところを確実に抑えること。



試験が終わったら、さっさと帰る
気持ちを切り替えるため、のんびりしていてはいけない。

注意すべきは、他の受験生が数人で答え合わせをしている声を拾わないこと。ふと聞こえた解答が自分の解答と違っていて落ち込むことほど無駄なものはない。

知人と一緒に受験した場合も、試験の振り返りなんかはやめておく。「終わったね」「疲れたね」で十分。私はすぐイヤホンをして音楽をガンガン鳴らしながら駅に向かった。

自己採点は、したければ家に帰って一旦ゆっくりしてから。どのみち、各社予想解答が出そろうのも2~3日かかる。それよりも帰宅したら大好物の食事をとろう。


合格発表までは落ち着かないもの。でも、もう済んだこと。まずは長い戦いを終えた自分を労い、発表の日までは通常の「試験勉強のない生活」に戻すこと。

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以上、私自身の経験をもとにお話ししたが、いずれにしても時間もお金も労力を費やしてでもここを目指す方々には、ぜひ心地よい達成感と自分に芽生えた新しい自信を感じてほしい。

参考となることがあれば嬉しい。心より応援しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。皆様のお役に立てるようなコラムを今後も更新してまいります。ご縁がつながれば幸いです。 よろしければサポートお願いいたします。