見出し画像

改めて敏感肌とは何かを考えてみる

こんにちは。スキンケアは心の潤い。DSRのたかおかです。
今日は敏感肌とは何かについて、改めて考えてみたいと思います。

敏感肌の専門家

私は20年間、敏感肌専門にスキンケア製品を開発してきました。
化粧品技術者向けの専門雑誌にも
「敏感肌用スキンケア化粧品の処方設計での留意点」という内容で
執筆も依頼されたことがあります。
※COSMETIC STAGE Vol.14, No.1, 2019, P53

「敏感肌」と一言で言っても、
その捉え方は一昔前から変化してきているように思います。
自分は敏感肌であると自覚している女性は70%に達する、
と言われて久しくなります。
そのような意識は女性に限らず、男性の間でも認識されてきており
スキンケアへの関心は男女問わず広がってきています。

これまでの「敏感肌」の考え方

基本的には、皆さんがよくご存じのように
「敏感肌」とは医学的な用語ではなく、
化粧品業界では頻繁に使用され、広く一般的になり、
今では医療現場においても受け入れられている言葉で、
下記のような状態だと言えます。

皮膚に目に見える炎症などの症状がみられないのに、様々な環境因子、例えば石けんやスキンケア化粧品、メイク化粧品などが皮膚に触れたときにチクチク感やヒリヒリ感、ピリピリ感などの過剰な刺激感を感じる状態。

これからの「敏感肌」の考え方

これからの「敏感肌」は、その適用範囲が広がっており、

  • 肌荒れや湿疹、かぶれ、ニキビ、フケなどを生じやすい

  • 肌の違和感、乾燥、かさつきなどから皮膚炎など、その症状は多岐にわたっている

  • 脂漏性皮膚炎、ニキビ(成人ざ瘡)、接触皮膚炎、光線過敏症、アトピー性皮膚炎、酒さなどの疾患も含む

  • 体調や季節的要因で一時的に生じる「不安定肌」と言われるケースもある

上記のように、目にみえる症状がない場合だけではなく、
症状を伴う場合も「敏感肌」ととらえられるようになってきています。

敏感肌のメカニズム

敏感肌になる主な要因は次の2つだと考えられます。

  • 皮膚のバリア機能の低下

  • 皮膚内での炎症性サイトカインの分泌

皮膚のバリア機能の重要な要素(皮脂膜・天然保湿因子・角質細胞間脂質)が、先天的もしくは後天的に分泌が少ない場合や、
洗顔や紫外線、摩擦などの環境因子によって失われて、バリア機能が損なわれている状態(バリア機能が低下した状態)では
皮膚内部の水分が失われるだけでなく、皮膚外部から表皮内部へ
アレルゲンなどの化学物質や細菌・ウイルスなどが侵入することによって、
炎症性サイトカインが皮膚の細胞から分泌され、
皮膚内部での炎症を誘発してしまいます。
見た目に炎症がない場合でも、皮膚の内部では炎症がくすぶっている。
そんな状態でもあるのです。

また同時に神経成長因子(NGF)と呼ばれる成長因子が分泌されます。
通常であれば真皮までしか伸びていない神経線維が
NGFの作用で表皮の表層近くまで伸長してくることにより、
ちょっとした刺激でも神経線維に触れて、
ピリピリ感やかゆみなどの刺激を感じやすい状態にあります。

それが「敏感肌」のメカニズムです。


敏感肌のメカニズム(模式図)

敏感肌を改善するには、バリア機能を回復させ、炎症性サイトカインを抑制し、炎症を抑えることが重要です。