漫画みたいな人生〜オープンハウス編68〜
何が楽しいかって??
表彰式後の先輩たちが連れて行ってくれる飲み会。これが何よりも楽しい。
圧倒的年功序列の古き良きブラック企業であるこの会社。表彰式の後の飲み会は先輩たちをいじめることができた。
成績が上がっていない先輩たちほど偉そうである。彼らをここぞとばかりにやっつけるのが私は好きだった。
「お前成績いいからって調子乗ってんだろ?」
毎日のごとく言われ続ける。
成績良ければ調子に乗るのは当たり前。
しかし、この異空間ではそれが許されない。
チャンスだ。
「会社に貢献、その意味を忠誠心の低い俺が教えてやる」。
その意味を込めて表彰式後に望む。
同期にパセラの親族がいた。
そのため銀座のパセラのカラオケで大部屋を取ることが用意だった。
開発事業部のほぼ全員ということもあり
約20人ほどがここに集結した。
それはトイレでうんこをしていた時だった。
西島という1個上の先輩がトイレに駆け込んできた。
「入っているの誰だ?変わってくれ」
切羽詰まった西島さんの声が響き渡る。
どうしたのか、苦しそうだ。
「下村か、早く開けてくれ!!」
何があってもトイレを変わるつもりはない。
トイレが一つしかなかったのは彼の運がなかったからだ。
運がなければ不動産の仕入れもできない。
「うぐぅ、うぐぅ」
西島さんの声は悲壮感を秘めてきた。
正直、私の用事など随分前に済んでいる。
この空間が楽しいなぁ、ニヤリとして次の展開を待つ。
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