16年前(Not the red baron)(途中)

16年前
何かに気づかせてくれるほどの時間
だけどそれが何なのかを掴めないほど遠く
何かに取り憑かれているような
後ろ髪を引っ張るその手

突き止めようとするほどに霞んでいき
言葉にしようとするほど指の間をすり抜けていく
ただ、見つめていればいい
そのままでいて欲しければ

栞(しおり)は空に舞い
頁(ページ)は弄ばれる
一時の風にさえ保つことができないもののことを
私は恋に落ちたかのように見つめようとしている
気にも留められない
髪の毛先の乱れさえ放っておいても平気と言わんばかりの
思われ方をしているような

香りの片鱗でも
言いかけてやめた後の
独りだと気づかせるほどの凍えでもいい
この何者かに立つための地面を与えたい
語るための唇を分け与えたい
あわよくば
私に触れるための指先を
私もそれを感じ取るための肌を
生まれたての
しかし、その途端に朽ちて消えてしまいうる
燃えるこの世に朧げに立つ
一本の蝋燭のような
真っ白い肌を

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