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積極的平和主義VS専守防衛、改憲勢力と護憲勢力の戦い! -参議院選挙2022夏-

僅か一年前、二〇二一年までは積極的平和主義といえばアメリカ、そしてNATOを象徴するような言葉でした。

9・11事件、アメリカは海外のテロリストから攻撃を受けました。そのため、安全保障は専守防衛だけでは実現できない、アメリカの平和のためには海外に積極的に軍隊を派遣して、アメリカに挑戦するような勢力を積極的に破壊しなくてはならない。

こうしてアメリカはアフガニスタンを攻撃し、それからイラクを攻撃して石油輸出国機構に打撃を与え、アフリカ連合の結成を阻止するためにリディアを空爆して指導者達を皆殺しにしました。

恐怖による世界支配。

そして、それに日本も参加しようとする方針が積極的平和主義です。先制攻撃は素晴らしい!


しかし、今年、すべてが変わりました。20年にも及ぶアフガニスタン戦争でアメリカが敗北して、アメリカは中東の勢力を失い、今後はロシアが積極的平和主義を始めたのです。


2022年7月10日日曜日、参議院選挙を行われます。


さて、今回の参議院選挙では「インフレ」と「改憲」こそが焦点だという声を多く聞きますが、この改憲の具体的な内容となっているのは憲法九条と国防費増強でしょう。

ロシアとウクライナを見ている限り、ウクライナになるよりもロシアになる方が得である。よって、積極的平和主義は専守防衛より正しく、憲法九条は改憲すべき。

あるいは、中国の軍事力が強化されている、またウクライナ戦争でウクライナの先端兵器(無人機など)が効果を上げているようなので、ウクライナ戦争から学び自衛隊を改革しなくてはならない。

誤解を恐れず簡単に表現すると、外国の軍隊が強いので、こちらも負けないように強くなりましょうというのが保守右翼陣営の方針だと思われます。軍事力で負けてたまるか!

これを、雑ですが、改憲勢力とまとめておきます。


一方、ウクライナ戦争やイラク戦争はただの侵略、積極的平和主義はただの帝国主義と考える人たちがいます。

彼等はウクライナ戦争におけるロシア、イラク戦争におけるアメリカに否定的です。ウクライナ戦争では、もちろんウクライナを応援しており、ロシアが勝利することで積極的平和主義が、先制攻撃による平和主義が正しいとする常識が生まれるのを恐れています。

国内に入ってくるまでは放置で、入ってきてから対応する。

それが専守防衛の考え方です。

アメリカという例外がいて、そして日本もアフガニスタンに自衛隊を派遣しているので意外だと思われるでしょうが、国際的には専守防衛が基本であり安全保障が理由でも外国の領地を侵略するのは、とても悪いことであると国際的には思われています。

そのため、大量破壊兵器やテロ、ミサイル実験、NATOの東方拡大などを理由に外国を積極的に攻撃して、積極的に自国の安全保障を確保するというのは非難の対象になります。

ロシアはウクライナがNATOと協力して、ロシアの安全保障を脅かしたことを攻撃の理由にしていましたが、相手から侵略される前に、先制攻撃で相手の国の首都を爆撃するのは悪いことです。この意味で、国際法では、そもそも戦争は禁止されています。

ロシアが非難されているのは、そのためです。強者が弱者を蹂躙する権利は国連では保証されていません。

よって、憲法九条とはただ国際法を守っているだけで、憲法九条に該当する法律が存在しない日本以外が異常であると考える人々を、これも雑ですが護憲勢力と呼ぶことにしましょう。


改憲勢力VS護憲勢力。積極的平和主義と専守防衛、どちらの意見が正しいのでしょうか?

そして、日本はどちらの方向に進むべきなのでしょうか?

太陽神の巫女は文学なので、改憲勢力と護憲勢力に関して、二つの意見のどちらが正しいのかではなくて、そもそも何が問題になっているのかを文学的視点から考えていきたいと思います。



さて、文学的視点から考えた場合、そもそも「意見の対立」という考え方自体を疑った方がよさそうです。

普通、文学とは自分の意見を証明するものではありません。そればかりか意見を述べることでもありません。

文学で表現されるのは、意見ではなくて世界観です。

たとえばロマン主義文学、ブロンテの『ジェイン・エア』では、リベラルで教養のある女性が男性から愛されて幸福になり、保守的で父親の心無いしつけに苦しめられている令嬢は誰からも愛されずに不幸になります。

ここで、ブロンテはリベラルな女性は必ず幸福な結婚が待っており、保守な女性は必ず破滅することを主張して、証明したのではありません。彼女が見えている世界では、それが真実なだけです。

世界はこうなっている。だから、私はこう思う。というときのポイントは世界はどうなっているかです。

そのため、文学では、正しさではなくて説得力が重要になります。作家は自分が見えている世界を、表現して、そして自分に見えている世界を説得しなくてはなりません。


同じように、改憲勢力と護憲勢力は、そもそも意見が対立しているのではなくて世界が異なって見えていると考えることができます。

二つの勢力がどれほど世界観が異なっているかは、そもそも改憲勢力の自民党と護憲勢力の共産党が、言葉だけ見ると意見が完全に一致しているように見えることから明らかです。

自由民主党の議論は、国際社会のために、侵略戦争を行っているロシアに対抗してアメリカとNATOと強調しなくてはならない。自由のために、と論じているように思えます。

日本共産党も同様に、侵略戦争を行っているロシアに対抗して日本は国際社会の側にいなくてはならないと考えているようです。そして、それはもちろん自由のためです。

さらに言えば、自由民主党も日本共産党も、つまり保守もリベラルも、ロシアは悪の勢力であるという意見で一致しています。理由も、ウクライナに侵略したからと一致しています。


自由民主党も日本共産党も、同じ事実を認識して同じように解釈して同じ結論を出していますが、目指す行動が異なります。

自民党は憲法を改正して自衛隊戦力強化を主張しています。改憲勢力は敵基地攻撃能力や反撃能力の獲得を目指しています。

共産党は憲法九条を保持して、日本のロシア化を進めようとする改憲勢力を止めようと必死です。護憲勢力は、今回のウクライナ戦争で、侵略戦争が肯定されることを恐れています。


護憲勢力から見ると、改憲勢力とは、ウクライナ戦争の直後にロシア万歳、日本をロシアにすると宣言した狂気の集団です。

一方、改憲勢力から見ると、ロシアに侵略されているウクライナを見て武装放棄を主張する護憲勢力は自殺願望があるとしか思えません。


今回は、保守VSリベラルを理解できる分かりやすい状況です。

自分が見えている世界を、自覚するのは簡単なことではありません。憲法九条と国防を巡る議論は、ある二つの世界観の対立であると考えて次回から論じていきましょう。


今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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