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FRBの政策の武器、量的緩和(QE)と量的引き締め(QT)の違いについて違いを理解する

こんにちは!個人投資家のTAKA Chanです。
FRBの金利政策についての議論はいつも大きく取り上げられます。
しかし、米国の連邦準備制度(FRB)が経済政策の一環として用いるもう片方の武器、量的緩和(QE: Quantitative Easing)と、量的引き締め(QT: Quantitative Tightening)は、金融市場にも大きな影響を与える手段であり、個人投資家は知っておく必要があるでしょう。

先日もこのような記事が出ています。
FRBはQTに焦点を当てているようです。

FRBは、量的引き締め(QT)として知られるプロセスである米国債と住宅ローン担保証券の保有を月額950億ドルのペースで縮小してきた。ジェローム・パウエル議長は水曜日、FRBは「円滑な移行を確実にし、短期金融市場がストレスにさらされる可能性を減らす」ためにペースを緩めることを検討していると述べた。

ブルームバーグより


これらの政策は、市場の流動性と長期金利に直接影響を与えることにより、経済成長を促進または抑制する事を目的としたものです。
しかし、これら二つの政策は目的と手法が全く異なります。
そして、2024年現在のFRBはどちらなのか少し解説します。

それではどうぞ!


量的緩和(QE)とは?

量的緩和は、経済が低迷期にある時やデフレを防ぐためにFRBが行う政策で、この政策では、FRBは新たに通貨を発行し、長期国債や住宅ローン担保証券などの金融資産を市場から大量に購入します。

これにより、市場にお金が流入し、金融機関の貸出能力が高まります。結果として、低金利が実現し、企業や個人の借入コストが低下し、投資や消費が促進され、経済活動が活発になります。

あの記憶にも新しいコロナ禍パンデミック時、FRBは、2020年3月〜2022年3月まで、約4兆ドルの資産を購入しました。日銀も、2020年3月から2023年3月まで、約70兆円の資産を購入しました。

これらのQE政策により、市場には膨大な資金が供給され、金利は低下し、株価は上昇しました。また、企業の資金調達も容易になり、景気悪化をある程度防ぐことができました。

量的引き締め(QT)とは?

一方、量的引き締めは、経済の過熱やインフレを抑制するためにFRBが実施する政策です。現在のFRBはすでに2022年頃からQTに舵をきっています。

QTでは、FRBは市場に出回っている通貨の量を減らすことを目的として、保有する金融資産の売却や満期到来した資産、例えば債券などの再投資を停止します。これにより市場から流動性が吸収され、金融機関の貸出余力が減少し、金利が上昇します。高い金利は、投資や消費を抑制し、経済の過熱やインフレ圧力を緩和することを狙いとしています。

過去にもQT政策は行われています。
最近を調べてみると、

2013-2014年頃の「テーパリング」
最初のQTの段階は、正式なQT開始前の「テーパリング」として知られています。この時期、連邦準備制度(FRB)は、量的緩和(QE)プログラムの下で購入していた資産の量を徐々に減少させ始めました。これは量的緩和政策の縮小を意味しており、市場には「テーパータントラム」として知られる大きな動揺を引き起こしました。

2017-2019年の量的引き締め
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017年10月に、FRBは正式に量的引き締めプログラムを開始しました。このプログラムは、FRBが保有する国債と住宅ローン担保証券(MBS)のバランスシートを縮小することを目的としていました。しかし、市場の不安定性や経済成長への懸念から、2019年末にはこのプログラムが一時停止されました。

2021年以降
記憶にも新しいのが、COVID-19パンデミックへの対応として、FRBは量的緩和策(QE)を講じましたが、2021年後半には経済状況の改善に伴い、再びテーパリング(資産購入の緩やかな縮小)を開始しました。このテーパリングは、将来の正式なQTプログラムへの前兆と見なされています。

2024/03/26現在ですが今後はどうなりますかね?

最後に:QEとQTの影響のおさらい

QEは市場にお金を供給し、金利を下げることで経済を刺激しますが、長期的にはインフレを招く可能性があります。
逆に現在はQTの時期で、市場からお金を引き揚げ、金利を上昇させることで経済を冷却しますが、過度な引き締めは経済成長を阻害するリスクがある為、FRBも慎重に判断していると思います。

要は、インフレ率の目標を達成し、経済の安定成長を目指すための政策です。量的緩和と量的引き締めの間のバランスは、現在の経済状況と将来の経済予測に基づいて慎重に考慮されることが望まれるでしょう。


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