根言論的世界　──すべては意識の産物──

さて、自身を顧みるに、自らが万能なる存在であることを望んだ永い半生だった。

現在、それに疲れ、啓天なる大いなる同伴者を認め、それに9割以上を委ね、省エネなる人生を歩んでいる。

そしてその生き方は、巡り来る邂逅や恩恵に感謝して、感激しつつ、結構な葛藤を含んでの生活である。

自身の願望との折り合い、人々との関わり合い、世の中の価値観との闘いでもある。

人はそれぞれの選択した虚構（フィクション、またそれは理想や物語と言い換えてもよい）を達成しよう、証明しようとする営みを己が人生と呼んでいる。

恣（ほしいまま）に生きられるのは大多数の人々の望みであろう。

だが、多分、そんな至れり尽くせりの人生ではすぐに飽いてしまう。

だから、こんなに思い通りにならないことばかりなのだろう。

その不満だらけの半生でも、一瞬の想い描いた理想的なことを実現できた、その大いなる激しき感動を味わえた時の至福の故、これからも長くもがなと生きている。

世界の邪大なる力による大多数のものへの圧政に抗して生きているつもりでいるのは、単なる自身のヒロイズムに過ぎぬ。

だが、そんなバカみたいな、誇大妄想を抱いている愚か者がいた、そんな物語を残せたら、痛快この上もない。