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読書レビュー『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』


はじめに

こんにちは、Takaです。
今回は石持浅海の『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』を紹介します。以前、同じ作者の『君の望む死に方』を紹介しており、そちらがとても面白かったので、別のタイトルも読んでみました。

概要

タイトル|Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス
作者  |石持浅海
出版社 |祥伝社
発売日 |2022/8/10

感想

本書は2010年に発売された『Rのつく月には気をつけよう』の続編となります。続編と言っても、そもそもが短編集であるため、登場人物が共通している以外の関係性は無いと思います。私自身、これが第二弾であることを知らずに、これから読みましたが全く問題ありませんでした。

日本酒とイカの肝焼きが、シングルマザーの不可解な結婚話に。
紹興酒と鶏手羽煮が、中学受験の必勝法に。
など、お酒と食事の席でのちょっとした雑談が、推理によって思わぬ方向に進んでいくのを楽しむ本です。おそらく前作でも探偵役であったであろう長江高明が、他の人の雑談を少しひねった解釈をして、真実を導き出します。

以前にも書いたかもしれませんが、私は所謂『日常の謎』と呼ばれるジャンルのミステリーを好んでいます。本書もそれに近い内容かと思います。そもそも何気ない普通の雑談の中から違和感を見つけ出し、全く別の物語に仕上げるというのは、かなり文章の構成には気を使っていると思います。こういった物語をひっくり返すようなミステリーも私好みと言えます。
人は死なないですし、恐怖をあおるような表現もありませんので、そういった描写の苦手な方にもおススメ出来る一冊です。

おわりに

今回は『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』を紹介しました。
『君の望む死に方』からなる<碓氷優佳>シリーズも、かなりトリッキーなミステリー小説でした。登場人物がひたすら勘違いをしながら、探偵役の碓氷優佳が事件を回避するという、構成にかなり気を遣う小説でした。今作を読んで、全く異なるジャンルのミステリーであるにも関わらず、これだけ楽しめたのであれば、この作者の作品は向いているんだろうと感じています。

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