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読書レビュー『烏丸ルヴォワール』

はじめに

こんにちは、Takaです。
今回は、円居挽の『烏丸ルヴォワール』を紹介します。
以前紹介した『丸太町ルヴォワール』の続きとなります。今回レビューでは、どうしてもネタバレチックな表現が含まれています。続編という形であるため、それは避けられなかったので、ご注意ください。

概要

タイトル|烏丸ルヴォワール
作者  |円居挽
出版社 |講談社
発売日 |2014/3/4

感想

この作品は円居挽による〈ルヴォワール〉シリーズの第二弾です。
前作ではとにかくどんでん返しが多かったのに対して、今回はほぼ一点に絞られています。それ故に、その時の衝撃はすごいものでした。当然、登場人物も驚く描写がされていますが、それ以上に読者は混乱し、先に進むことが出来なくなるレベルです。

物語は、瓶賀 流が敵側の龍師の手伝いをするところから始まります。相手は最強と謳われる龍師であり、とある少女と行動を共にすることを依頼されます。よく分からないお使いをこなしながら双龍会(私的裁判)を待ちますが、双龍会当日に衝撃的な事件が起こります。

今作の主人公“瓶賀 流”は 、前作の主人公“御堂 達也”の先輩となります。前作から登場しており、破天荒な恰好や発言はしているものの、最も一般人に近い立場の登場人物です。大変頭は良いものの、御堂 達也を含む周りの人々が異常に頭が良いため、何かにつけて劣等感を感じてしまいます。読者が最も感情移入しやすいキャラクターであり、作中で仲間たちと敵対する行動をとる際も、瓶賀の行動に共感が持ってしまいます。

全体を通しては瓶賀 流の成長物語ではあるものの、とにかく文書構成が複雑で、一度読んだだけでは理解することは難しいと思います。素直に読むと、「なんとなく良い話なんだけど、全然辻褄が合わない」って感想になります。
それもそのはず、この作品は読書に誤解を与える書き方がされています。いわゆる叙述トリックですね。これ自体は第一弾の『丸太町ルヴォワール』から使われていたため、私自身めちゃくちゃ身構えて挑みました。しかしそれでも騙される精度です。叙述トリックであることを理解して読んでも騙されるほどの傑作であり、私が最もおススメする一冊となります。

おわりに

今回は『烏丸ルヴォワール』を紹介しました。
ここではあえて、叙述トリックであることをレビューの中に書きました。二作目と言うことで、読む人にとっては周知の内容ですので。私自身、前作では大いに騙されてしまったため、今回は身構えて挑みましたが、あっさり返り討ちに合いました。

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