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視点を変えると見え方が変わる、ということ/2冊の書籍と2人の対談を通じて気付いた備忘録

最近、このコロナ禍で売上を倍増させているワークマンについて、興味があったので書籍を購入したのだが、半ば偶然、面白い読書の仕方を発見した。

それは、「同じ内容の本について、著者が異なるものを2冊買う」ということである。

今回購入し、読んでみたのは、以下の2冊。

前者は、㈱ワークマン専務取締役である土屋氏が書いたもの。
対して後者は、上記土屋氏への取材をもとに日経の記者が書いたもの。

両者の第1刷発行は4か月弱しか差がなく、ワークマン躍進の理由について書かれた書籍であることは共通している。
尚且つ、後者は記者が土屋氏とのインタビューの内容を引用しながらまとめているものなので、内容自体もかなりの割合で重複していた。

それでも、内容について私なりの気付きがあったので、折角なので備忘録としてシェアしてみたいと思う。

■視点を変えると、同じものでも見え方が異なる

まず、前者の実際の㈱ワークマン専務取締役が書かれた方は、当たり前と言えばそうなのであるが、当事者である本人の状況理解や分析、あるいは葛藤に似た感情まで含め、内部的な視点でワークマン躍進の理由が事細かに記されていた。

対する後者は、記者らしく、そこから一歩弾いて、時系列を追うような外部的な視点で同内容をまとめられていた。

具体的に言うと、「商品を変えずに売り方を変えた」という部分について、前者は事業部単位での戦略単位や組織マネジメントでの視点での書き口が多かったのに対し、後者はより全社的な単位で、広報、工場、加盟店等の視点が加えられていた。

また、後者で「大躍進の裏にはデータ経営、とりわけエクセルによる定型的な分析があった」と書くのに対し、前者では「それを採用することになった背景やその元となった経営理念、そしてその具体的な分析手法」まで詳細に書き記されていた。

つまり、同じ内容の結果に対しても、見ている立場を変え、内外両面での視点を加えることで、足りない部分を補い合うことができる。
結果として、物事の本質をより立体的に捉えられるということに気が付いた。

逆に考えてみれば、これまで書籍を読むことで、わかった”ような気になっていた”ことは、あくまでその人から見た一側面しか表現されていないということになる。

たとえそれが本当の当事者であっても、である。
ナスカの地上絵ではないが、"内にいるからこそ見えない景色"というものも、ある意味では存在するのかもしれない、ということである。

■視点を変えると、異なるものでも見え方が等しくなる

一方で、視点を変えると、異なるものでも見え方が同じになる、ということもある。逆説的ではあるが、これはなかなか面白い考え方である。

私はNHKの「SWITCHインタビュー」という番組が好きで、機会があれば見てしまうのだが、多くの場合、全く異なる職業・経歴の2人がキャスティングされる。

要は、「対談」である。

対照的な2人の人間が、台本なしのフリートークを行うのである。
予想外の展開と思いきや、意外と共通点があり、そこを皮切りに深いところで通じ合っていく様は、毎回感動すら覚えてしまう。

ちなみに、個人的なお気に入り回は、「椎名林檎×西加奈子」の回である(You tubeで検索すると合法なのか分からないが残っているようである)。
どちらも私が人として好きなお二方であるが、ここまで椎名林檎の素の表情を取り出せた人はこれまで居なかったのではないだろうか。それだけお互いに相手へのリスペクトがあり、深いところで通じ合えていたということなのかもしれない。

それだけ対談というのは、相手を通じて、自分が思っている以上に自分を掘り下げることができる可能性を持つものであり、それは何故なのかと考えてみれば、やはり視点を変えて自分を見ることに繋がるからに他ならないと思うわけなのである。

ーー聞いているようで、聞かれている。喋っているようで、喋らせている。

視点を変えてみることで、思わぬ気付きが得られることをこの対談番組は示してくれている。


■おわりに

偶然の産物ではあるものの、2冊の書籍と2人の対談を通じて、視点を変えることで見え方も変えることができることに気付かされた。

幸か不幸か、アマゾンで書籍を買うにしても、YouTubeを見るにしても、関連ということで勝手にお勧めされる時代である。

ただし、それを選び抜いて、決済のボタンを押すのは他でもない自分なのである。

今回は、そんな複数の視点を持つことで、物事を本質的に理解することに繋がることに気付いたというお話でした。

それでは、また!


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