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TRPG制作日記(184) 基本ルール17

現在制作中の『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGは対戦と収集をテーマにしたTRPGです。プレイヤーは宇宙都市で暮らす高校生となり、仮想世界でカードプレイヤーとして活躍します。

参加者はゲームマスターとプレイヤーに別れて、物語を生み出すことを目的に即興演劇を行います。

全体像が掴めるように、このTRPGには基本ルールが書かれています。

前回までに、この基本ルールである三十二条基本ルールを、試作ルールから改稿してすべて新しく書き出しました。

今回は、その全体像を確認していきます。


まず初めに、基本ルールの立ち位置についての復習です。

この基本ルールはゲームマスターとプレイヤーが迷ったときに確認することができるように、注釈付きにならないように配慮して、以下の方針で編集されています。

(1)簡潔かつ厳密

(2)エンジニアに分かる言葉で

(3)古典の言葉を重視する

簡潔かつ厳密ということは、分かりやすさよりも短さと、そして気分で理解するよりも正確に理解できることを大切にするということです。丁寧であることよりも短いことが大切です。

TRPGには三つの道具が必要となります。ルールブックとシナリオ、そしてキャタクターシートです。

そして、ルールブックは丁寧かつ直感的であることを重視して本になるほどの分量で書く予定です。

しかし、これではプレイ中に確認するには不便ですし、また全体が分かりにくいので基本ルールを制作しました。

そのため、この基本ルールは一条から三十二条まで順番に読んでいくのではなくてプレイ中に確認することが主な使用方法になるでしょう。また、ルールブックの目次のような役割も果たすことができます。


エンジニアにも分かる言葉で、というのは、このTRPGがあらゆる人々が未来について考える言葉できる環境を提供する。科学、文学、歴史の物語を結びつけることでそれを実現することを理念にしているから、というだけではありません。

そもそも、TRPGという分野がエンジニアやイラストレーターという何かを生み出す人の文化を中心に発展してきて、これからも発展して、その文化の入り口になると考えているからです。

サッカーやボクシングが、ある意味で建設業界や工場労働の文化と深く結びついているように、TRPGやカードゲームは情報産業の文化と深い結びつきを感じます。

そこから離れないようにするのが、(2)のエンジニアにも分かる言葉で基本ルールを書くという意図です。


(3)の古典の言葉を大切にするというのは、文学の考え方を積極的に取り入れていくということですが、それとは別に伝統的なTRPGの言葉なども使用するようにしています。

たとえば、ゲームマスターやプレイヤー、行為判定のルール、キャタクターシートという呼び名、これらは『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGに特有なものではありません。

独創性よりも伝統的なTRPGの考え方を引き継ぐことを、基本ルールは重視しています。それは、このTRPGが熟達者ではなくて、これからTRPGを始める人を想定しているからです。

TRPGらしいTRPG、というのを目指しています。


さて、前回まで完成していた基本ルールを以下に掲載します。

基本ルール『

■ルール1 『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGは物語を創造するためにゲームマスターが物語を語り、プレイヤーがその物語のカードプレイヤーを演じることを楽しむ即興演劇である。目的は楽しむことであり、それはシナリオ攻略に優先する。

■ルール2 参加者は2人以上であり、参加者の一人がゲームマスターを担当して他の参加者はプレイヤーを担当する。ゲームマスターはセッションを管理する責任を負う。プレイヤーはセッションに参加している間はゲームマスターの指示に従う。理由がある場合は、プレイヤーは自由にセッションから抜ける権利がある。

■ルール3 ゲームマスターは良心に従いプレイヤーへの差別及び暴力行為を肯定してはならない。プレイヤーはゲームマスターが著しく基本ルールを逸脱した場合は注意することが許される。しかし、セッション運営の責任者はゲームマスターなので、運営に関してはルールブックやシナリオよりもゲームマスターの判断を尊重する。

■ルール4 ゲームマスターはプレイヤーが能力や性格に関わらずセッションを楽しめるように配慮しなくてはならない。特に非熟達者やTRPGが不得意なプレイヤーがいる場合には、彼らも楽しめるようなセッション計画を立てるように努力する。

■ルール5 ゲームマスターはシナリオを選択して内容を把握する。シナリオの案内に従いプレイに必要なキャタクターシートと小道具を準備すると共に他のプレイヤーに集合時間と場所を伝える。また、プレイヤーが事前に準備しておくべき小道具などがあれば伝えておく。

■ルール6 邪魔の入らない静かな場所を確保して集まり、ゲームマスターが概要と目的、注意事項をプレイヤー全員に説明する。参加者全員による話し合いでカードプレイヤーの担当を決めると、プレイヤー全員に該当するキャラクターシートを配布する。プレイヤーはキャラクターシートを読み内容を把握する。プレイヤーはゲームマスターに自由に質問できる。シナリオの注意事項に従わなくてはならない。

■ルール7 キャタクターシートは二枚用意する。キャタクターシートⅠにはキャタクター設定、能力値、自己肯定感、プロフィール、デッキの五つの情報が含まれる。また、キャタクターシートⅡにはキャタクター背景、キャタクター目的、禁止事項の三つの情報が含まれる。キャタクターシートⅠは他のプレイヤーに見せることが可能だが、キャタクターシートⅡは他のプレイヤーに見せてはならない。禁止事項は守る。

■ルール8(キャタクターシートⅠ) キャタクター設定には外見、名前、年齢、性別、性格(アマテラスワールド)、宇宙都市がある。外見のみが絵で他は文字である。また能力値には容姿、経済、運動、社交、技術、ランクの六つがあり、すべて1から10までの数字である。自己肯定感は50からは始まりプレイ時に変動して、最小値は0で最大値は100である。プロフィールは250字以下の文章で記述され、デッキには六枚のアマテラスカードが登録される。

■ルール9(キャタクターシートⅡ) キャラクター背景には非公開情報などが800字以下の文章で記述されている。キャタクター目的は最大四つの項目があり、それぞれに点数が設定されている(四項目の合計値は100)。これらはプレイ開始後にキャタクターシートに書かれている指示に従い徐々に効果的に公開していく。また、禁止事項は守るべき項目だがゲームマスターの指示が優先される。絶対非公開情報はロールプレイの参考のために書かれており公開しない。

■ルール10(キャタクター創作) ゲームマスターの許可があれば、プレイヤーは自分が担当するカードプレイヤーを改造及び制作できる。このときにはプレイが開始される前にゲームマスターに制作したキャタクターシートを見せて使用許可を得なくてはならない。カードプレイヤーの改造及び制作を行うときには創作基本ルールを参考にすることが好ましい。

■ルール11(自己紹介) プレイヤーがキャタクターシートの内容を把握したら(時間は十分を奨励、質疑応答を認める)、まずはプレイヤーが自分が担当するカードプレイヤーの、それからゲームマスターが自分が担当する案内役の自己紹介をする。自己紹介においてはキャタクターシートⅠの情報を参考に行い、キャタクターシートⅡの情報は伏せておく。自己紹介でプロフィールの文章をそのまま読んではならない。

■ルール12(プレイ開始) カードプレイヤーと案内役の自己紹介が終わったら、ゲームマスターはプレイ開始を宣言する。そして、シナリオに準備されているプロローグを読む(そのまま読む必要はない)。プロローグが終了すると状況を説明及び描写して探索プレイを開始する。プレイヤーはいつでもプレイを中断してゲームマスターに説明を求めることができる。

■ルール13(探索プレイ) ゲームマスターは状況を説明及び描写することでプレイヤーにカードプレイヤーが置かれている状況を想像させる。プレイヤーはゲームマスターから与えられた状況を想像しながら、キャラクターシートを参考にして自分が担当するカードプレイヤーを発言させたり行動させたりする(操作する)。カードプレイヤーの発言や行動を受けてゲームマスターはその操作の結果を伝えたり、また案内役やNPCを操作してプレイヤーと交流を行う。

■ルール14 ゲームマスターは適切な機会に「それではロールプレイを行ってください」とプレイヤー全員に公平にロールプレイ(演技)を促さなくてはならない。プレイヤーは積極的にロールプレイを交えながらカードプレイヤーを操作する。この時に他のプレイヤーはロールプレイを行っているプレイヤーを冷やかしてはならない。

■ルール15 プレイヤーはシナリオ目的とキャタクター目的を達成するために努力する。また、自分の価値観ではなくて演じるカードプレイヤーの考えや感情を想像しながらプレイする。禁止事項を守り、キャタクター背景に書かれている内容を尊重する。また、プレイ中、ゲームマスターの指示にプレイヤーは従わなくてはならない。

■ルール16(行為判定) 探索プレイではカードプレイヤーの行動の結果がシナリオとキャタクターシートの情報から必然的に決まらないときに、あるいはシナリオに指定されている場合に行為判定を行う。行為判定はゲームマスターが宣言して開始される。行為判定が開始されるとゲームマスターは事前に目標値と参照される能力値を指定する。プレイヤーは六面ダイスを二回振り、その結果を指定された能力値に加えて達成値を得る。達成値が目標値以上である場合は行為判定は成功になる。

■ルール17(行為判定) 行為判定は交渉、購買、挑戦に分類される。ゲームマスターは行為判定の分類を事前に伝えなくてもよい。また行為判定に成功した場合と失敗した場合の結果を事前に伝えなくてもよい。指定する能力値はシナリオに指示されている場合はそれを尊重して、シナリオに指定されていない場合は交渉なら容姿か社交、購買なら経済、挑戦なら運動と状況から自然な能力値でなくてはならない。

■ルール18(衝撃) カードプレイヤーが何かしらの精神的負担を感じたと判断した場合にゲームマスターはカードプレイヤーに衝撃を宣言できる。衝撃には正の衝撃と負の衝撃がある。衝撃は状況の変化だけではなくロールプレイや行為の結果としても宣言可能である。衝撃は一度に何度も重ねて宣言することができる。

■ルール19(心理検査) 行為判定、衝撃、対戦が終了した場合には心理検査を行う。行為判定に成功、正の衝撃、対戦に勝利した場合は六面ダイスを二回振りその結果だけ自己肯定感を獲得する。行為判定に失敗、負の衝撃、対戦に敗北した場合は六面ダイスを二回振りその結果だけ自己肯定感を喪失する。自己肯定感がゼロになったカードプレイヤーはその瞬間に鬱状態になり経済、運動、社交の能力値がゼロになる。鬱状態はプレイ終了時まで回復しない。

■ルール20(カード) 対戦はアマテラスカードを使用する。アマテラスカードにはカード名、攻撃力、効果の三つの情報がある。カード名に同じ単語を含むカードは同じ種族である。攻撃力は0以下になることはなく、効果はアマテラスカードゲームのルールより優先して処理される。プレイ中に入手したカードは他のカードプレイヤーに貸すことができ、初期デッキのカードは貸すことはできない。

■ルール21(デッキ構築) プレイヤーはデッキに登録されているカードを自分が担当するカードプレイヤーが所有しているカードと入れ換えることができる。デッキ構築は探索プレイでは何度も行うことができて、他のプレイヤーに相談することもできる。一つのデッキには同じカード名のカードは一枚までしか登録できない。

■ルール22(対戦空間) 対戦空間はデッキ、手札、場、墓地がある。対戦プレイでは、チームは自分場と自分墓地を共有して対戦者全員がそれぞれ自分手札と自分デッキを持つ。自分のチーム以外の場と墓地を相手場、相手墓地と呼ぶ。自分デッキの妖怪を自分妖怪、同じチームの妖怪を仲間妖怪、相手チームの妖怪を相手妖怪と呼ぶ。

■ルール23(対戦プレイ) 参加者が決まり、ゲームマスターが「対戦を始めます」と宣言すると対戦プレイが開始される。対戦は複数回のゲームで行われる。対戦者は二つのチームに分かれてゲームを行い、先に対戦の勝利条件を満たすために競う(原則としては、先に二回ゲームを制したチームが対戦に勝利する)。対戦にはカードプレイヤーだけでなく案内役やNPCも対戦者として参加できる。

■ルール24(ゲーム) ゲームを始める前にターンの順番を決める。六面ダイスを二回振り、合計値が大きい順に先行になる(この試行を順番が決まるまで行う)。順番が決まるとゲームを開始して、対戦者は自分デッキのカードをすべて手札に加える。ダメージを受けた対戦者は退場して、自分チーム以外のすべての対戦者が先に退場したチームがゲームを制する。退場した対戦者は復帰するまで、プレイに参加することはできない。

■ルール25(ターン) ターンは開始フェイズ、戦闘前フェイズ、戦闘フェイズが存在する。開始フェイズでは場と墓地の自分妖怪を手札に加え、六面ダイスを技術の数値だけ振り、出た目のカードの召喚権を得る。戦闘前フェイズでは召喚権を得たカードを自分場に妖怪として召喚できる。戦闘フェイズでは戦闘を行うことができる。すべてのゲームで先攻一ターン目は戦闘フェイズが行われない。フェイズ終了、またはターン終了はターン担当者が宣言しなくてはならない。

■ルール26(戦闘) 戦闘フェイズでは、ターン担当者は自分妖怪一体を選択して相手妖怪一体に攻撃宣言ができる。攻撃宣言が行われると選択された妖怪による戦闘が開始される。戦闘では互いの妖怪の攻撃力が比較されて攻撃力が高い妖怪が低い妖怪を破壊する。攻撃力が同じ場合は両方の妖怪が破壊される。破壊された妖怪は墓地に送られる。相手場に妖怪がいないときは相手対戦者に攻撃して戦闘ダメージを与えられる。一ターンに同じ妖怪で何度も攻撃宣言をすることができる。

■ルール27(効果処理) カード効果には起動効果、誘発効果、永続効果が存在する。起動効果は戦闘前フェイズに発動できる。誘発効果は条件を満たしたときに発動できたり、強制的に必ず発動したりする。永続効果は発動を伴わずに効果処理を行う。効果が発動した時に別の効果を重ねて発動することができるが、この場合は後から発動した効果を先に処理する(発動の優先権は相手対戦者にある)。対戦者は戦闘ダメージだけでなく、効果ダメージを受けた場合も退場する。

■ルール28(対戦の勝敗) ゲームマスターは対戦が始まるまでに対戦の勝利条件を参加者に伝えておく。対戦の勝者が決まるとゲームマスターは対戦プレイの終了を宣言して、対戦プレイを終了して探索プレイに戻る。勝利したチームのすべての対戦者は対戦に勝利する。

■ルール29(特殊プレイ) シナリオに新しいルールが書かれているときはルールブックよりシナリオのルールを優先する。シナリオ独自のゲームシステムによるプレイを特殊プレイと呼び、特殊プレイは探索プレイと対戦プレイに混ぜることができる。ゲームマスターは特殊プレイの開始と終了を宣言しなくてもよい。

■ルール30(プレイ終了) シナリオ目的が達成されると、ゲームマスターはプレイ状況に合わせてエンディングを選択して語りプレイを終了する。プレイが終了すると、プレイヤーは自分が担当するカードプレイヤーの自己肯定感に達成されたキャタクター目的の合計を加えて成績集計を行う。成績集計が終わると結果を発表して、雑談の後に解散する。

■ルール31(注意点) ゲームマスターがプレイ終了を宣言すると、シナリオ目的が達成されていなくてもプレイは終了する。また、成績集計が終了したらキャタクターシートⅡの公開が許される。プレイは物語を生み出して楽しむために行われるので、成績によりプレイヤーのプレイの善し悪しを決めてはならない。むしろ、ロールプレイやキャタクター理解について評価し合うのが好ましい。

■ルール32(シナリオ制作) このTRPGは物語の創造を楽しむことを目的としている。キャタクターやオリジナルイラスト、シナリオ制作、及び様々な創作活動は奨励される。シナリオを制作するときには創作ルールを参考にすることが好ましい。また、オリジナルアマテラスカードを制作するときにはルールブックの指示に従う。

』基本ルール

これで完全に完成、というわけではありません。テストプレイなどを経て改良していく予定です。ルールブックは以上の基本ルールの内容を説明していくような警視になることが想定されます。

基本ルールに本当に必要なのは、そのルールに参加したいと思わせる魅力があることです。

そのような魅力を持つまで改良を続けるつもりです。


今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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