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とある。 episode 8 そうやってまた、


そうやって僕はまた、
ひとりを選んでしまうんだ


自分を知っていくほど
自分が孤独を選んでいることに気づいて
ひとりを選ぶ、その理由に気づいていく


君をわかっていくほど
わかってあげられないんだと気づいて

君が欲しいことばは
君を救うことにはならないと気づいて

君が欲しいことばも言えなくて
それが君を傷つけてしまうから


だから僕はまた、
ひとりを選んでしまうんだと思う


君を知りたかったはずなのに
知らないほうが簡単に言えたことばがあって

出逢ったあの日から今日までを
もどかしかったあの日から今日までを

ひとつずつ数えてみる


出逢ったあの日のほうがずっと遠いのに
想い出すのはこの日のことばかりで

何度数えても今日に近づいてはくれなかった


知りたい想いが叶うほど
離れる理由が増えていって

離れる理由が上回ってしまう前に
どうか嫌いになってくれたらいいのになんて

強がりに
そんなことを呟いてみたんだ



僕は君を嫌いになることは出来ないんだと思う。

そうやってまた、ひとりを選ぶんだと思う。


とある。 主人公なあなたへ

とある誰かのストーリーを切り取って

誰かだったり自分だったり
それとも誰でもないのかもしれない

フィクションだったりノンフィクションだったり
どちらかだったり両方なこともある

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